機関紙

【第681号】 平成22年12月1日発行(2010年)

2010年12月 公開
12月号の目次
平成22年度健やか親子21全国大会 さいたま市で開催
長池博子本会理事日中友好協会より表彰
ノルレボ錠0.75mg医薬品製造販売承認について パブリックコメント募集中
編集帖
・平成22年度ブロック別保健事業研修会開催 他
平成22年度母子保健家族計画事業功労者 厚生労働大臣表彰被表彰者

「思春期ピアカウンセラー」養成者養成セミナーを受講して

日本のピンクリボン運動

・乳幼児の皮膚疾患(3)そのほかの皮膚疾患

職域保健の現場から(8) 総合健康保険組合が提供する健康づくり支援
避妊教育ネットワークトークリレー<9>貞永産婦人科(大分県大分市) 院長 貞永 明美

 

 編集帖

 

 ▼今から10年ほど前のことだった。英国ロンドンから一人の女性がクリニックを訪ねて来られ、プロゲステロン製剤の一種であるレボノルゲストレル単剤による緊急避妊ピル(『ノルレボ錠』)の日本への導入についての相談があった。当時、「緊急避妊ネットワーク」の構築を始めたばかりの筆者にとっては、安全性、有効性が従来のヤツペ法に比べて改善された新しい緊急避妊ピルの魅力に取り憑かれた。

▼その『ノルレボ錠』の早期承認が待たれていたが、国は11月10日、「ノルレボ錠0・75㎎の医薬品製造販売承認について」と題したパプリックコメントを開始した。新薬の意見募集は異例なことであり、低用量ピルの承認が先送りされた忌まわしい過去が走馬燈のようによみがえってきた。

▼早速、「なぜ、今、緊急避妊ピルが必要なのか」をまとめて、関係各位に訴えた。2006年から、性被害者に緊急避妊ピルを無料で提供していること。従来の緊急避妊ピルでは副作用が強く、安全性が担保できていないこと。そして何よりも、緊急避妊ピルが未承認の国は北朝鮮やアフガニスタンなど7か国だけとなっていること。

▼しかし、今回は低用量ピルの時とは明らかに違っていた。応援メッセージが続々と筆者に送られてきたのだ。医師仲間、コメディカルが即座に反応してくれたのは言うまでもないが、特に勇気づけられたのは性被害に遭われた女性からの率直なメールだった。「性犯罪の被害者となり妊娠するかもしれない恐怖に怯えていました。緊急避妊が当然のケアとなっていないのはおかしい」。11月26日の医薬品第一部会で科学的見地からの審議は終了したが、今後はパブリックコメント等をふまえた審議がなされる。可及的速やかなノルレボ錠の承認を願う。(KK)

 

 

 平成22年度母子保健家族計画事業功労者 厚生労働大臣表彰被表彰者

 

  平成22年度の母子保健家族計画事業功労者(厚生労働大臣表彰)の被表彰者は個人57人、団体6団体。表彰式は11月11日、さいたま市の埼玉会館で行われた平成22年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)で行われた。本事業は、母子保健または家族計画事業に永年従事し、著しい功績のあった個人、団体を表彰し、その推進に資することを目的とする。昭和41年に始まり、今回で45回目となる。 

 

 「思春期ピアカウンセラー」養成者養成セミナーを受講して

 

