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海外情報クリップ 子宮腺筋症に対するプロゲスチン単剤薬の効果―3年間の使用成績

 子宮腺筋症は、子宮内膜様の組織が子宮筋層内にできる婦人科疾患で、主な症状は月経困難症と過多月経と言われています。これらの症状に対してよく使用されるのがホルモン製剤ですが、なかでもプロゲスチン単剤の長期間の効果が期待されています。イタリア、フローレンス大学産婦人科の研究者らは、症状を有するイタリア人患者約140人(平均年齢33歳、BMI:25)に対し、ジエノゲスト(2mg/日、71人)、デゾゲストレル(75mg/日、20人)、ドロスピレノン(4mg/日、24人)、IUS(ミレーナ52mg、25人)などをそれぞれ処方し、症状の変化をVAS(痛みを示すアナログ尺度)およびPABC(絵図で経血量を評価)で3年間観察しました。その結果、全患者の平均でみると、PABCスコアは203から65へ減少し、月経困難症のVASは7.6から1.8へ、骨盤痛は2.8から1.4へ、性交痛は5.2から2.2へそれぞれ有意に減少しました。
 ただし、観察期間中の使用薬の変更が可能なので、3年後の各患者の使用薬を見たところ、ジエノゲスト(55人)、デゾゲストレル(10人)、ドロスピレノン(22人)、IUS(40人)、酢酸ノルエチステロン(13人)などでした。ジエノゲストからの薬剤変更は49%で、変更薬で多かったのはIUSと酢酸ノルエチステロンなどで、主に避妊が目的でした。ドロスピレノンの場合は変更は46%で、変更薬はジェノゲストが多く、デゾゲストレルの場合は70%で、変更薬は主にジエノゲストとドロスピレノンでした。IUSは継続率が84%と高く、薬剤変更はジエノゲストへの4人だけでした。
 以上のことから、プロゲスチン単剤療法は経口または子宮内投与はいずれも、使用薬の変更にかかわらず、長期間で有効な治療法であることが示されました。

参考:Vannuchi S, et al. Gynecological Endocrinology.2025,Vol.41,No.1

(翻訳・編集=オブジン)

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