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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
インドネシアの家族計画

第816号

◆避妊法の費用対効果
 2億6,800万人の人口を抱え、2035年には3億人を超えると予測されている一方、妊産婦死亡が出生10万人あたり359人という問題を抱えるインドネシアは、いま実効性のある対策が必要です。政府はFP2020(家族計画に関する国際パートナーシップ)への参加を機に家族計画への投資を始めましたが、インフラ整備不足で避妊はなかなか普及せず、既婚女性の避妊率はおよそ60%、女性全体では約45%に留まっています。
 インドネシア女性の避妊法はその50%は注射法で、ピル(21.1%)、IUD(8.5%)、インプラント(8.2%)、男性用コンドーム(4.4%)と続きます。避妊を促進するためには政府の補助が必要とされ、避妊薬を14年から健康保険に組み入れました。しかし避妊法によって費用対効果は異なります。そこで、パジャジャラン大学薬学部は、各避妊法について費用(保険で支払われる総額)、避妊効果などから検討を重ね、これを“妊娠1件を回避できる費用”として算出しました。
 その結果、最も費用対効果の高い避妊法はIUD(回避1件あたり0.84ドル)、次にインプラント(1.67ドル)、ピル(3.76ドル)、コンドーム(4.80ドル)と続き、最下位は現在汎用されている注射法(5.18ドル)でした。各避妊法の費用は、ピルは0.22ドル/シート、コンドーム1個は0.03ドル、注射法は1.06ドル/回を年間4回、インプラントおよびIUDは7.08ドル/装着で使用期間はそれぞれ5年と10年と試算されています。
 インドネシア政府はIUDやインプラントを普及させるため、医師会と協力して家族計画拠点医院を辺境地まで拡大する計画ですが、その達成には、訓練を受けた医療スタッフを辺境地で確保するためのインセンティブ、避妊薬の調達や分配を担う地方自治体の計画実行力にかかっているようです。

参考 Suwantika A et al. Journal of Pregnancy. 2021 May

(翻訳・編集=オブジン)



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