  東京大学バリアフリー支援室 鈴木 真澄

7月17日~20日の4日間、日本家族計画協会主催『思春期ピアカウンセラー養成者養成セミナー』を受講〝しました〟。4日間、とてもハードでしたが実に有意義で、かつ、大きな気付きを得ることができました。冒頭で、「受講〝しました〟」と書きました。〝させていただきました〟と、あえて書かなかったのには理由があります。その理由を含めて、セミナーを受講して得たものや、それを今後どのように活かしていきたいかについて、少し書かせていただきます。
▽ピアカウンセリング
との出会い
私は、15年前から数年の間で、網膜色素変性症の急な進行により視力を少しずつ失っていきました。少しずつ見えなくなっていく中で、見えなさ・見えにくさを補うツールや情報をいかに活用するかについて習得していきました。そして、現在は、東京大学バリアフリー支援室で、障害のある学生や教職員への支援のコーディネートを仕事としています。
私が『ピアカウンセリング』という言葉に出会ったのは、自身が障害者手帳を取得した十数年前のことでしたが、様々な理由から、これまでピアカウンセリングについて学ぶことなく過ごしていました。しかし、バリアフリー支援室で障害のある当事者として、自身も支援を受けながら、障害のある学生・教職員への支援の仕事をするようになって4年が経過した今、様々な障害のある学生や教職員と接する中で、ピアカウンセリングの知識や手法を、まず私自身がきちんと学び、更にそれを、障害のある学生や教職員自身へも伝えていく必要があると強く感じるようになり、どこかで学ぶことができないかと探しました。そして、日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会のwebページと出会いました。webを読ませていただき、「ここなら自分の目的を達するための学びを得ることができるかも知れない」と、問い合わせ先へ早速、自分の目的と希望、その目的に合った講座を開催していないかをお尋ねしました。広報の方からすぐにお返事をいただき、代表の高村寿子先生と電話でお話しする段取りをつけてくださいました。
 

   
   
 セミナーの様子  

▽セミナー受講し「ピア」実感
高村先生へお電話するにあたり、私は、受講の目的や意図を上手に伝えることができるか、そして何より、見えない私が講座を受けることを了解してもらえるか、強い緊張を感じました。しかし、高村先生は最初から一貫して、「どうしたら私を含めた皆がよい学びを得ることができるか」を根底においてお話してくださいました。結果、恐らく私の求めるものがこの講座にはあるだろうこと、可能な限り私が学ぶためのハンデが少ない状態で受講できるようにとおっしゃってくださいました。
このようにして迎えた4日間の講座、かなりのボリュームで毎日フラフラになりながらの受講でしたが、まずは、受講に当たっての連絡や講義で使われる資料について、また会場への往復に関する私の不安やお願いを、日本家族計画協会の方々は一つずつ丁寧に受け止め、対応してくださいました。このような細かなサポートは、私に「堂々とこの講座を受けていいんだ」と、大きな安心感を与えてくれ、さらに、受講する皆さんとピアであることを実感させるには充分なサポートでした。また、講座を受ける中での皆さんとの関わりで、私は皆さんとピアであるとの実感を強くしました。
講座を受ける前、私の中には「私は他の皆さんとはちょっと違うのかも知れない」と、「果たして、みなさんとピアを感じることができるのか」、漠然とですが、今にして思うと、私自身から線をひいていました。その根底にあったのは、『障害のある者とない者』という区別です。「果たして、障害のない皆さんと、障害のある私とがピアを感じることができるのか?」と思っていたのです。
それが、最終的にはとても素直にピアを実感することができました。これは今の私にとって、また、現在私が関わる多くの障害のある人達にとって大変に大きな気付きでした。同時に、昨年から職場で始めた、障害のある学生と、それをサポートする学生との意見交換会は、期せずして「グループによるピアカウンセリング」の場になっていることにも気付き、大きな充足感を得ました。
このように、私が「もっていないつもりでもってしまっていた『障害のある・なし』の区別」が私の中から払拭されたことから、〝させていただきました〟とへりくだった表現をするのではなく、〝しました〟と書きました。
▽障害のある学生のサポートの場で
今回の受講で得たことを、これからどう活かしていくか、まだまだ模索中ですが、先に書きました、昨年度から、半年に一度企画し、開催している障害のある学生と、障害のある学生をサポートするスタッフ達を集めての意見交換会は、グループによる「ピアカウンセリング」に近いのではないかと感じます。まずは、これを足がかりに進めていけたらと考えております。
セミナーに出席し出会った皆さんへ、心から、ありがとうございました。

 

 日本のピンクリボン運動

 

