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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
緊急避妊薬の使用とその後の妊娠・出産―米国

第824号

◆一時的な避妊法
 レボノルゲストレル緊急避妊薬(以下EC)の使用率(1回以上使用した女性の割合)は、発売から20年を超える米国でも20%程度です。その一方で望まない妊娠・中絶は後を絶ちません。この背景には、ECの反復使用で不妊症リスクや使用後に生まれた新生児の先天異常のリスクが上がるなどの誤認があるとスウェーデン・カロリンスカ大学のエンドラー氏らは考えて、ECに関する文献を網羅的に調査しました。
 その結果、ECの避妊効果は約70~90%とされており、逆に言えば数十%は効果が見られず妊娠することがあります。卵巣から排出された卵は卵管を通過しながら受精し、子宮内膜に着床して妊娠が成立しますが、ECはこの排卵を阻止または遅延させます。しかしECを使用した時、既に排卵されている場合は、効果が大幅に減弱してしまいます。
 また、次の月経周期が来ると前回服用したECの効果はありません。エンドラー氏らは、EC服用後に妊娠した症例を調べた結果、一度もECを使用しなかった妊婦の場合に比べて、流産率はそれぞれ10.3%と8.6%、先天奇形は1.5%と1.3%、産後2年間の追跡でも非使用者に比べて身長・体重・頭囲に差はありませんでした。EC使用月以降の月経のパターンはこれまでと同様でした。またECを、排卵を示す黄体化ホルモン上昇の前、同日、以降のいずれで服用しても、子宮内膜着床能を示す指標(グリコデリンA)に変化はなく、結論としてECの使用は受胎能と胎児には影響しないと考えられました。
 一方でエンドラー氏は、EC使用後も妊娠する可能性は使用前と変わらず、避妊効果は一定の期間だけに限定されていることの重要性を強調しています。EC使用直後でも、避妊しない性交渉を続けると、たとえ排卵が遅延されたとしても受胎能は持続されており、いつでも妊娠する可能性があります。ECはあくまでも一時的な妊娠回避の手段と言えます。
参考 Endler M, et al. Contraception. 2022, 109

(翻訳・編集=オブジン)



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