市谷クリニックへようこそ!
市谷クリニックへようこそ!
第824号

 思春期/EC・OC担当相談員 黒田 真知子

 本会のLINE相談はチャット(会話)形式ではなく、到着順に10~16時の相談時間内で回答しています。夜中に入力されていることも多く、相談したい時、自分の都合で入力できる利点がある反面、即座に回答が得られないこと、回答をリアルタイムで読むとは限らず、質問の受け取り方に間違いはないか、こちらの真意が伝わったかなどを互いに確かめながら話を進めることができないのが欠点で、電話相談との大きな違いがあります。
 先日14歳男子中学生Aくんからこんな質問がありました。
「自分は思春期に入っていて、単純にセックスしたいけれどどうしたらいいですか笑」
という内容でした。
 私はこの最後にある「笑」の文字がとても気になりました。授業でこのLINE相談を知り、相談をしてきてくれたようですが、きっと学校で第二次性徴のことを学び、性行為に興味関心を抱いたのだろう―と想像したのです。
 14歳という年齢は第二次性徴の真っ只中であること、、性行為には妊娠と性感染症が伴い、そうなったときに責任を取ることはできるか。妊娠や性感染症の心配がなく、性欲のコントロールをする方法として自慰行為(マスターベーション)があること。マスターベーションの一般的な注意事項、そして性行為は相手の同意があって行えるもので、同意がないものは性暴力になること。最後に、興味本位でするのではなく、大切な人とするようになった時に、きちんと正しい知識と責任をもてるように今は知識を身につけましょう―と送信しました。
 後日、私の担当した翌日に、Aくんから返信があったことを別の相談員から聞きました。その内容は、
「ただしたいからといって性暴力したいわけではなく、同意などできた上でセックスしたいと言っていること。妊娠や性感染症の予防をした上で探したいと言っていること。教えてくれないし、ダメとしかいえないのだろう。話す相手がいないからこのLINE相談を利用しているのだ」
と私の返答に対して不満を訴えるものだったそうです。
 担当したスタッフは、
「単純にセックスしたいけれどどうしたらいいですか笑」
に対して、医療機関ですので、医学的な情報提供しかできないため、適切なお答えを出せそうにないこと。Aくんが持っている知識を踏まえて、気持ちが合うよきパートナーに出会えることを願っています―と回答し、
「自分なりにがんばります。ありがとうございました」
と相談は終了したそうです。
 この事例を通して、文字のみの難しさを実感しました。きっとAくんは突如として出てきた性暴力という言葉に違和感を覚えたのだと思います。自分に対して相談員が抱いている感情に傷ついたかもしれません。振り返ると、文面から性行為に関して軽く考えているように判断し、相手がどれくらいの知識をもっているのかを確認せずに、自分の思いつく限りの情報を提供し、結果お説教をしているように感じさせてしまったのだ―と反省しました。よかれと思って正しい知識を伝えるだけが相談ではないことを痛感しました。この経験を無駄にすることなく、相手に寄り添った姿勢で臨むことを忘れてはならないと思っています。


お知らせ

電話・LINE(ライン)相談

  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(3235)7455
    line.png

  • EC・OCヘルプデスク ☎ 03(6280)8404
     ※平日(10:00~16:00)

  • 思春期・FP相談LINE
     line.png

電話・LINE相談員募集!

上記の電話・LINE相談に応じてくださる方を募集中です。平日、市ヶ谷にお越しいただける方、下記まで。
☎ 03(3235)2694

JFPA無料メルマガ登録をお願いいたします!

前の記事へ 次の記事へ

今月のページ

季節号・特集号

連載・コラム

バックナンバー