海外情報クリップ スマートフォンゲームを使った性教育
ケニアの十代男女を対象に
ケニアの若年層の間ではHIVなどの性感染症の予防は重大な課題です。性交渉を開始してからではなく、開始する前に感染リスクを回避する知識やスキルを身に付けることが必要です。その取り組みの一つがケニア中央医学研究所と米国エモリー大学が共同で進めるスマートフォンゲームです。目的は、十代前半の男女が楽しく使えて費用もかけずにコンドームの使用促進と性交渉開始年齢を遅らせることです。
この比較研究では、ケニアのキスム県に居住する12~14歳男女約千人を対象に、Tumaini(トゥマイニ) ゲームの使用群と対照群(脳トレゲームを使用)に割り付けてアプリを貸与し、45か月の追跡期間で計12回、最初の性交渉でコンドームを使用したか使用しなかったかを聞き取りました。
その結果、女子では、対照群の10%に対しトゥマイニ群は3%にハイリスク性行動(初めての性交渉でコンドームを使用しなかった)が報告され、同様に男子では、対照群の10%に対しトゥマイニ群は8%でした。ただし割合はコンドーム非使用/使用+性交渉なしを表し、“わからない”は非使用としました。性交渉を開始した男女だけで見た非使用/使用の割合は、対照群は女子57%、男子44%、トゥマイニ群は女子21%、男子33%でした。ハイリスク性行動の割合はトゥマイニ群で有意に低く、特に女子で顕著でした。両群で性交渉開始年齢とアプリの使用頻度に差はありませんでした。
トゥマイニ(スワヒリ語で“希望”の意)は、性交渉の仮想場面の中で相手と自身のアバターとがせめぎ合いながら次々に性行動を選択していき、その間に性の知識や相手の反応から得た対処法を体験していくという人生ゲームです。この方法は何よりも低コストで若年層に広めることができ、性交渉時のリスク回避行動を促す効果を示したと研究者らは評価しました。
参考:Winskell K, et al. Lancet Child Adolesc Health. 2026 ;10
