連載「みんなでひろげよう! とも育て®の“わ”!!」

保健体育の先生が作り出す「笑える」ボーダーレス遊び時間
(すずきえみさん・すぽみっく♪講師)

本コーナーでは、地域でのつながりを大切にしながら子育て支援をしている方々のインタビュー記事をご覧にいれます! “わ”は、「輪」であったり、「和」であったり、「環」であったり…、また驚いたときの「ワ!」でもあったり…時にはみなさんをワッと驚かせるような事例も飛び出す楽しい記事をお届けします。

こんにちは。
地域で活躍しているママたちと「とも育て」を考える「とも育てプロジェクト」のナビゲーターの大井美深です。

とも育てプロジェクトインタビュー第1回目はすぽみっく♪代表講師のすずきえみさん(以外、えみさん)です。

元保健体育の先生として教育現場で活躍していたえみさんが始めた「すぽみっく♪」は障害の有無に関わらず子どもが楽しめるイベントを開催している団体です。活動内容、想い、「障害の有無」について必ず文言に入れている意味などをお聞きしました。


笑いあり、汗あり、ウクレレありの五感をフルに使った感覚運動
すぽみっく♪をはじめた経緯

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――以前は学校で体育の先生をしていたとお聞きしました。学校の先生からすぽみっく♪に活躍の場を移したきっかけについて教えてください。

保健体育の教員免許をとったのは、体育の授業が好きだったからです。 小学生のときから体育の先生を目指していました。詳しく言えば、体育だけではなく音楽や美術など実技科目が好きな子供時代を過ごしていました。

保健体育の教員免許を取得し、8年ほど教育現場にいました。自身の妊娠・出産でライフステージの変化をきっかけに現在のすぽみっく♪団体を立ち上げました。

体育を子どもたちに教えているときに、運動が好きな子と嫌いな子の差が大きくあることが気になっていました。運動神経うんぬんの話ではなく、「運動経験不足」「コントロールができていない」ことから苦手意識を持ってしまうパターンがありました。経験させてあげることで体育が苦手な子が「えみ先生の体育は好き」と言ってくれる時はとてもうれしかったです。

体育やスポーツを全部好きになる必要はありません。「運動の中でこれだったら好き」でいいと思っています。その好きを体育という学校の科目で苦手意識を持つ前に、幼少期から運動の楽しい経験をさせてあげたいという想いがすぽみっく♪設立のきっかけになっています。



――すぽみっく♪はウクレレを弾きながら盛り上げていると聞きました。

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そうなんです。
すぽみっく♪は視覚・聴覚・体性感覚・前庭感覚・固有感覚などの動くことを通して運動につながる感覚「五感」を使った感覚運動が基本なので音楽も、時にはアートも取り入れています。

私はバンド活動をしていたことがありギターを担当していました。そこからギターの代わりに、より陽気なイメージのあるウクレレにしました。
すぽみっく♪は「ウクレレの音楽で遊ぶ親子クラブ」と説明している時もあり、ウクレレは1つの特徴になっています。

ウクレレで癒しの音色…ではありますが、「楽しむ」ためにいろんな道具や環境を駆使してアクティブに動くので汗だくになっていますよ。


――すぽみっく♪は自身の子育てにも生かされていていますか?

2023年の現時点で累計約300組の親子が参加していますので、その分、子どもとの遊び方がうまくなっていると感じています。3人の子育て中(1歳、3歳、6歳)ですが、この年齢にはこれがウケるのでは?など分かります。とはいえ、悩みもあります。悩みの内容は更新されていきますが、それも含めて子育て。自分自身にも悩みがあるのは、参加してくれる親の気持ちの共感ができることでもあるので、子育てもすぽみっく♪に生かせて、すぽみっく♪も子育てに生かせるwin-winですね。


すぽみっく♪の説明文冒頭の「障害のあるなしに関わらず」の理由
…それは、必要な情報につなぐ役割とみんなの「知る」に貢献するため

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――ちらしなどの説明文で、冒頭に「障害がある人もない人も」や活動領域に「放課後デイサービス等」と書いていたり、「障害」についての記載が多いですよね。これの目的などを教えてください。

障害のある方も楽しくというのは目標の1つに明確にあります。

高校生の時から、障害の有無に関わらず参加できる水泳教室のコーチをしていて、子どもから大人までさまざまな障害をもつ方とコミュニケーションとる機会が高校時代からありました。

正直に言うと、それまで障害のある人と関わることがなかったので、高校生の私は戸惑っていました。 ただ、コミュニケーションをとっていくうちに、発見がたくさんありました。「こう言えば伝わる」「うれしそう!」など。人と人のコミュニケーションという観点で障害の有無は関係ないことを感じました。

何よりコミュニケーションが難しい分、笑ってくれた時はうれしい気持ちになります。 「人を知る」ことの楽しさを学びました。

このプールコーチ経験の影響から、特別支援学級に興味を持ち教員免許も取ったので、人生のターニングポイントになっている経験です。

すぽみっく♪のチラシや説明文に「障害の有無に関わらず」を入れている理由は2つあって、1つは誰でも楽しめるので参加してほしいという障害がある子どもをもつ親へのメッセージ、もう1つは障害についての理解促進の意味です。

活動の例として「放課後等デイサービス」を記載していると、「これはなに?」と質問してくれる方もいて、このような支援の存在を知ってくれるきっかけになると思っています。

困っている・助けてが発言できない親もすくいあげたい!
子育ては親だけは苦しいことも…そんな時こそみんなで笑いましょう!


