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第30回松本賞 百枝幹雄氏(東京都)に受賞決定

百枝幹雄氏(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院院長)

 日本家族計画協会の故松本清一元会長の名を冠した顕彰制度で、わが国におけるリプロダクティブ・ヘルスの分野において活躍している第一人者に対し、その功績を讃えて贈呈する「松本賞」。その第30回選考委員会が3月26日に開催された。
 当日は、選考委員会委員ならびに過去の受賞者のうち故人などを除く30名を推薦人として、推薦された候補者の功績調書をもとに、厳正な審査が行われ、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会・総合母子保健センター・愛育病院院長である百枝幹雄(ももえだ みきお)氏(67歳)の受賞が決まった。これで受賞者数は42名。内訳は医師39名、看護職3名となった。
 選考委員会は、石渡 勇(日本産婦人科医会)、小西郁生(日本産科婦人科学会)、吉村𣳾典(日本生殖医学会)、高松 潔(日本女性医学学会)、勝部まゆみ(ジョイセフ)、北村邦夫(本会)(敬称略)から構成されている。

 百枝氏の最大の功績は、子宮内膜症および月経困難症における革新的な治療薬開発への多大な貢献である。第29回本賞受賞者の原田省氏と共に、医学専門家としてルナベル、ディナゲスト、ルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックス、ジェミーナ等の臨床応用に深く参画。これにより、我が国におけるOC(経口避妊薬)・LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)の普及を劇的に進め、女性医療の選択肢を大きく広げた。また、その知見を活かして、子宮内膜症取り扱い規約やOC・LEPガイドラインの作成委員も務めた。
 また、医療現場や学会活動に留まらない、社会の仕組みを変えるための啓発活動にも注力。学会活動のみでは社会の疾患理解が不十分であるとの強い信念から、12年にNPO法人日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)を設立し、理事長に就任。関連学会、企業、行政、メディアを横断的に統合した社会啓発活動を牽引した。その成果は、女性活躍社会を支える「ウイメンズヘルス」の重要性の認知拡大へと繋がり、政府の「女性版骨太の方針」に多くの施策が盛り込まれる原動力となった。
 現在は、愛育病院院長として周産期医療の高度化に取り組む傍ら、プレコンセプションケアや産後ケアなど、現代日本が直面する課題に対するウイメンズヘルスの充実に尽力している。日本産科婦人科学会代議員、日本エンドメトリオーシス学会理事・顧問、JECIE理事長などの要職を歴任。臨床・研究・社会啓発、そして病院経営のすべてにおいて、女性の生涯にわたる健康支援(SRHR)の向上に捧げてきた卓越した功績が、松本賞に極めて相応しいと高く評価された。

【受賞者について】

 百枝幹雄氏 1984年に東京大学医学部医学科を卒業。卒業後、同大学医学部附属病院産婦人科にて研修を開始した。研修医時代より、第10回本賞受賞者である武谷雄二東京大学名誉教授のもとで、子宮内膜症を中心とする生殖内分泌学の研究に従事。東京大学において医学博士号取得後、92年から2年間、米国国立衛生研究所(NIH)へ留学し、専門性を深めた。帰国後、東京大学医学部附属病院講師を経て、2010年に聖路加国際病院女性総合診療部部長に就任。同院副院長として臨床・経営の両面で手腕を振るった後、22年より社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院院長を務め、現在に至る。

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