機関紙

【第703号】 平成24年10月1日発行(2012年)

2012年10月 公開

平成24年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)のご案内

10月号の目次   「家族と健康」有料購読の申込みはこちら

1面 ・第31回日本思春期学会 軽井沢で開催 「思春期の危機に迫る」テーマに
1面 ・編集帖

2面 ・平成25年度 母子保健対策関係予算概算要求の概要

3面 ・思春期保健相談士として、地域での活動の実際
   ・第12回アジア・オセアニア性科学学学会 大会報告
 

4・5面 ・子どもを受動喫煙から守るために

6面 ・女性のライフサイクルとメンタルヘルス<2>
7面 ・海外クリップ
8面 ・避妊教育ネットワークリレートーク<31> 林間クリニック(神奈川県大和市) 南淵 芳

 

 編集帖

 

▼エーザイ㈱の企業サイトに、2011年3月、避妊用腟薬「ネオサンプーン・ループ錠」の製造を終了した旨の社告を発見し驚かされた。これでわが国にあった殺精子剤はすべて消えたことになる。

▼筆者が本会に入職したのが1988年。その後、99年に本会が発売していたゼリー型殺精子剤の発売が中止された。理由は、これが体内で代謝されるとノニルフェノールという「環境ホルモン」になると、ある環境団体から「発売中止の要請と要望書」が届けられたことにあった。本会としては、「世界保健機関や国際家族計画連盟なども推奨する避妊法の一つとして位置づけられている」と抵抗したが、如何なる団体からも発売中止への異論が起こらなかった。

▼フィルム型殺精子剤「マイルーラ」もゼリーと同成分のものであり2001年に製造が中止になっている。医学専門家として臨床試験にかかわった女性用コンドームは00年に「マイフェミィ」という商品名で発売されたが、その後「フェミドーム」と名称が変更されたものの普及とはほど遠く11年6月に発売が中止されている。

▼この間、低用量ピル、銅付加子宮内避妊具、黄体ホルモン放出型子宮内避妊システム、緊急避妊薬、低用量ピルの後発医薬品など、新しい避妊法も発売されている。しかし、日本では一つの避妊法が誕生すると一つが消えるという世界にも稀有な歴史が刻まれている。

▼筆者としては、安全性と有効性が認められているのであれば、避妊法の選択肢は多岐にわたることが大事だと考えている。というのは、人によってはピルを飲めない、子宮内避妊具が使えないことがあるからだ。一度失った物を取り返すことは、新しく作ること以上に難しいのだ。(KK)

 

 

 平成25年度母子保健対策関係予算概算要求の概要

 


平成25年度母子保健対策関係予算概算要求の概要

厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課

 

(平成24年度予算)27,597百万円
(平成25年度概算要求)→26,975百万円

 

1 総合的な母子保健医療対策の充実
9,390百万円
 

(母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金))
(1)不妊に悩む方への特定治療支援事業の実施
 医療保険が適用されず、高額の治療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成し、経済的負担の軽減を図る。

(2)生涯を通じた女性の健康支援事業の実施
 妊娠に悩む者に対する専門の相談員を女性健康支援センターに配置するとともに、不妊症及び不育症に対する専門の相談員を不妊専門相談センターに配置する等、女性の健康を支援する。
 また、HTLV-1母子感染予防対策の推進を図る。

(3)子どもの心の診療ネットワーク事業の実施
 様々な子どもの心の問題、児童虐待や発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を実施するとともに災害時の子どもの心の支援体制づくりを実施する。

(4)健やかな妊娠等サポート事業の実施
 妊婦のリスクの軽減や早産・低出生体重にかかる児のリスクの低下を図るため、妊娠期からの支援体制の構築に資する取組について、必要な経費の補助を行う。

(5)療育指導事業の実施
 長期にわたり療養を必要とする児童の地域ぐるみの支援体制を確立するため、医師等による相談指導を行い、日常生活における健康の保持増進及び福祉の向上を図るための事業を実施する。

(5)離島に居住する妊婦の健診等にかかる交通費等支援事業の実施【新規】
 分娩医療機関のない離島に居住する妊婦が健康診査を受診する際にかかる交通費等の一部を助成し、経済的負担の軽減を図る。
 

2 小児慢性特定疾患対策の推進
12,996百万円

 小児がん、先天性代謝異常などを対象とする小児慢性特定疾患治療研究事業を実施するとともに、日常生活用具を給付する福祉サービスを実施する。
 なお、難病対策に係る検討と併せ、小児慢性特定疾患治療研究事業の在り方について、予算編成過程で検討する。
 

3 未熟児療育医療等
3,474百万円

 身体の発育が未熟のまま生まれた未熟児に対する医療の給付等を行う。また、特に長期の療養を必要とする結核児童に対する医療の給付を行うとともに、必要な学習用品・日用品を支給する。
 

4 研究事業の充実(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)
771百万円
 

【一部特別重点、一部復興】
 子どもの健全育成を保障する持続可能な社会基盤の開発や改善等のために、妊産婦と子どもの二つの世代に着目して、保健・医療・福祉分野の社会的課題に対応する政策提言型の基盤的研究と社会的に対策が求められる成育疾患の病態解明や治療法開発を目指す研究を実施する。
 

