連載「思わず参加したくなる!医療・ヘルスケア企画のコツ
ティーペック(株)広報 大井美深」

第4回 2021年セカンドオピニオンを考える日
300文字作文&ロゴマーク募集

イベント、催し物の企画をしたい…と思っても、いざ始めようとするとなかなか難しいモノ。 本連載では、さまざまな企画を立て、運営してきたティーペック株式会社の広報 大井さんに、企画のコツやテクニックをお伝えいただきます。新しいことを始めたいときのヒントになる情報が満載です。ぜひお役立てください。

こんにちは。ティーペック(株)広報の大井です。
今回は、2021年セカンドオピニオンを考える日に実施した企画をご紹介します。
2021年は「300文字で語る!私のセカンドオピニオン」と記念日のロゴマークを募集しました。

300文字は、原稿用紙1枚弱ぐらいの分量…こう思うとボリュームありますよね。ロゴマークもセカンドオピニオンを考える日のコンセプトを理解し表現するので、ぱっ!と応募できるものではないと思います。それでも、うれしいことに作文602本、ロゴマーク418点の応募がありました。 ooisan4-1.JPG ▶セカンドオピニオンを考える日(2021年)特設サイト



企画の準備と周知方法
乳がん患者会SNSやロゴマーク募集の専用サイトでもPRしました

今回は「300文字で語る!私のセカンドオピニオン」と題して300文字以内のセカンドオピニオンに関する作文を募集しました。同時募集で毎年2月14日「セカンドオピニオンを考える日」のロゴマークの募集を行いました。

応募方法はWebフォームまたは郵送としました。Webフォームのみの応募にすれば集計やデータ管理の手間が省けるのですが、公募企画はまだまだ郵送応募もメジャーな方法であるようで、実際に多くの応募が郵送で届きます。若い層がWeb、中高年が郵送というような年齢層で分かれているわけではなく、個人の応募しやすい方法を選択されている印象があります。実際90代の応募がWebフォーム、20代から郵送応募があったりします。どんなにインターネットが普及しても郵送応募は廃れないのかもしれません。

▶実際の応募に関する詳細はこちら
<2月14日はセカンドオピニオンを考える日> 「300文字で語る!私のセカンドオピニオン」作文、記念日ロゴマークを募集します!

応募開始後に、2020年の川柳と同様にプレスリリースや公募ガイドに掲載してPRをはじめました。その他、乳がん患者のSNS「ピアリング」(https://peer-ring.com/)に記事広告を掲載しました。これは去年の川柳と比較して、300文字の作文なので、やはりセカンドオピニオンの経験者の応募がメインになるのではないかと考えたからです。

ロゴマークについては、ロゴマークの公募をメインに扱っている無料の公募サイトがいくつかあります。そこに掲載しました(無料で掲載できるところがほとんどです)。ロゴマークは、カテゴリーがあるぐらい情報を探している方が多いので、一般向け公募企画をやってみたいときにチャレンジしやすいと思います。 実際の応募は、一般の方からプロ(デザイン会社やデザイナーさん)からの応募までさまざまな応募が集まりました。

<本企画を立ち上げる際のポイント>

・公募ガイドなどの総合公募サイトでPRをする。さらに作文のテーマなどに応じてPR先を考える
(どこに対象者がいるか?どんな人に応募してほしいか?)
・ロゴマーク募集はチャレンジしやすい企画
・ロゴマークは採用時に「著作権譲渡契約書」を作者と交わす必要がある※

<Point!>
セカンドオピニオンを考える日のロゴマークはこれから毎年利用する予定などがあり、当社に著作権があることを明確化する必要があったため、採用賞受賞者(個人の方)と契約書を交わしました。

それでは、入賞作品をいくつか見てみましょう!
自身の体験から、家族との思い出まで…1人1人のセカンドオピニオンに対する想いがありました

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自身のセカンドオピニオンから、家族のセカンドオピニオンまで。それぞれのセカンドオピニオンに対する想いが伝わってくる作品でした。

