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ピル承認秘話

ピル承認秘話
–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–
<第66話>環境ホルモン、他の避妊法にも飛び火

第834号
ピル承認秘話
一般社団法人日本家族計画協会 会長
北村 邦夫

 1998年3月16日に、日本消費者連盟、婦人民主クラブ、日本婦人会議、―きれいな水といのちを守る―合成洗剤追放全国連絡会から、日本家族計画協会宛て一通の質問状が寄せられた。腟内避妊薬「FPゼリー」(第一薬品産業(株))と「マイルーラ」(大鵬薬品工業(株))がホルモン攪乱化学物質だというのだ。  3月26日付け理事長松本清一名で次のように回答している。以下は、概略。

  1. 大鵬薬品工業(株)を中心に、かなり詳細な基礎実験を行っているが、生殖毒性について、さらに性の分化に及ぼす影響について、危惧されるような結果は出ていないと伺っている。
  2. ノノキシノールが分解されてノニルフェノールになるとの確たる文献を本日まで検索することができなかった。
  3. 現在そして未来の住み易い地球環境を作っていくことは、私たちの大きな責任であることはいうまでもない。そのためにも、豊かさの代償として起こっている環境破壊に無関心でいられないことは当然のことである。弊会としては、貴会より指摘された殺精子剤を販売する団体として、仮に、国が環境破壊を招く危険性が高いとの科学的データを示した場合には、販売の中止を含め真剣に対処する所存である。しかし、殺精子剤は、あくまでも個々の女性が選択して使う避妊薬であり、ダイオキシンのように多数の人間に無差別に影響を与える化学物質ではない。現在錠剤(メンフェゴール)、ゼリー・フィルム(ポリオキシエチレン・ノニルフェニルエーテル)などの界面活性剤が使われているが、これはわが国だけでなく、世界保健機関や国際家族計画連盟なども推奨する避妊法の一つとして位置づけられている。
 弊会は1954年に創立以来、特に女性の性と生殖に関する健康/権利の確保を最優先して事業を進めて参った。中でも、人工妊娠中絶の防止は、弊会の大きな課題でもある。しかし、残念なことに、世界で広く用いられているホルモン避妊薬や薬剤付加子宮内避妊具は未だ認可されず、女性が主体的に取り組める避妊法の一つであるペッサリーは、法に明記された避妊法でありながら、既にわが国の市場から消え、わが国はコンドームや腟外射精など、避妊を男性に委ねる、世界に例を見ない国となっている。これでは、女性の性と生殖に関する健康/権利が保障されているとはいえない。
 貴会におかれましても、このようなわが国の貧困な避妊事情をお汲み取りいただき、近代的避妊法の早期認可にもお力添えをいただけますようお願いいたします。と結んだ。
 その後、99年に『FPゼリー』の発売を、2001年に『マイルーラ』の製造を中止している。



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