  乳がん予防、社会全体で取り組みを
 
 基調講演 グローバルのピンクリボンの先行事例 日本のピンクリボン運動 (ピンクリボングローバルカンファレンスより)

 
NPO法人乳房健康研究会・ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長 島田菜穂子

乳がん予防の啓発に取り組むNPO法人乳房健康研究会(霞富士雄理事長)は9月18日~19日、都内で「ピンクリボングローバルカンファレンス」を開催した(主催=乳房健康研究会、議長=福田護同会副理事長、後援=厚生労働省、本会他)。これは同会の発足10周年を記念するもので、「日本のピンクリボン運動の振り返りと未来志向―この10年の評価と次の10年のための情報共有―」をテーマに討議がなされた。米国、韓国、日本からの演者による基調講演から、島田菜穂子氏による「日本のピンクリボン運動」の概要を紹介する。

1.日本における運動の広がり
●行政の動き
乳がんを取り巻く日本の環境は変わってきています。この10年を振り返ると、まず行政の動きとしては、2000年以前、検診は視触診のみでした。しかしそれでは死亡率低下の有効性がないことが分かっていたので、2000年以降は、有効な乳がん検診の導入が急速に進められてきました。
大きく分けると、2000年以降がマンモグラフィを導入していこうという時期、2004年以降はその導入したものをさらに整備して強化していこうという時期、そして今はある程度設備がそろってきて、受診者を多く受け入れる努力をしていこうという時期になっています。
特に乳房健康研究会が設立された2000年はマンモグラフィ併用検診がスタートした年ですが、その後併用ではなく、マンモグラフィが基本であると変わったのが2004年以降です。対象年齢も50歳以上から40歳以上に引き下げられ、このあたりから行政も、多額の予算をマンモグラフィの緊急整備事業に投入するようになりました。
2007年以降は、具体的に「検診受診率50%」という数字を掲げて、行政も積極的に取り組んでいます。
無料検診クーポン、これは非常に画期的なことです。従来住民検診というのは、一般的には主婦の方を対象にするという考え方がありましたが、昨年度皆さんに送付された無料検診クーポンは、仕事を持っている方も主婦の方も、その対象年齢に当たる方にはどなたにも、個人あてに郵送されました。
ただ、そんなにすごいことをしたのに、一般の方は知らなかったり、医療従事者もよく理解できていなかったりという残念な状況がありました。今年度も継続していますので、これをどうやって今後につなげていくかが問題です。

●市民団体の動き
一方、市民団体の考え方も変わってきました。
1990年代には、乳がんになる方が既に多くなっていたので、患者の方がお互いに経験を交換しながら、周りの方たちに検診を勧める活動を行っていましたが、なかなか協力を得られないなど、非常に苦労が多い時期だったと思います。しかし乳がん検診の手法が変わった2000年を皮切りに、少しずつ世の中の考え方も変わってきました。
私どもの会が発足した2000年以降、乳がん検診にはこういう手法がいいとか、マンモグラフィを取り入れてやっていこうとか、医学的根拠に基づいた伝えるべきことが明確になってきました。それを基に医療従事者やサービスを受ける側が正しい情報を提供していくという考え方が広がりました。
その後、マンモグラフィ整備期になってくると、全国に正しい情報を伝えていこう、あるいは自分たちの体験をシェアしようという考え方がさらに広がって、活動の幅が広がっています。そして今後未来に向かっては、これまでの経験や変化を踏まえ、具体的にこれから何をすべきかを考える時がきています。

●企業の動き
さて、世の中が変わってくると、企業としての動きも出てきます。何か活動するに当たっては、その基になる資金や協力者が非常に重要ですが、いろいろなノウハウや資金の提供においては、企業や団体の協力がこの活動には欠くことができないと思います。
当初、私どもがピンクリボン運動を始めようと、同志が集まって話をした頃は、いろいろなところに話しに行っても、なかなかマンモグラフィという言葉自体も一般に浸透していませんでした。しかし当時も、既に米国などで社会貢献活動の実績のあった外資系の企業では、そういう実例は海外にはあるので、少し耳を傾けてもらえました。
そして、私どもがイベントを行ったりすると、それをご覧になったほかの企業や協力者の方たちが、「こういう貢献や協力の仕方があるのだ」と気づき、徐々に考え方が広がっていきました。今は乳がん死を減らしていくという目標に向かって、企業として、どういう立場で、何ができるかというところにさしかかっていると思います。