また、子宮筋腫のセカンドオピニオンの作文を見て「がん以外にもセカンドオピニオンを使えることを初めて知った」という感想をいただき、入選作品の紹介の中でもたくさんの情報提供ができることを実感しました。入選作品は特設サイトで紹介のほか、リーフレット(PDFダウンロード)としても無償提供しています。

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入賞10作品を紹介しているリーフレットです。
会社や学校での健康啓発に利用してもらえたらと思い制作しました。

▶セカンドオピニオン作文リーフレットダウンロードはこちら

公募企画のその先へ
他部署のコンテンツとしても紹介しています

優秀賞のむらちゃんさんこと村家達弥さんは偶然にも当社が提供しているセカンドオピニオン手配サービスでお母さまのセカンドオピニオンを受けていましたので、詳細についてヒアリング、その後、インタビュー記事として詳細を当社の保険の営業向けの情報サイト「T-PEC Channel」(クリックいただくと別ページに移動します)に掲載しました。

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広報企画のものが他部署担当の企画(情報サイト)にも載るという社内連携は会社としても良いことだと思いますので、社内でのコンテンツの共有も今後さらに進めたいと考えています。

医師・看護師からの応募
医療従事者からのセカンドオピニオン意見は貴重

今回、医師や看護師などの医療従事者からの応募も多数寄せられました。作文だからこその本音、人間味が感じられます。作文のほか、コメントも添えられていました。現場で多くのセカンドオピニオンに関わっているからこそ、患者にとってセカンドオピニオンを受けるハードルがまだ高いことを実感しているのではないでしょうか。

「セカンドオピニオンは主治医に言いにくい」と考えている方にぜひ読んでもらいたいと思いました。

■きっと、だいじょうぶ(りょくちゃ/北海道 38歳 女性)
「なんかあったらセカンドシベリアンに行けばいいもんね。」長い治療期間を経て、最後の面談を終えた患者様がこっちを見ていた。その方は少しだけカタカナが苦手で、薬剤名や病院食のメニューの間違えて覚えることがあり、すぐにセカンドオピニオンのことだと理解できた。 「そうね、もうなんも起こらないと良いね。」セカンドシベリアンを調べたらきっと、犬の情報が出てくる。「セカンドシベリアン、病院」で調べたら動物病院が出てくると思う。でもセカンドオピニオンというワードも出てくるはずだ。 セカンドシベリアンを忘れずに、お大事に過ごしてください。
<コメント>現場で働いていると、セカンドオピニオンの存在を知らない患者様がほとんどです。そして、知ってはいるが現実的な選択肢として行動できる方は、ひと握りの中のひと握りだと思います。覚え間違い、言い間違い、たいしたことありません。存在を知ることが大きな一歩と思い返事をした記憶があります。

■ある日のベッドサイドで。(おでん/東京都 28歳 女性)
「セカンドオピニオンという方法も、あります。他の先生も同じ結論かもしれない。いま以上にやれることはないかもしれない。でも、結果は変わらなくても、なにか救われる思いもあるかもしれません。いつでも私が紹介状をお書きしますから、その時はどうぞ遠慮なさらずおっしゃってください。」 よくあるセカンドオピニオンの使い方ではないかもしれない。私の力不足かもしれない。でも、拭いきれない不安の捌け口に。諦めきれない思いの供養に。人生の納得のために。皆さんの権利をお使いください。あなたとまっすぐ向き合い日々手を尽くしているからこそ、いつでも温かく送り出します。 ガンと闘う若手医師より。
<コメント>2年目の若手血液内科医です。 初診時ももちろんですが、なかなか前に進めなくなったときにも再度セカンドオピニオンを提案することがあります。患者さんやご家族が自ら行動することで救われたり別の意見を聞いてもうひと頑張りする元気が出たりと、そんな一助になるのではと思っています。先生を信頼していますからこのまま頑張ります、と行かない方も多いですが、この提案を通してまた一段階深く信頼関係を築けるとも思っているので、必要なタイミングでこちらから切り出すこともあります。 セカンドオピニオンは裏切りや浮気ではなく、主治医との信頼関係あってこその大切な選択肢だと思っていますので、積極的に利用検討していただきたいです。

