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世界人口白書2025「出産をめぐる真の課題~変化する世界で『生殖に関する自己決定権』を追求する」発表

 6月10日、国連人口基金(UNFPA)は、2025年版「世界人口白書」を発表した。

 今年のテーマは「出産をめぐる真の課題(THE REAL FERTILITY CRISIS: The pursuit of reproductive agency in a changing world)」。日本は調査対象国に含まれていないが、報告内容は多くの国々に警鐘をならす国際的な課題を浮き彫りにしている。主な調査結果は、以下の通りである。

  • 50%以上の人が、経済的な問題が、望む数の子どもを持つことの妨げになっている
  • 5人に1人が、自分が望んでいないのにもかかわらず、子どもを持つように迫られたことがある
  • 成人の3人に1人が、意図しない妊娠を経験した
  • 11%が、育児負担の不平等によって子どもを持つことが難しくなる

 この報告は、子どもを持つことに対する「経済的・社会的障壁」が、リプロダクティブ・エージェンシー(生殖に関する自己決定権)の危機的状況をつくりあげていることを明らかにしている。

 さらに同書は、この状況を打破するための解決策として、個人の生殖への願望を尊重するシステム(以下)の構築が不可欠であると強調している。

  • 手頃な保育料やすべての養育者のための有給休暇など家族に優しい政策
  • 安定した仕事と手頃な住宅の供給による成人移行期の若者への支援
  • 女性が育児に不釣り合いな責任を負わず、男性が育児のやりがいを経験できるような、パートナーシップの促進
  • 多様な家族への支援
  • 経済生産性の低下と労働力不足に対処する方法として、移民の存在を認めること
  • すべての人のための生殖に関する健康と権利の確保(生殖に関する正確な情報を含む)
  • すべての人が、子どもの数、間隔、時期について自由に決定できるようにすること

詳しくはコチラ

「世界人口白書2025」(国連人口基金)

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