天馬空 ―JFPA職員のリレーエッセー―
天馬空 ―JFPA職員のリレーエッセー―
第805号

 この3月11日で東日本大震災から10年の月日が流れた。この10年という数字は驚くほどに早く、そしてあの日からこんなに時間が経ってしまったのかと再認識させられるものでもあった。
 地震に始まり、津波、原発事故。ショックが大きすぎるものばかりだった。何が起こっているのか、何をしなければならないのか、深く考える間もないまま避難を迫られ、生きる道を探さなくてはならなかった。
 震災からの日々を振り返ると、本当に多くの人に支えられたと改めて実感する。体育館で避難先の学校の授業についていけるようサポートしてくれた人たち。仮設住宅で暮らしている私たちに笑顔を届けようとプレゼントやさまざまな催し物をしてくれた方々。どの人も私たちの心に寄り添ってくれていた。
 悲惨な事故や事件を見聞きしたとき、「かわいそう」と思うことがあるだろう。「自分は何もできない」と思う人もいるかもしれない。でも、それでいいと思う。実際に体験した人にしか気持ちや心情は分からない、分かり得ないと思うから。だが、当事者に向ける気持ちがあるだけで、寄り添い接することはできると、私はこの経験から学んだ。
 今、入社して1年がたった。間接的でもいい、あの時お世話になった人たちに今度は私が応えたい。本会の一員として何ができるかを考え、職務に当たりたい。 (黒木奈央)

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