高校のクラス単位での応募も!
医療・ヘルスケア分野の公募企画は学校でも活用されます

愛知の高校からクラス単位の応募もありました。担任が公募企画を見つけ生徒にテーマを出したようで、 作文用紙に手書きで書かれたものをまとめて送ってくださいました。高校生の考えるセカンドオピニオンは、自分のことよりは祖父母の体験談や「セカンドオピニオン」という言葉を調べてそれに対する意見が多くありました。印象に残った作品は、セカンドオピニオンの正しい内容を理解して母親に伝えた作文でした。

高校生の親はがんり患が増える世代でもあるので、学生への啓発や情報提供は本人だけではなく親にもつながる可能性を感じました。

■勘違い(大木 香乃/愛知県 17歳 女性)
私は今まで勘違いをしていました。セカンドオピニオンとは診断や治療方針について主治医以外に、自分自身で勝手に2つの病院に行って選ぶことだと思っていました。 主治医にセカンドオピニオンを受けることを告げて、主治医と一緒に考えるという正しい情報を今初めて知ったのです。母に伝えると、母も40年間で初めて本当の意味を知ったと言っていました。このことから正しい情報を学び周りにも伝えていくことが大事だと考えました。将来自分が困らないように、しっかりとした知識を身に付けます。

見えてきた課題
「転院」「ちがう病院で診察を受けること」がセカンドオピニオンと思っている方が約半数

主治医とは別の医師に意見を聞くセカンドオピニオン。セカンドオピニオンは主治医に伝え、受けた後その結果をもとに主治医に相談するというのが一般的な流れです。しかし、応募作文を拝見していると、約半分は「転院すること、違う病院に行くこと」をセカンドオピニオンと認識している内容でした。

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アンケートで「セカンドオピニオンを知っていますか?」と聞くと出なかった課題だと思います。
「セカンドオピニオン」は言葉として知られているかもしれませんが、セカンドオピニオンを直訳したら「第2の意見」ということもあり、他の病院も受診する、転院などもセカンドオピニオンと結びついているのかもしれません。内容・詳細については、言葉ほど知られていない可能性があります。

セカンドオピニオンは言葉だけではなく、転院との違いなど、セカンドオピニオンの内容について情報提供をすることがより必要であることが分かりました。

セカンドオピニオンの情報提供の課題が分かった作文募集企画
新たなロゴマークと一緒に今後も参加型企画をしていきます!

300文字の作文では、応募者の具体的な考えを知ることができました。おそらく、応募者側も作文を書いている間、セカンドオピニオンに向き合えたので「セカンドオピニオンを考える日」にぴったりの企画になったと自負しております。

また、内容によってカテゴリー分けをすることでセカンドオピニオンの理解度や情報提供の課題について可視化することができたのも成果だと考えており、公募企画のさらなる可能性を感じることができました。

そして最後になりましたが、ロゴマークはこんなたくさんの素敵なデザインがありました。

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応募作品の一部です。素敵な作品ばかりでした。 どれも甲乙つけがたく、難しい選考でしたが、その中からこちらを採用。

選考理由はセカンドオピニオンを省略した「セカオピ」が入ることで、覚えやすく今まで知らなかった方に興味を持っていただけるきっかけになること、2つの意見が重なり合いそれを自分自身で考えている姿がロゴマークに反映されていることが、評価のポイントとなりました。

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これからはこのロゴマークと一緒に「セカンドオピニオンを考える日」を盛り上げていこうと思います。

【著者】大井美深(おおい・みゆき)
機能性食品素材の研究を経て、医療・健康情報の会社で情報サイトの運営、企画、広報を担当。
2019年からティーペック株式会社の広報担当として在籍。記念日を利用したPRのほか、乳がん患者支援団体との協力、エンターテインメントとヘルスケア情報のコラボ レーションなど幅広い活動も行う。
【ティーペック株式会社とは?】(HPはコチラ:https://www.t-pec.co.jp/)
1989年から24時間健康相談など健康サービスを提供している会社。日本最大級のメディカルコンタクトセンターを所有。生命保険会社、企業、健保、自治体向けに健康・メンタル相談、セカンドオピニオン手配サービス、ハラスメント総合プログラム、ストレスチェックなどニーズに合わせたサービスを展開中。

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