海外情報クリップ 意図しない妊娠とその後のケア
既婚のイラン人女性を対象に
挙児の希望がなく、あっても予定していない時期に妊娠した女性は大きなストレスを受けており、同時に経済的な不安も抱えています。その対処法として妊娠中絶を選択することは戒律の厳しいイラン社会ではそれ相当の理由がないと処罰されます。このような状況のなかで差し迫った問題に向き合うためには専門的なケアが必要です。イランのマザンダラン医科大学の研究者らは、これらの女性のために設計されたカウンセリングとしてロバーツの7段階クライシスモデルを応用してその効果を検討しました。対象は、1人以上子供がいる既婚女性で慢性疾患や精神疾患を患っておらず、意図しない妊娠(あるいは妊娠の疑い)のために保健センターや婦人科クリニックなどへ来院した60人(平均年齢31歳、9割は就労者)です。ロバーツのクライシスモデルによる介入群と対照群(従来の妊娠ケア)に振り分け、両群とも来院4週以内にカウンセリングを開始し、その後は3~4日間隔で3回の対面診療を行いました。開始時と試験終了1か月後に患者の不安度をスピルバーガ不安検査(STAI)で測定しました。その結果、個人の性格に由来するとされる特性不安は、カウンセリング開始前は両群とも約46ポイントで差はありませんでしたが1か月後のスコアを見ると、対照群は46ポイントで変化なしに対して介入群は44ポイントに低下しました。その時の特別な環境に由来する状態不安を見ると、開始前に両群とも47ポイントでしたが終了1か月後は、対照群で46ポイント、介入群は43ポイントと、介入群でより軽減されていました。両群の差は小さいものの、今回の研究では患者自身で熟慮する時間をとるため、カウンセリングは数回に分け、プライバシーが確保された診察環境で行ったことが奏功したと考えられています。クライシスカウンセリングは今のイラン社会には不可欠であると研究者らは述べました。
参考:Faqhani S, et al. J of Pregnancy. Volume 2026
