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ニュース・トピックス

40年前からフェムテック
~本会のフェムテックの軌跡~①

第817号

 2021年6月、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」(政府決定)のなかで、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現に向けて、女性の生理と妊娠等に関する健康に関連して「フェムテック※の推進」が掲げられました。
 本会では性交時の腟の痛み(性交痛)を防ぐための潤滑ゼリー「リューブゼリー®」を1983年から発売していますが、これも広義の意味でのフェムテック製品といえます。リューブゼリー®をはじめ、これまで40年間、女性の健康の向上に寄り添ってきた本会のフェムテック製品の軌跡を振り返ります。

※フェムテックとはFemale(女性)とTechnology(技術)からなる造語で、月経や妊娠、産後ケア、更年期、婦人科疾患などの女性が抱える健康上の課題をテクノロジーで解決できる製品やサービスを指します。広義には、テクノロジーにとらわれず、女性の健康の向上を目指す製品・サービス・業界カテゴリーを示す場合もあります。

性交痛を防ぐ潤滑ゼリーの必要性を議論し開発

 1972年(昭和47年)2月、日本家族計画協会(本会)内に松本清一本会会長(当時)を委員長とする10名からなる医学委員会が構成され、性交痛を防ぐための潤滑ゼリーの開発の必要性が議論された。当時欧米では性交痛を防ぐ目的を持ったゼリーが薬局やスーパーマーケットなどでも売られていたが、日本にはリューブゼリー®のような潤滑ゼリーが市場にない状態であった。これは欧米諸国と違い、日本では潤滑ゼリーのような性に関する商品はタブー視されていたため、なかなかメーカーによる商品開発がなされなかったという見方が強い。本会はジェクス株式会社(大阪市)に共同開発と製造を依頼し、欧米で使用されていた代表的なゼリーやスウェーデンのゼリーを入手・分析して、独自の製品を発表した。
 ジェクス社は創業時から、水溶性の潤滑剤をあらかじめ塗布したコンドームを製造・販売しており、その関係でゼリーの開発を依頼した経緯がある。開発は容易ではなく、安全性はもとよりさまざまな検証を行った。製品化のためのモニター調査では、社員とその家族による多大な貢献があったという。
 そうして出来たリューブゼリー®は、無色無臭でさらっとしたもので、女性から分泌される液の成分に近く、ベタつかず、汚れも残らないので、水やぬるま湯でさっと落とせば、すぐにきれいになる―という特性を持った商品となった。
 リューブゼリー®は「医薬品医療機器等法(薬機法)」に基づき製造しているが、この法令には「潤滑剤」の項目がないため、カテゴリーとしては「医薬品」ではないが、医薬品に使用されるレベルの原料や製造管理になっている。
 衛生安全面では、殺菌処理、皮膚アレルギーや腟粘膜への影響などの検査を定期的に行っている。



写真 リューブゼリー®(55g)現行品


82年日本初の潤滑ゼリー発売 反響大きく各紙にも掲載

 82 年(昭和57年)10月、日本初の水溶性潤滑ゼリーとして発売された「リューブゼリー®」。商品名の由来は、Lubricant(潤滑)のLUとLoveのVEで「Luve Jelly」。朝日、毎日、産経、東京新聞をはじめ、全国各地の地方紙でも一斉に取り上げられた。性に関するものはタブー視されていた当時、こうした商品を世に出したというのはかなりセンセーショナルだったといえる。初回に製造したものはすぐに売り切れ、全国の薬局から「早く商品を送ってくれ」という声が殺到し、その需要は予想外に大きいものであった。
 リューブゼリー®は、発売後わずか半年間で約3万本もの売上を記録した。


当時の新聞で紹介された「リューブゼリー®」の記事
引用元:朝日新聞日曜版(1982年10月10日付) 「かぷせる」(以下、原文ママ)

性の悩み解決痛み消すゼリー
 社団法人・日本家族計画協会が、中高年女性のセックス時の痛みを消すための潤滑ゼリーを開発、この十五日に発売する。
 個人差が大きいが、年をとると性ホルモンが減少し、膣(ちつ)の委縮分泌液の減量をまねくため、性交時やそのあとに痛みなどの障害をおこす女性が少なくない。日本ではこの潤滑剤がないうえ、同協会の働きかけに各メーカーとも反応がなかったので、同協会医学委員会(松本清一委員長=自治医大病院長)が開発したという。
 無色透明の軟こう状で五十グラム千円、送料二百四十円。一回0.5グラム使用。”


中高年女性だけの問題ではなかった性交痛

 本紙に「リューブゼリー®」が初めて登場したのは83年(昭和58年)4月で、中高年の性をめぐる座談会の記事「どうふれあう〝人生の長い午後〞〜無視できなくなった中・高年夫婦の性問題〜」の中で、本紙編集部が、「閉経期を過ぎた女性にとってセックスは、腟の萎縮や分泌物の減少によって痛みを伴う場合が多いが、こうした社会的なニーズにこたえて本会が初めて開発した」と記している。
 発売当初は中高年、特に閉経後の女性問題の解決のためにゼリーを使用してもらうことを想定していた。しかしその後、「男女の生活と意識に関する調査」(本会、2002年〜)や、「ジャパン・セックス・サーベイ」(ジェクス社、12年〜)などの調査結果から、性交痛は中高年女性だけの問題ではなく、若い人たちも悩んでいるということが分かった。
 最近の調査「ジャパン・セックス・サーベイ2020」(インターネット調査)によれば、セックスのときに痛みを感じている女性は62.4%。20代が最多で74.1%、次いで40代63.9%、30代63.5%、50代59.2%、60代56.8%となっている。また性交痛があるためにセックスに「満足していない」との回答は42.2%で、特に50代などは56.3%となっている。
 20代での性交痛の理由は、潤いが起こるよりも前に、挿入を求める男性がいること、セックスの経験不足、妊娠・性感染症への不安などが考えられ、その結果を反映してか、性交痛を緩和させるために潤滑ゼリーを使う割合は、今や20代が最も高くなっている。 (次号へ続く)



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