海外情報クリップ 月経周期とウェルビーイング
スウェーデンの研究結果
月経周期で自身のムードやウェルビーイング(充足感、幸福感)が変化することを経験する女性は多いと言われますが、そのことを示した研究報告は少なく、一貫したエビデンスはないと思われます。スウェーデンのカロリンスカ大学母子健康学部の研究者らは、同大学で過去に実施されたピルの二重盲検比較試験のプラセボ群のデータを活用して、月経周期でウェルビーイングのスコアがどう変化していたかを検討しました。この試験ではピル開始3か月(開始から11週まで)の比較的短期間での、ウェルビーイングや性機能などの変化を見ており、ウェルビーイングは心理的ウェルビーイング尺度(PGWBI;Chassa-ny2004)で測定しています。対象は18~35歳、月経周期25~33日の健常な女性157人です。卵胞期(早期の1週間)をベースラインとして、10~11週後に再度PGWBIを測定し、このとき同時に卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの濃度を見てこれをもとに卵胞期、排卵期、黄体期に分けました。3か月後に測定した各被験者のPGWBI値を合計して卵胞期群(92人)、排卵期群(36人)、黄体期群(29人)のスコアとして比較しました。PGWBIスコアは高いほどウェルビーイングは良好と判断します。
その結果、卵胞期のスコアに対して排卵期と黄体期のスコアはいずれも低くなっていました。しかし有意な差ではありませんでした。PGWBIの二次評価として、抑うつ、不安、自己統制、などから見た結果でもスコアに有意差は認められませんでした。この試験で被験者の約6割は安定したパートナー関係にあり、研究者らによると、このことがPGWBIが大きく変化しなかった理由の一つと考えており、ウェルビーイングに及ぼす月経周期の影響は小さく、ホルモンの変動以外の要因が大きいのではないかと述べています。
参考:Tornvall S et al.,Psychoneuroendocrinology 181 (2025)