――障害がある子が参加するイベントも実際あるのでしょうか?

障害のあるなしは参加で関係ないので、敢えて個人情報を聞いたりはしていません。子どもたちは天才なので楽しい雰囲気と環境を提供すれば夢中で遊んでくれます。

特別支援学級では担任や体育の指導をしていたので、障害がある子どもには「スモールステップ」が有効など、実践経験も生かしたプログラミングを意識しているので、誰でも参加しやすい内容になっています。安全面はもちろんのこと、楽しむためのサポートは臨機応変にしています。

どちらかというと、活動を見学している親が、自分の子どもの行動に戸惑っている顔をしていることがあります。その場合、さりげなく話を聞いて、もし成長過程に問題を感じているのであれば、専門家につなげるような情報を話したりしています。


――今までの活動で印象的だったことはありますか?

これ!というスペシャルな回ではなく、毎回、参加者が爆笑していることが印象的です。思った以上に爆笑してくれます。40分ぐらいのイベントで、汗だくで爆笑して楽しかったと帰ってくれると本当にやりがいを感じます。

この前、4年ぶりにきてくれた親子がいて、なんとお礼のお手紙までもらったんです。当時2歳ぐらいで参加していた子が6歳になっていました。お母さんから「4年前のイベント、本当に楽しくて…」と言われてうれしかったです。「不安いっぱいの子育てが楽しい子育てに代わる方法をたくさん知れた、つらいときに救われた」と感想をいただき活動をやっていてよかったと胸が熱くなりました。

また、子どもの気持ちはもちろん大切ですが、親が楽しんでくれるかも大事にしているポイントです。

卒すぽみっく♪したママ達、現すぽママ達も、イベントや運営を手伝ってくれていて、交流しながら楽しくイベント準備をしている時間も、とても好きで、本当に感謝しています。

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――えみさんが考える「とも育て」とは?

すぽみっく♪の中で親の不安を察知して、困っている親をすくい上げて適切な専門家につなぐ場所でありたい。それが「とも育て」に貢献すると思います。

そして、私自身が人を笑わることが大好き。とにかく、みんなを「爆笑してほしい」思っています。 子育ては思い通りにいかないことも不安もたくさんあるので笑顔でいることが難しい時期もあると思います。最近、腹の底から「爆笑」したことはありますか?もしなければ、すぽみっく♪にぜひ参加してください。


――今後の目標や夢などありますか?

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今は、限られたエリアで活動していますが、全国にすぽみっく♪を届けたい野望はあります。 全国キャラバンなど、「あなたの町にすぽみっく♪がやってくる!」のような爆笑を届けられるような展開をしたいです。すぽみっく♪キャンプも、コラボ企画もたくさんやりたいです。ぜひ、何かアイデアあれば声かけてくださいね。皆さまのすぽみっく♪参加もお待ちしております!


プロフィール

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すずき えみ(すぽみっく♪主宰

東京都出身。日本体育大学卒業。
保健体育教員、特別支援学級の教員を経て、現在は自主クラブ・保育園・児童館・個人指導で活動中。高校生1年生から水泳クラブ Honey Possumに所属し、幼児〜中学生・障害のある子ども〜大人と関わり、指導にあたっている。

2018年より品川区社会教育関係団体として、『すぽみっく♪♪』(https://spomiik-ukulele.studio.site/)の活動を開始。
ウクレレを使ったリトミックや運動遊びをたくさんの親子と共に楽しんでいる。2022年4月より、放課後等デイサービスでも活動を開始する。

《資格》中高保健体育教諭1種、ムーブメント初級指導者、キッズコーディネーショントレーナー、リトミック指導者研修受講済み、JAHA認定リトル&キッズヨガインストラクター




取材・文:大井 美深(おおい みゆき)
大学院で機能性食品素材の研究を経て、医療・ヘルスケア分野で情報サイトの企画・運用、広報業務を担当する。記念日を利用した公募企画、乳がん・子宮頸がんなどの患者支援団体との協力実績多数。エンターテインメントとヘルスケア情報配信のコラボレーションなどを得意とし、ヘルスリテラシーの向上に貢献する活動を幅広く行う。



※「マルトリ予防®」「とも育て®」は福井大学の登録商標です。

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