はたがや日和

はたがや日和~JFPA相談室へようこそ~【862号】

思春期・FP相談LINE/避妊のためのピル&アフターピル相談室 相談員 松原 由佳

 日々の悩みをチャット GPTをはじめとするAIに相談する人が増えているようです。私自身も日々の献立から学会での活動報告の際の言葉の選び方まで、本当にさまざまなことをAIのアプリに投げかけます。AIはまず「良い気付きですね!」や「それは悩みますね」など寄り添う言葉を返しながら、疑問解決に向けてさまざまな選択肢を提示してくれます。

 私たちのLINE相談では、この相談窓口をどこで知ったかをヒアリングしていますが、ネット検索や性教育講演で知ったというケースに加え、ここ1年くらいで「チャットGPT」に教えてもらったというケースが散見されるようになりました。

相談内容は妊娠不安、性交に対する不安、マスターベーションについてなどさまざまです。思春期の子どもたちが、“誰にも言えない”性の悩みを、まずは“誰でもない”AIに相談していることは想像に難くありません。

AIはどのくらい適切な回答をしてくれるのか?と興味本位で、私たちが回答に苦慮する性癖に関する相談を某AIアプリに投げかけてみたところ、寄り添いつつも助長することなく倫理的な配慮がなされた返答がありました。もちろんさまざまなAIがあるのでこうした配慮があるものばかりではないことも承知の上ですが、誰にも言えず何もできないまま不安を抱えているよりは、AIを窓口に必要な情報や支援につながっていくことは令和の子どもたちにとって必要なルートだと感じています。

一方で、AIの悪用による性的ディープフェイクと呼ばれるような画像・動画の加工や、米国では10代の少年がAIへの相談をきっかけに自殺に至ったなど負の側面も浮かび上がってきています。今年の思春期学会では「AIネイティブ」という言葉が登場しました。今の思春期の子どもたちにとっては、当たり前にそこにあるAI。インターネットが日本に普及し間もなく30年となりますが、敵視するのではなくうまく共存していく方策を、子どもたちと共に考えていく必要性を感じます。

性の相談の場で言えば、やはり直接の診察が必要となったり、対話や丁寧な状況確認が必要になったりするケースも少なくありません。不安に寄り添いながらも、リスクを時にズバリと伝えることは『ヒト』ならではの技術なのではないかと考えます。私たち専門家は、たくさんの相談に向き合ってきた経験値を生かしつつAIに負けないよう、相談の技術を磨き新しい知識や情報を仕入れながらブラッシュアップしていかなければなりません。

AI、専門職による電話やLINE、ユースクリニックなどのリアルの場、もちろん学校や家庭など子どもたちの生活の場で、子どもたちを守るセーフティネットは幾重にも張り巡らしていくべきだろうと感じるのです。

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