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海外情報クリップ 15歳の性行為と男女差-ヨーロッパ33か国の調査

 ヨーロッパの国々ではこの数十年間で、思春期男女が性行為を始める年齢が上がっており、このことは15歳男女の性行為経験者の割合を調査したいくつかの報告で示されています。これを国別に比較するため、オランダのユトレヒト大学社会学部などの研究グループは、WHOが協力して学校単位で行うHBSC研究(学童の身体活動調査;2010~18年、33か国の15歳男女、約5万5,000人)のデータを調査しました。その結果、男女全体で 見ると、15歳までに性行為を経験した割合は、33か国の平均で約25%(2010年)から18%(2018年)へ低下しており、この傾向は全ての国で見られ、特に低かったのはロシア(9%)、アルメニア(12.5%)、ポーランドとウクライナ(どちらも約13%)でした。
 さらに男女別で見たところ、いずれの国でも低下傾向は見られましたが、大多数の国では女子の割合は男子より低く、この男女差が大きかったのはクロアチアとルーマニア(男子23~28%、女子6~8%)、ウクライナ(男子19%、女子7%)でした。男女差がほぼなかったのはスウェーデンと英国でした(男子21~23%、女子23~24%)。
 著者らによると、性行為の開始年齢の差は、ジェンダー間の平等性の差を反映すると考えており、それぞれの国の社会構造から形成されるジェンダー・ノーム(男らしさ、女らしさに関する行動規範)の影響が大きいと分析しています。男子に比べて思春期の女子はこの影響を受けやすいため、型にはまった考え方が性行為を開始する年齢に影響しているというわけです。
 本研究では、国連開発計画(UNDP、2018年)のジェンダー不平等指数(GII)を使用しました。指数が高かった国は(男女間の不平等が大きい)ルーマニアとハンガリー、低かった国はスウェーデン、スイス、デンマークなどでした。

参考:Graaf H. et al.,J of Sex Research. 2025 Vol.62,No.4

(翻訳・編集=オブジン)

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