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海外情報クリップ スウェーデンの家族計画―30年の変化

 スウェーデンではリプロダクティブヘルス・ライツを取り巻く環境が年々変化しています。例えば、長期作用型避妊薬(IUSなど)は21歳以下には無償提供され、2018年には性行為前の同意が義務化されました。これらの影響で若年女性の家族計画の考え方がどのように変わったのか、ウプサラ大学母子健康部門の研究者らは、多くの学生が訪れる婦人科クリニックへ避妊カウンセリングに受診した約600人(平均年齢24歳)を対象に調査しました。質問項目のうちいくつかは過去の一連の調査と同じものがあり、1989年から今回の2023年まで6回の調査結果は次のようでした。例えば、これまで性行為のあったパートナーの数は約4人から11.7人へ増加、初めて性行為をした年齢は17.6歳から16.8歳へ低下していました。
 過去10年で比べた結果では、ピルの使用は全体の10%から24%へ増加し、コンドームの使用は70%から60%へ減少しました。次に挙児の希望を聞いたところ、希望ありは94%から75%へ低下し、決めていないが94人、希望しないは45人でした。希望しない理由を聞くと、「親になる意思がない」が21人、「健康上の理由(持病がある、子供を遺伝病にさらせたくない)」が7人、その他:人生は自由に過ごしたい、経済・社会的理由(パートナーはいない方がいい、ストレス、お金に苦労する)、地球環境の変化で将来が不安、などがそれぞれ6人でした。第一子を授かる理想の年齢は29歳、理想とする子どもの数は2児、また将来の適期に備えて凍結卵子を考慮中は165人(全体の28%、過去10年間で20%増加)でした。全体の98%は性行為前の同意義務をよく承知しており、ピルやIUSを使う女性が増えて10代の妊娠/中絶が減った半面、子どもを持ちたいと思う女性が減り、少子化が進んでいることも30年間の分析で明らかとなりました。

参考:Obern C et al.Eur J of Contraception & Reproductive Healthcare. 2025

(翻訳・編集=オブジン)

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