ピル承認秘話―わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)―第90話 ピル承認反対派の動き
1999年3月3日の中薬審常任部会が「ピル承認6月」という決定を下して以降、ピル承認を反対するグループの動きも活発になっていた。
「エコロジーと女性」ネットワーク吉田由布子氏、「準備出産&からだのおしゃべり会」森冬実氏らが99年4月8日付、厚生省医薬安全局中西明典局長、審査管理課平井俊樹課長宛に次のような「質問書」を提出している。
Ⅰ.中高用量ピルについて
1.現在まで中高用量ピルを避妊用に使用している女性達の健康状態についてのデータがあるか
2.1984年2月に避妊薬としての中高用量ピル使用の副作用と思われる死亡例があったというが、その調査結果は
Ⅱ.低用量ピルについて
1.臨床試験中ならびに試験後の妊娠例の追跡調査について
2.臨床試験の問題点について
3.「中間とりまとめ」では、がん発生についての年齢別リスクに触れていないがどう考えているか
4.他のステロイドホルモン同様、ピルを服用することにより免疫力の低下を引き起こすことが心配されるがどう考えるか
5.私どもが提出した医学文献の扱いについて
6.「内分泌攪乱物質(環境ホルモン)」としての検討について 微量とはいえ、体内に残ったピルの合成ホルモンの、①服用者への影響、②胎児への影響、③授乳中にピルを服用した場合の乳児への影響などについての考え
7.処方(成分)の異なる6種類のピルを一括して審議されていることについて。特に第三世代ピルの扱いについて 血栓症のリスクを従来のピルよりも高めるとしてヨーロッパやニュージーランドでも規制のかかった第三世代ピルであるマーベロンの審議についての考えは
8.重篤な副作用に対する集団訴訟など外国の例について イギリスではピルに関連した死亡や重症例136人が製薬会社ならびにピルを処方した医師を訴えている。その他の国の例を含め、ピルに関連した重篤な副作用や訴訟について把握しているか。このような事例を審議に加えているか
9.意見の公募について 以前厚生省は、「認可について、インターネットやマスコミを通じて広く国民の声を聞く」としていたが、いつ頃、どのような形で予定されているか
10.「中間とりまとめ」以前の要望書などについて これら過去の要望書は、審議会の中でどのように扱われたのか
その後、5月8日には、「準備出産&からだのおしゃべり会」の名で、宮下創平厚生大臣、中央薬事審議会内山充会長、厚生省中央薬事審議会常任部会宛てに同様な要望書が提出されている。同グループは、5月8日(土)池袋エポック10において環境ホルモン学習会を開催している。