天馬空 ~JFPA職員のリレーエッセー~
天馬空 ~JFPA職員のリレーエッセー~
第817号

 地元に住む高校時代の友人から、近々こちらに引っ越すと連絡をもらった。私が上京してから随分会っていないが、それでも連絡をくれたのがうれしかった。
 実は彼女は私の恩人である。高校生当時、同じ部活だった彼女から部の人間関係について相談を受けたときのこと。良かれと思い色々とアドバイスする中で、ふと彼女が言ったのだ。

「もち(私のこと)はいつも正しいけど、その正論がしんどい人もいるねんで」
 ※しんどい…関西弁で「辛い」「きつい」の意味
 正直言われた当初は、相談してきたのはそっちやないかーい! と思ったが、確かに弱っているときに正論をぶちかましてくる私はさぞ暑苦しかっただろうと後々反省した。また、「そうか、人はそれぞれ価値観が違うんだな」と初めて腹に落ちた経験でもあった。
 10数年たった今、本会で保健指導の教材制作やセミナー運営に携わるようになり、時々彼女の言葉を思い出す。健康のためバランスよく食べましょう、運動しましょう、と正しいけれど耳が痛いことをどう伝えるか。相手目線に立つことの大切さは、彼女に教えてもらったように思う。

 今日から新年度。新社会人の皆さま、おめでとうございます。働いていると、こんな風に過去の苦い経験が、ある日宝物になって降ってくる瞬間があります。全てのことが肥やしになるよう、心からエールを贈ります。 (坂本智美)



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