はたがや日和

はたがや日和~JFPA相談室へようこそ~【870号】

思春期・FP相談LINE/避妊のためのピル&アフターピル相談室 相談員 中尾 光子

 日本の性教育は遅れていると言われて久しいですが、多くの方々の努力によって、ここ数年で抱括的性教育の必要性が世間で認識され始め、性に関する相談窓口も増えて、文部科学省・内閣府が生命(いのち)の安全教育を推進するなど関心も少しずつ高まってきました。
 LINE相談を学校で教えてもらったという人、また学校の教員からの相談も届きます。小学校の教員から「女子児童がネットで知り合った彼氏と体の写真をやりとりしている。彼氏から精液の写真が送られてきて、それを友達に見せたりしている。他にも身近な男性と性的接触をするなどの性的逸脱行動がみられ、指導に悩んでいる」との相談でした。
 相談員からは、性犯罪であり危険な状況であるため、デジタル性暴力被害者センターへの相談に加え、女児本人と家族への支援が必要なため、児童相談所や専門の医療機関への相談を勧めると同時に、写真を見せられた周囲の児童も含め学校全体での性教育を早急に行い、スクールソーシャルワーカーや養護教諭も協力して関係機関と連携していくことを助言しました。
 また、女子高生からの相談。「ある男子に脅されて性的接触を強要されたことを、彼女は親には言えず、勇気を振り絞って学校の先生に相談したところ、男女間の話だから学校が何か指導できるか分からないと言われ、私たちのLINE相談を紹介された」とのこと。結果的に彼女は先生の前でその相手へ、同意していなかったこと、警察にも相談することを伝えることができたそうですが、相手は脅したことを認めておらず、今後相手に何かされるのではないかと不安を感じて警察に相談することを迷っていると、一番の悩みを吐露しました。この彼女の不安は当然であり、状況からもリスクが大きく、今後の彼女の安全を守る必要があるので警察の介入は必要と前置きした上で、まずは専門的な対応をしてもらえるワンストップ支援センターへの相談勧めたところ、勇気を出して相談してみるとのことでした。
 子どもたちも教員も、抱括的性教育の知識が少ない中で、日々問題に直面しています。学校の中には、抱括的性教育の意義を理解して積極的に実践しているところもあれば、”生命の安全教育”をこなさなければととりあえずスライドを見せるだけで精一杯の学校、まだまだ「寝た子を起こすな」という学校など、とても大きな差があります。先日は男子の性被害について、学校の認識がとても乏しい実態を聞くこともありました。また、性を学べる書籍がたくさん出版されていますが、性についてはやし立てる子どもがいると職員が対応できない、という理由で配架に消極的なところも珍しくありません。
 HPVワクチンについても、学校で触れるとワクチンに批判的な親からの苦情が来る、ワクチンは義務ではないので触れられない、という理由で、子どもが正しい知識を得て自分で選択する権利も奪われている現状があります。子どもたちは正しい性の情報に触れる機会がまだまだ少ないため、インターネットから情報を探すしかなく、間違っていたり刺激的な性の情報に触れたりする機会がとても多い環境におかれています。
 今後包括的性教育を受ける機会を誰もが得られる社会により近づけるよう、子どもたちや学校関係者にも対応し、積極的に情報を発信していきたいと思います。

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