令和7年度 健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)11/27~28開催
11月27~28日の2日間にわたり、「令和7年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)」が開催された(主催=本会、こども家庭庁、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会、公益社団法人母子保健推進会議)。
「新たな母子保健の潮流~こどもまんなか社会の実現のために~」をテーマに、27日にはオンラインで講演・シンポジウムが配信され、28日には、こども家庭庁(東京都千代田区)にて功労者の表彰式が執り行われた。以下に式典の模様を紹介する。
式典
11月28日、こども家庭庁14階大会議室において、主催団体および本年度被表彰者らが一堂に会し、式典が行われた。
冒頭、内閣府特命担当大臣黄川田仁志氏が挨拶した。
初めに、参加者らに対し、健やか親子21推進への尽力に感謝の意を表すとともに、被表彰者へのお祝いを述べた。
続いて、「こどもまんなか社会」「健やか親子21」および今回の大会テーマに触れながら、「大会プログラムを通じて、すべてのこどもが健やかに育つ未来を目指して、私たちにできることは何かを共に考え、全国各地における母子保健の一層の向上に大きく貢献できることを期待している」と語った。
本会会長北村邦夫の挨拶では、被表彰者へのお祝いの言葉を伝えるとともに、いま、わが国が直面している性と生殖の健康と権利(SRHR)のトピックスに触れた。
まず、10月に公表された最新の衛生行政報告例(母体保護関係)では人工妊娠中絶件数は12万7,992件であった。前年度より1,200件ほどの増加となり、長年続いていた減少傾向に歯止めがかかった。特に注目すべきは、20歳未満の若年層の増加である。中でも16歳の中絶は前年度より19%増という深刻な状況。この背景には新型コロナウイルス感染症のまん延による一時的な性行動の減少、その後の社会活動の再開による急速な回復があると指摘した。この変化の中で、性教育はいまだ十分とは言えず、緊急避妊薬や経口避妊薬など、女性が自らを守ることのできる避妊手段へのアクセスも不十分である。さらに若年層の経済的脆弱さが医療機関受診を難しくしていることも見逃せない」と語った。そして、性行動が戻りつつある今こそ、社会全体で若者を支える体制を整えていく必要があると訴えた。
続いてHPVワクチンについては、現在、キャッチアップ接種も進められているが、地域格差が依然として多いことに言及した。わが国における全国平均の接種率は46%であるが、世界194か国中164位であり、WHOが掲げる目標90%には及んでおらず、「これでは、将来母となる可能性のある世代を子宮頸がんから守ることは、できない」と述べた。
また、今年に入り男性への9価ワクチン接種が承認されたが、定期接種化には至っていないことに触れた。「男性のプレコンセプション・ケア、妊娠前からの健康管理の重要性はまだ、十分には語られていない。喫煙や睡眠不足、ストレス、肥満などが精子に悪影響を及ぼすことを若いうちから学ぶ機会をふやすことが肝要だ」と投げかけた。
今大会の家族計画研究集会のテーマ「SRHRの視点からプレコンセプションケアを考える」について紹介し、地域の実践や教育現場での取り組みに生かしてもらえるよう求め、結びに、「本大会が次世代の健やかな命と健康を守る新たな一歩となることを祈念する」と述べた。



表彰
式典の後半では、各団体から本年度母子保健・家族計画功労者への表彰が行われた。今回、本会会長表彰は、個人51人および1団体に授与された。

2026年3月まで視聴可
