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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
緊急避妊薬の使用―米国

第817号

◆薬局販売の影響
 米国では緊急避妊薬(EC)は1999年に発売され、その後2006年にOTC薬となり(当時18歳以上、その3年後に17歳以上だけが入手可能)、13年に年齢制限が撤廃されました。翌年にはこの製品(レボノルゲストレル製剤)の後発品が発売されています。ECがいつでも誰でも入手できるようになったことで、使用女性の背景や購買行動が相当変化したことが考えられます。
 米グットマッカー研究所は、NSFG(米国家族動態調査)から15~44歳の女性約1万人を抽出して、08年と15年のデータを比較して次のように報告しました。

①ECを少なくとも1回使用した割合は、11%(08年)から23%(15年)へ増加。性活動のある女性で2回以上ECを使用した割合で見ると、4%から10%へ増加。
②ECを使用した理由は、「避妊薬をはじめとした避妊法を使用しなかったため」(49%→50%)、「避妊が失敗したと思ったから」(45%→41%)など使用理由は変化なし。
③ピルなどを使用する女性でECを使用した割合は、12%から24%へ増加。男性用コンドームで避妊する女性でECを使用した割合は、11%から24%へ増加。
ECの使用が増える中で減少したのは、
④処方箋でECを入手した割合は、31%から18%へ減少。クリニックでECを入手した割合は、67%から40%へ減少。ECの使用と避妊法のカウンセリングを受けた割合も16%から7%へ減少しました。

 これらの結果から見ると、ECを入手する際の精神的な負担が軽減されてきた反面、避妊について専門医師に相談する機会が減ってきたことが分かります。また、ピルやコンドームからECへの選択傾向が見て取れます。米国ではレイプやパートナーからの性行為強要の割合が、それぞれ女性人口の19.3%、8.4%と高く、ECが必要な緊急避難的避妊法から今では一般的な避妊法選択肢の一つになっているという感があります。

参考 Hussain R, et al. Contraception. X3 2021

(翻訳・編集=オブジン)



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