●メディアの役割
私どもが正しい情報やエビデンスに基づく行動をしていく中で、もう1点重要なのは、情報を伝えるメディアの参加です。
日本には自身の病気の体験を話すという文化はあまりありませんでしたが、例えばメディアで体験者の方のストーリーを紹介するとか、ニュースや情報としてイベントを紹介することなどで、乳がんについても非常に身近に話せる雰囲気が、2000年から現在に至るまでに、少しずつ育ってきたのは大きな変化だと思います。
最近の傾向として、バーチャルのネット上での情報伝達があります。これは非常に速く、リアルタイムで情報が手に入り、一瞬にして全国で同じ情報が得られます。こういった手段も、これから運動を広げていくために非常に大きな力になると考えています。

2.なぜ運動が広がったか

     
   
     

●認知度調査を実施
ピンクリボン運動の認知度の変化について、私どもは経年で調査してきましたが、図1は2005年から2009年の変遷です。徐々に認知度が増えているのはもちろんですし、イベントに協力したり寄付したりしたことがあるという方も徐々に増えている。逆に知らないという方が減っているのは、実際に皆さん方も感じると思います。
そして、ピンクリボン運動に対するイメージを尋ねると、総じて非常にポジティブなイメージを社会全体が感じているということが、お分かりになると思います。「女性をサポートする」というイメージを持っているのが61・6%で一番多いですが、後は「社会に貢献する」「好感が持てる」「親しみやすい」「かわいい」など、ポジティブなイメージを持っていることが、参加しやすいポイントになっているかもしれません。
そして実際に、ピンクリボン運動に協力する企業に対してのイメージを尋ねると、そういう活動に積極的に参加している企業に「非常に好感を持てる」という答えが返ってきています。一般の市民が企業のピンクリボン運動を通して、「女性をサポートしている」「社会貢献をしている」と、社会的な役割を高く評価しているのも、非常に興味深いところです。

●運動の親しみやすさ
健康について自分で考えたり自ら情報を取り入れるためには、講演に行ったり、本を買って読んだりして勉強するのが普通の方法だと思いますが、ピンクリボン運動では、何か楽しいイベントに、自分だけではなく誰かを誘って参加して、そこで情報を得る。知らないうちに楽しい気分になる。近くで体験者の話を聞けるというイベントがあるのも受け入れられやすい要因だと思います。
また、かわいらしくて分かりやすいシンボルマークがあるのも、ピンクリボン運動が受け入れられやすい要因の一つです。さらに、情報が広がるためには、大手メディアの参入がありました。

●エビデンスに基づいて
情報が広がるためには、ただ漠然とした情報ではなくて、はっきりとした目的に対して、何をすればいいかという具体的な情報の提示が必要だと思います。例えば、2000年にマンモグラフィが乳がんの死亡率の低下に有効性があるという医学的なエビデンスがはっきりしています。
また、マンモグラフィ検診を行う能力を持った医師がいる、乳腺外科や乳腺科などの専門の診療科でさまざまな診療を受けることが必要―といった具体的な表示が行えるようになりました。それはその根拠が、時代とともに明らかになってきたためです。そういう信頼のできる医学的な背景があって、情報が伝えやすくなりました。
今、全国では乳がん関係のイベントが10月に行われているところが多いですが、母の日や桜のシーズンなど、毎年同じ時期にやるというような、イベントとしての継続も重要だと思います。
乳がんで亡くなる方、乳がんで悲しむ方が少なくなってほしい。この目的でピンクリボン運動があるわけです。実際にピンクリボン運動を通して皆さんが情報を得、行動に移ることが、欧米の前例にあるように、死亡率の低下を導きます。こうした明らかな目標が、日々忙しい中で頑張れる根拠になります。またそういった明らかな「いいこと」があるのが、情報が広がっていく根拠にもなると思います。

