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OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか

OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか<14>
10代で出会った経口避妊薬

第806号

女性クリニックWe!TOYAMA(富山県富山市) 鮫島 梓
女性クリニックWe!TOYAMA(富山県富山市) 鮫島 梓

OCの情報が十分に得られなかった10代

 日本で経口避妊薬(以下、OC)販売が承認されたのは私が19歳の時でした。今回、この記事を書かせていただくにあたり、医師になる前の自分がOC承認のニュースを見た頃のことを振り返ってみました。
 私は10代の妊娠・出産・中絶が多かった1990年代後半から2000年頃にリアルな10代の若者として過ごし、その現実を肌で感じた世代です。実際に中絶という言葉を耳にすることも多かったように思います。高校生の時に友人が妊娠した際に、彼女が「彼氏がコンドームをつけてくれなかった」と言うのを聞き、「なんで妊娠して傷つくのは女子なのに、コンドームをつけるかどうかの選択権は男にあるなんておかしい!」と憤りを感じたことを覚えています。この出来事があった2年後にOCが日本で承認されました。女子が自分の意志で妊娠を避けることができる薬というのは当時、素人の私でもその重要性を感じることができました。
 しかし、OCについて調べたくてもどこで買えるのか、何歳から飲んでいいのかも分からない。この頃はインターネットが利用できるようにはなっていたものの、まだそこから十分な情報を得るというところまでは到達していませんでした。そんな中でOCに関して入ってくる情報は副作用の話ばかりで、使用することへの不安が大きくなる一方でした。

性教育の重要性

 今は、調べたいことはスマホで簡単に検索することができます。YouTubeをはじめSNSでの情報発信も増えました。ただし、能動的に調べようと思わなければ情報にたどり着くことはできないし、情報量が多くなり過ぎていて、そこから正しい情報を見つけるのも難しいことがあります。そういった環境の中で、直接対面して性教育を行うことはやはり重要だと思います。
 コロナ禍のもとでも富山市の各中学校は、令和2年度も全ての中学校で性教育を行うことができました。これは長年、性教育がいかに重要かを伝え、働きかけ続けてくれた先輩方のおかげと思っています。先輩方へ感謝しつつ、情報発信を続けることがわれわれの役目です。
 InstagramやTikTokなどまだまだ扱いきれませんが、必要な人へ情報が行き渡るように日々勉強中です。

女性アスリートの婦人科的問題、多職種連携の重要性

 日々の診療においては、女性アスリートを診療する機会が増えました。女性アスリートの婦人科的問題は大きく分けて二つです。無月経と、月経痛や月経前症候群によるパフォーマンスの低下があります。
 前者について、話すと長くなってしまいますが、後者に関してはシンプルでOC/LEPで解決できてしまうことが多いです。月経痛や月経前の症状が和らぐだけでなく、試合の日程に合わせて月経移動ができるのは選手にとってかなりのメリットになります。私がメディカルスタッフをつとめる地元のバレーボールチームでは、毎年選手の入れ替わりがありますが、常に50%を超える使用率です。すでに内服している選手から勧められて始めるというケースが最近は多くなりました。身近で使用している選手がいればその効果も感じやすいし、副作用に対する安心感も得られるのだと思います。また、スポーツの現場ではトレーナーへの信頼が強いことが多く、トレーナーから勧められると素直に従って、OC/LEPを試してくれることもあります。
 多職種連携という言葉をよく耳にするようになりましたが、OC/LEPの普及にも多職種連携は本当に重要であり、これからもあらゆる職種の方々とのつながりを増やしていきたいと思います。

今月の人

さめしま・あずさ
2007年、富山大学医学部卒業。同大学初期研修終了後、2009年、同大学産科婦人科学教室入局。大学病院、関連病院の勤務を経て、2019年より現職。スポーツドクター、障がい者スポーツ医。
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