5 児童虐待防止医療ネットワークの推進
 児童虐待・DV対策等総合支援事業(2、168百万円)の内数

 地域の医療機関が連携して児童虐待の早期発見・介入等の対応を行う虐待防止体制の整備を図るため、各都道府県の中核的な医療機関に虐待専門コーディネーターを配置し、地域の医療機関への研修、助言等を行う。
 

 

 

 第10回思春期保健相談士学術研究大会 一般学術演題発表より<2>

 

思春期保健相談士として地域での活動の実際

社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院 助産師 大内 喜美子
 

▼講演活動のきっかけ
 平成17年、小学5年生の理科の授業で「人の誕生」について講演依頼があると同時に、高校養護教諭から、生徒に思春期の体と心について、助産師の立場から話してもらえないだろうか?との希望があり、外部講師として講演する機会を得ました。その後、思春期保健相談士の存在を知り認定を受け、現在も病院勤務助産師の傍ら、中学生・高校生の思春期教育や、その後の口コミなどで教員研修、町内会、病院内研修などにまで範囲が拡大し、現在の活動に至っております。
 

▼地域での活動の実際
 活動対象・内容は表1、活動の実際は表2に示します。

 
 

 講演は、独自に作成したスライドを使用しております。講演タイトルもその時々で、中学校では「思春期という大切な時期に…それぞれの思春期」、高校では「大切なあなたへ」、教職員組合研修では「今日も元気 笑顔でGO!」、知的障がい者施設では「知的障がいと性について」、小学校では「ひとりひとりのハッピーバースデー」、町内会では「今日も笑顔で!」
などと題しております。
 中学・高校では、進路を考える機会として職業紹介を取り入れたり、赤ちゃん誕生の場面で、自分が撮った写真や音楽を取り入れたりと、目と耳にメッセージを送っております。さらに、これまでつながってきた命を「命のバトンタッチ」や、「生命誕生の不思議」として話し、地元も意識してサケやホタルイカの産卵、トキの飼育の話も取り入れております。
 中学生の場合、「体験コーナー」を設け、地域との連携も考慮し、保健師と相談の上、保健センター所有教材の妊婦ジャケットを装着し、お母さんやそれを支えるお父さん・周囲の人々の気持ちを感じたり、胎児心音を聞くことで、母体内の赤ちゃんの気持ちを考えたりする機会を設けております。また、「超音波画像」視聴や、一人の赤ちゃんが、生まれてから大人になる(成人する)という過程を写真で追尾。さらに、高校生では、「結婚や親になる」ということについても、それぞれが考える機会を持てるように話しております。
 「病院職員のための健康教室」としては、職場の特徴や夜勤などで働く母親について触れ、看護の日のイベントとして、「プチナース体験」を企画し、近隣の保育園児を招待し、看護体験やお話会として、幼児の保健衛生について話す機会を設けております。
 さらに、地元を意識し、生まれ育った地域の素晴らしさや校章の意味するところをアピールし、思春期の皆様へ、私からの言葉のプレゼントとして「ありがとうと笑顔」をもって、素敵な大人として心身ともに成長していただきたいことを伝えております。
 

▼講演での工夫
 講演に際し工夫している点は、①PC利用で視覚的にメッセージを伝える、②地域の特性(風景・人・行事・特産物など)を取り入れ、地元意識を強化する、③妊婦体験コーナーを企画する、④音楽挿入で講演効果を増強する―などです。
 

▼講演後の反応
 講演後の反応として、中・高校生からは、▽命の誕生の素晴らしさを知った▽親や周囲の人へ感謝の気持ちをもった▽離婚した親に反抗していたが親の立場を理解した▽大人になる為の準備の必要性を感じた▽性感染症へ理解が深まった▽パートナーへ思いやりをもった―などの声を聞くことができました。
 教員・院内・町内会研修では、▽子ども達の生の声がわかった▽自分の体・心の変化へ理解が深まり対処方法がわかった▽健康的な日常生活の過ごし方とその方法がわかった▽親子関係の持ち方や子どもの本音がわかった▽パートナーへの思いやりの必要性とその表現方法が理解でき、今後活用できる―との声を聞くことができました。
 

▼活動を通して
 これまでの活動で感じたことは、思春期対象としては、中・高校生、親世代への性に対する理解度や考え方を細かく調査することは難しい▽離婚・再婚などで複雑になった家庭環境における子ども達の現状がある▽学年や時期により、その時々で性に関する考え方や見方の変化がある▽皆、性に関心があるが、誰にどう聞いていいかわからない、聞ける場所がない、人もいない▽親や周囲の人を大切にしたいという純真な気持ちを大切に育てたい▽大人の都合を押し付けてはならない―ということです。
 思春期以外の対象では、▽地域住民の健康に関する興味は大きい▽教員の子どもに対する考え方に相違がある▽子ども達へ伝えたいが、いつ・どの場面でどう伝えたら良いか迷っている親が多い▽家庭環境の変化を子どもにうまく説明できない―などの問題があります。
 