3.乳房健康研究会の活動
●受診率向上のために
乳房健康研究会の活動も、この10年でいろいろ変わってきました。
まず受診率向上のための活動としては、多くの方々に同時に体験していただくような、イベント型の啓発活動があります。例えばマンモグラフィ体験、これは必ずしも、これで受診のチャンスを増やすということではなく、継続的にマンモグラフィを受けていただくためのきっかけです。ですので、例えば「来年はここに来ないから、私はマンモグラフィを受けられない」という意見が起こるとすると、それはイベントとしては成功ではありません。こういうものをやるときは、そのポイントを十分理解して帰っていただきます。それから、講演をして情報を得てもらうというパターンのイベントがあります。
実際に受診率が低い場合は、その問題点を明らかにしないと解決できません。私どもは検診の提供者側と受診者側に対する現状調査を行いました。
調査により、受診者側にも提供者側にも、少しずつマンモグラフィや乳がんへの認識の変化があることは明らかです。この結果を行政や社会にフィードバックしていく。今どういう状況で、どういう問題を抱えているかを明らかにして、解決につなげていく活動をこれからもやっていかなければと思います。
個人に対するアプローチとしては、自治体で検診をしたときに、各戸に分けていただくリーフレットや、スポーツクラブや温泉などでお使いいただくシャワーカード、パネル、書籍、DVDなどの啓発ツールを皆さんの協力のもとに準備しています。ホームページでの情報提供もあります。
そして非常に重要なのが、マンモグラフィの精度管理です。欧米より遅れてマンモグラフィがスタートしたので、むしろ非常に厳しい精度管理ができていると思います。安心・安全な検診を提供している、あるいは提供しなければいけない、また受けなければいけない。そうした検診自体への安心感を一般の方にも伝えることが、受診率の向上にもかかわると思います。

4.ピンクリボン運動の未来に向けて

     
   
     

●多様な受診者への対応
乳がん検診に対する認識は上がってきていますが、行動はまだ不十分なのが現状です。行動と認識のギャップを埋めていくには、どうすればいいでしょうか。このまま同じような啓発や教育でいいのかという疑問に当たりましたので、現状をもう少し詳しく見る調査をしました(図2)。
受診者のタイプと行動パターンを分類すると、既に受診を継続、あるいは比較的継続して受けている「ピンクリボン行動派グループ」は、情報やピンクリボンの認知度についても非常に敏感で、行動も起こしている。これは皆さん方が各地でイベントをされても、毎年来てくれるような方たちです。次のサポーターとして、実際に語り部になってくれそうな方たちが、このグループにいます。

そしてその次の段階、「保守・知識派グループ」と勝手に名前を付けました。受診したことはあるが、続けていない。受診しようかなという気持ちもあるが、今は行っていないという方たちです。
そしてその次、「中間派グループ」は、受診をしたこともないし、受診したいがどうしていいか分からないというグループです。一番問題なのはやっぱり「中間派グループ」で、それから検診を受けたことがあるが続けていない人たちを、どうやって検診に戻していくか対策をとらないと、受診率は上がりません。
既にしっかりと行動している方に対しては、同じような情報提供で継続が望めると考えられますが、保守・知識派グループ、行ったことがあるが何らかの理由でやめてしまった方たちに、ポイントを絞って行動や好みを聞いてみると、「施設を自分で選びたい」「安心な施設に行きたい」など、自由度や費用の部分がクリアになれば、行けるかもしれないと答えています。

なので、それに対しては、例えば最近各地に乳腺クリニックが増えているので、かかりつけ医を利用するような形で、場合によっては住民検診のような集団検診を、もう少し身近で距離的にも時間的に利便性の高い、乳房のかかりつけ医となるべき乳腺専門クリニックでやっていくと、今までの受診先では受診できなかった人たちを拾い上げられるかもしれません。

