海外情報クリップ インターネットの普及とオンライン性虐待
ドイツ国内の若年層の現状
国連のSDGs目標の一つに、“児童に対する虐待・搾取などをなくす”というものがあります(目標16.2)。ところが、その中で近年、特に注視されているのは、加害者がオンラインを介してのみ虐待や性的勧誘を繰り返す“オンライン性犯罪”という事案です。
ドイツ国内で見ると、その報告件数は2016年から2023年の8年間で約7倍に増加しました。この背景にはネットワークの革新的な技術の普及で若年層のアクセスが急増したことがあります。ドイツのウルム大学病院小児精神科学部の研究者らは、幼少期からデジタル環境で育ったジェネレーションZ(1995年~2010年生まれ)と呼ばれる世代の性虐待の実態を詳しく把握する目的で、ドイツ国内258の地区から男女約2,500人(平均年齢50歳)に対しインタビュー調査を行いました。対象は、この世代および一つ古いY世代(1981年~1994年生まれ)です。その結果、過去にオンラインによる性虐待や性的勧誘を受けたと回答した割合は、Y世代(30-41歳)の男女は共に15%だったのに対してZ世代(18~29歳)では32%(男性29%、女性34%)などとZ世代の割合はY世代の約2倍多いことが分かりました。2つの世代を誕生年別に1983年から2006年までの約20年間でみると、事案件数は年々増加する傾向がみられました。過去の実態調査ではオンラインではない事案がほとんどで、被害者は女子が男子の約2倍でしたが、今回の調査では男女差はほぼなくなりました。
インターネットによる虐待や勧誘の加害者は一度に多人数にアクセスするので事案数が急増します。また、加害者と被害者は同じ若年層どうしが多く、その中には明らかな加害意図がない場合もあります。
著者らは、影響を受けやすい環境にあるZ世代は特に注視する必要があると述べています。
参考:Chauvier-Geib K et al.,Child Abuse & Neglect 164, 2025
