Facebook Twitter LINE
ピル承認秘話

ピル承認秘話
–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–
<第21話>本会機関紙から消えたピルの文字

第789号
ピル承認秘話
一般社団法人日本家族計画協会 会長
北村 邦夫

 本会機関紙の前身「家族計画」上に頻繁に登場していたピルの話題がとんと少なくなった。
 筆者は、バックナンバーの一頁一頁に目を通したが、第143号(1966年2月20日号)に、国立公衆衛生院衛生人口学部・村松稔氏(当時)が、「新しい二つの避妊技術 子宮内挿入器具と経口避妊薬」について書いている。
 「ピルは話題になった頻度からいうと子宮内挿入器具に比べてよりセンセイショナルである」とし「費用の高さ、決められた一定の服用方法に従わなければならないことからお得意先は先進国である」と断じている。さらに、「学会においてピルの発表を聞いていると、その高い効果には異論はなく、障害、副作用も特別にこれを否定しなければならないほどのことはないが、長期連用には重要な器官の機能障害が起きないか危惧される」としている。
 第164号(67年11月20日発行)には、東京女子医大(産婦人科)・大内広子助教授(当時)が「第12回日本不妊学会から」(福島市)を寄稿している。学会探訪記を編集部から求められたようで、子宮内避妊具(IUD)と経口避妊薬(ピル)が話題として取り上げられている。学会では、ピルに関する研究発表がほそぼそと行われていたようで、神戸大学の「ゲスターゲン少量投与時子宮頸管粘液の生化学的性状についての検討」が発表された。要約すれば、ゲスターゲン使用により子宮頸管粘液の糖質と蛋白の増加が起こり精子の通過性が著しく低下したこと。すなわち、少量のゲスターゲン投与時の避妊機序の一つとして、子宮頸管因子の存在があるとのこと。
 その他、黄体ホルモン製剤、または卵胞ホルモン製剤の使用成績を述べ、いずれも排卵抑制を認め、避妊の目的を達していた。また副作用として、重篤なものもなく、正常な妊娠例を追求できたという。ピルは、いずれも月経開始から少なくとも20日間以上連用する煩わしさ、経済的にも高価である点などまだまだ難しい点がある。 
 ピルの効果については既にかなりの成績が発表されているが、その避妊機序についても排卵抑制が起こり、確実な避妊効果を表すというものの、副作用としての黄疸(おうだん)の発生や一過性の肝障害を起こすこと、また血液凝固異常に伴う静脈血栓症や動脈硬化を来すともいわれる。その他、ピル服用時は胃腸障害を認めることが多く、服用中止の最大原因となっている。しかし、今回の学会では、これらの副作用は大して認められず、服用中止後に正常な排卵が回復し、妊娠例の報告も多かった。今後、長期の服用でいかなる変化が表れるか、今少し慎重に研究する必要があると結んでいる。



JFPA無料メルマガ登録をお願いいたします!

前の記事へ 次の記事へ

今月のページ

季節号・特集号

連載・コラム

バックナンバー