後は、全く受けたことがないが受けたいという方たちに、何が解決されれば受診できるかと問うと、「休日や夜間の受診」「費用」「職場の近くで受けたい」などが挙がりました。
となると、やはり一律の対策では、行動パターンの多様化に対応できません。個人の無料クーポンに情報を付けたり、検査機関を自治体の枠を超えて選べるようにしたりする必要があります。
また教育啓発は女性だけではなく、子どもや男性にも必要です。診察をしていると、近くに体験者がいて、その方に勧められて受診行動に移る方が非常に多いので、体験をシェアする場をたくさんつくるのも、引き続き必要です。

●受診環境と精度管理
また検診の受診環境を整えることも非常に重要です。予防医学に対する日本の保険制度の何かしらの改革もある程度起こってこないと、なかなか費用面も改善できないと思います。
精度管理については、非常に厳しい教育制度があり、試験を受けた医師あるいは技師、そして認定を受けた施設でないと、安全な検診は受けられません。ほかの臓器に比べるとかなり安全性を補完してきた乳がん検診ですが、それらを多方面から見守っていく。これは医療側の自主的な意識だけではなくて、受診者側も認識を持って見張っていくという時代に入っていかなければと思います。

●社会全体で取り組みを
多様化したニーズに応じた情報提供、これは地方によって、どこを工夫すれば人々が行動に移れるかという状況はそれぞれ違うと思います。情報交換をしながら、受け入れられるところを取り入れていくことが必要です。
企業は顧客特性に応じた手法を使っていく。患者団体は患者団体にしかできないきめ細やかなサービスを提供する。さらに、男女共同参画という視点でピンクリボンを見ることも必要です。

さらに今後重要なのは、現在行われている検診の内容だけで本当にいいのかという点です。医学的な研究や検証を引き続き行って報告を出し、それを見張っていくという立場を、医療側も受診者側も互いに持つ必要があると思います。その正しい情報やエビデンスに基づいて、私どもの要望を行政へ伝えていく。また活発に共に動いていくことが必要だと思います。
乳がんの環境を変えていくには、かかわるすべての人たちが取り組み、互いに情報を共有し、力を借り、得意分野を利用していくことが非常に重要です。これは私たち一人ひとりの責任でもあります。
責任を持った社会というのは、やはり成熟した社会だと思います。ピンクリボン運動は、ヘルスケアや医療の分野にとどまらず、人々の認識や社会、個人のあり方を変えるきっかけになるのではないでしょうか。今後も皆さん方と、一緒に頑張っていきたいと思います。
(文責・編集部)

◆関連教材のご案内◆
・「ブレストケアノート」島田菜穂子著、本会発行
・「ブレストケアシャワーカード」乳房健康研究会監修、本会発行
 

  • 保健指導用教材・備品のご購入(保健指導マーケットへ))
  • セミナー・研修会情報
  • スマートフォンサイトへ
  • カタログ
  • #つながるBOOK
  • 指導者のための避妊と性感染症予防セミナー(SRHセミナー)
  • 防ごう!まるとり マルトリートメント
  • 2021年度版『最近の母子保健を取り巻く状況』
  • 日本家族計画協会 主催セミナー
  • 葉酸Plus
  • リューブゼリー
  • メノケアモイストゼリー
  • JEX SEX SURVEY 2020
  • 健やか親子21×鷹の爪団 みんなで子育て大作戦
  • 個人のお客様へ
  • メールマガジへの登録・解除はこちら
  • 思春期・FP相談LINE(ライン)
  • 不妊・不育ホットライン
  • 研究倫理審査を希望される方へ
  • Dr.キタムラのJFPAクリニック
  • JFPAウーマンズヘルス
  • JFPA U-com
  • 株式会社日本助産師会出版
保健・医療・福祉・教育関係者向け情報