英国の試み
英国では、生殖年齢女性の約3割は避妊目的で経口避妊薬(OC)を使用していますが、理由に関わらず使用者の3分の1は3か月以内に中断しています。このOC継続率の低さを何とか解消する試みとして、OCオンラインサービスが2017年にロンドン南東区で始まりました。
英国ではピルを入手するには処方箋が必要なので、そのためのクリニック受診などが煩雑です。これをより簡便にするため、新規OC使用者は必要な情報(身長・体重、血圧、病歴など)を医師やその他資格を持つ査定者にオンラインで送り、適正判断後に入手した処方箋をオンラインで薬局へ発送依頼し、3か月分のOCが自宅へ郵送されるという仕組みです。(WEBサイト【Sexual Health: 24 Hours A Day】https://sh24.org.uk/ )
キングス・カレッジ・ロンドンの研究者らは、この新しい方法と従来法を新規使用者での継続率で比較しました。初回3か月分を使い切った後1か月以内に2回目の処方を入手しなかった場合は使用中断と見なし、参入時と4か月目にアンケートをとりました。
結果、従来の方法でOCを開始した群は継続率が38.8%でしたが、オンライン・宅配群は69.6%と高い継続率が得られました。アンケートの結果は、従来法の評価スコア22.7に対して、オンライン・宅配法は25.2でした。とくに評価されたことは、オンライン処方の利便性と迅速性、加えて通院時間と費用の負担が大幅に軽減されることでした。一方従来法に劣ることとしては、OCの種類の選択肢が少ないことでした。
これらの調査結果から、避妊ケアにおいて利便性は、継続率を上げるのに重要であることが分かり、さらに使用上の注意点などの知識スコアは両群ともほぼ同等だったので、オンライン処方は安全・適切な方法と考えられ、クリニックにとっては対面診察が必要な避妊法(IUDなど)の希望者や基礎疾患を持つ患者により多くの時間が回せるので、新しいOC提供方法はますます需要が高まると予測されています。
参考 Rezel-Potts E, et al. BMJ Sex Reprod Health. 2022,48