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第839号

 東京都不妊・不育ホットライン相談員 金子 友紀

 東京都不妊・不育ホットラインの相談員として相談を受ける中で夫に不妊治療中のつらい気持ちを伝える事ができなくなったというある方の相談です(個人情報保護のため状況改変しています)。

相談者:「夫は協力してくれるんです…」(少し無言)「でもそれは精子をくれるという事で、精子がないと子どもは授かれないし。私は1か月注射を打ったり、仕事と通院の調整をしたりと本当に大変なんです。排卵日に照準を合わせて毎日動いている。食べる物を気を付けたりもしているし。でも生理がきてしまって。また振り出しに戻ったみたいな」
―排卵日に向けての準備は本当に大変だと思います。そして生理がきたことで振り出しに戻られた…。
相談者:「そう。スケジュール開始みたいな。でも夫はこのつらさは分かってはくれない。話しても『大丈夫だよ』『次、頑張ろう』と根拠もなく言ってくるだけ。それに夫は特に何かしているわけでもなく、お酒だって気にせず飲んでいる。精子が必要な日が分かったら調整するだけ。でもその日だって仕事がどうのこうのと言う時もある。私だけ頑張っている感じで、子ども欲しくないの? って思っちゃう。夫に話しても意味がないし嫌な気持ちになるから最近は精子だけちょうだいって感じになってきている。でも2人で欲しいって思って始めた不妊治療なのに…」
―2人で始めた治療が、気が付くとスケジュールをこなすのは相談者さん1人のような状態になっている感覚もありそうだなと思いました。
相談者:「そうなんです。まずはスケジュールを立てて、その通りにするために悪戦苦闘しながら準備している感じで。でも夫の日常は治療を始める前と何も変わっていない。夫に対して不妊治療以外の部分では治療前と同じように話もできるし楽しくはできているんです。それが余計複雑」

 診察によってスケジュールを決めていくため、不妊治療は女性が担う部分が多いという事実があります。この相談者さんのようにスケジュールがあることで治療を常に考えざるを得なくなり、子どもが欲しいと言う事は大前提ではあるけれど、スケジュールをこなすというタスク管理のような状態に置かれている方も多くいるように感じますし、私自身振り返ってみても感じるところでもあります。
 そして、この方のように不妊治療以外の部分では夫との関係性は良いと言う方が割と多い印象です。
 治療中に感じるモヤモヤした気持ちの話は自分の中でも整理がつかなかったり、言葉にすることが難しかったりします。その気持ちを誰かに話す事でモヤモヤがモヤくらいになることもあると私は思います。その誰かの選択肢にこちらの東京都不妊・不育ホットラインを入れておいて欲しいなと思います。決して一人で抱え込むことがないようにしてください。


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