はたがや日和～JFPA相談室へようこそ！～【852号】

　思春期・FP相談LINE／避妊のためのピル＆アフターピル相談室相談員　廣瀬　和美

　私が相談員となったのは2021年4月に思春期相談が電話からLINEに切り替わった年からでした。LINE相談の内容で、私達が得意とする体に関する事でしたら科学的根拠を踏まえ個別の性教育の場だと思いお答えしています。この4年の間で私が最も考えさせられたのは親子関係の相談です。
　中学生から「私は勉強しても成績が上がらず順位も下がってしまい、部活では練習を頑張っているつもりでもレギュラーになれず、お母さんは私に頑張りが足りないからだと言います。もう自分はダメな人間だと嫌になります。死んでしまいたいです。」と綴られていました。どこの家庭にもある事かと思うのですが、子どもが悲鳴をあげている事に気づくか気づかないか、気づいてもその親の価値観や、育った環境により子どもに対する接し方が変わるのかなと思います。Lどんな親御さんかを存じ上げない中、どう返そうか悩みました。まずはとても頑張っていることを認め、その上で「体と心がキャパオーバーのサインを出しているのでは？」と客観的に相談者の体と心に起こっている現状をお伝えしました。そして、「親御さんにその事を伝えてみてはどうでしょう」と提案したのを覚えています。中学生ですと、家と学校が人生の全てといっていい中、行き詰まって死にたいとまで言っている相談者さんにどう寄り添うかは、LINEではとても難しいことです。今の状態が“キャパオーバーのサイン”だというワードに反応してか、「話してみます」と返信があったので、胸をなで下ろしました。
　小学生の女子からは「生理が来たけど親に言えません。」という相談。
親に言えない背景に何かあるのかな？とも思いますが、生理はナプキンも必要ですしこの先も来るもので、親に言わずに過ごすには限界があると思いました。もし言えないのであれば保健室の先生に相談してみる事を勧めました。
　実は私、生理を親に言いたくない気持ち、すごくわかるのです。
　私の実家では同じ歳くらいの女子が近所に3人いて、最初に生理になった子の家が近所にお赤飯を配りました。恥ずかしいだろうな・・・と思っていたら、次は私でした。そもそもなぜお赤飯を近所にまで配るのか？私に同意もなく、やめてほしいなと思ったのを覚えています。そして近所の人達も私にお祝いを言うのです。その時の私には全くめでたいことでもなんでもなく、本当にやめてほしいと思いました。調べてみるとお赤飯を炊く風習は各地にあるようですが、私のように嫌だったという人もいれば、嬉しかったという人もいて、様々です。お赤飯まで作るのですから、親としては本当におめでたい嬉しいことと思っているのだと思います。しかし、子供の意志を確認することが大切だと思います。
　性的同意が話題になっていますが、日常にも「同意」が必要なことはあって、「性」だけが特別なことではないし、どんな些細なことにも、当事者の意志が尊重されるべきだと、小学生からの相談を機に、いろいろ思いが巡りました。
　LINEでは相談者の背景まで読み取れず返答に悩むことが多々あります。相談員での受け取り方も違い難しいこともありますが、皆で振り返りを怠らず、悩み、考えながら相談者が相談して良かったと思えるような対応をしていきたいと思います。