▼今後の課題
 今後の課題として、親としての思春期の子ども達への関わり方、思春期を学ぶ機会の持ち方、思春期を取り巻く大人の考え方、家族のあり方、子ども達を地域全体で育成する方法・手段―があります。さらに、情報化社会とは言うものの、都市部と地方で性に対する考え方に格差を感じます。こうした観点から、思春期保健相談士としての活動のあり方を深めていく必要があると思います。
 


 

 

 児童公園の受動喫煙対策全国調査より

 

子どもを受動喫煙から守るために

十文字学園女子大学 人間生活学部教授 齋藤 麗子

 

はじめに
 私がこの全国調査を実施しようと考えたきっかけは、自宅近くの区立児童公園の滑り台の側に灰皿を見つけたことだった(写真1)。その気になって区内の他の児童公園や運動場(写真2・3)、他の自治体、更には旅行先の外国の公園まで注意して見るようになった。灰皿が置いてあるということは、そこで喫煙してもよいということに他ならない。子ども達が遊んでいるすぐ側で、ママ達や通りがかりの人々がタバコを吸っている姿を想像するだけで恐ろしい。

   
  写真1 児童公園

 

   
  写真2 少年野球場  
   
  写真3 少年野球場  
   
  写真4 児童公園  

 受動喫煙が非喫煙者にもたらす健康被害は世界的に明らかであり、屋外においても距離によっては屋内と同様に考えられる。30年来、小児科医・公衆衛生医として喫煙対策に取り組んでいた者としては、この状況を見過ごせなくなった。
 まず、居住地の自治体に児童公園の灰皿は撤去するように、医師の立場から申し入れた。しかし広報担当者からは「ご理解ください」との返事であった。翌年の「区長と語る会」では公園の写真を示しながら、再度撤去を要望した。結局その後、地元の区議会議員に要請したところ、3日後に撤去されていた(写真4)。
 これは単にひとつの自治体の問題ではないと考え、大学の研究費を得て、全国的に調査することとなった。
 

調査の目的・対象等
▽調査目的
 児童公園等に灰皿があることや禁煙となっていないことにより、子どもが受動喫煙の被害を受けるため、全国の状況を調査し、その問題点を自治体の現場や保健医療関係者に知らせ、健康増進法やたばこ規制枠組条約を守るための自治体の対応について認識を求める。

 児童公園、児童遊園とは、遊具などが設置され、子どもが遊んだり、スポーツしたりすることが前提となっている所と定義した。
 

▽調査対象
 政令指定都市、東京都特別区、東京都内市町村の「公園を管理している部署」
 記名式、郵送調査とした。
 発送数計   215
 回収数計   149

内訳
・政令指定都市全体での回答 12
・政令指定都市の行政区分での回答 89
・東京都特別区の回答 22
・東京都内市町村の回答 26
 

▽回収率
 「政令指定都市全体として回答」「行政区分での回答」など、複数回答パターンが混在した。回収できていない市区町村(25か所)を除く回収率(190か所)で考えると回収率は88・3%となる。
 

▽調査時期
第1回発送~回収
 2011年6月28日~7月31日
第2回発送~回収
 2011年8月10日~8月31日
*第1回発送で回収できなかった部署に対して第2回発送をした
 

結 果
1.19政令指定都市のうち市としてまとめて回答を得た12市の結果
 年少人口として15歳以下の比率は1市が4・6%でその他の11市は13・0%~15・6%であった。児童公園の数は10か所~2347か所までかなりの差があった。児童公園に灰皿があるのは1市のみであった。公園に禁煙表示があるのは2市のみで、それもごく一部の公園のみであった。

 これらの政令指定都市で、「子どもの安全のための取り組み」としては①灰皿の移動や撤去を考える②灰皿に路上喫煙等の禁止に関する条例を表示する③遊具や設備の点検④公園の巡回⑤遊具使用の注意点―等がそれぞれあった。今後児童公園に「灰皿撤去を進める予定」は1市のみで、他は「進める予定は無い」、「どちらとも言えない」であった。
2.政令指定都市のうち行政区ごとに回答を得た区と東京都特別区、都内市町村の回答を合計したもの137区市町
人口規模は10万人~20万人未満が40・1%、20万人~30万人が27・7%を占めていた。15歳以下の比率は11%~16%に集中していた。管内の児童公園の数は10か所未満4区、400~500か所が3区で、100~200か所が48か所(35・0%)であった。「児童公園で灰皿を設置しているか」の問いに0か所の回答は78・5%を占めていた。中には88か所との回答が1区あった。

 東京都特別区で見ると灰皿が無いのは8区36・4%と少なくなっている。一方「禁煙の表示」の有無では、東京都特別区では、表示していないのが8区で、全国市区町村では83・2%となった。

 東京都特別区では、12区でいくつかの児童公園に禁煙表示をしていた。またすべての児童公園に禁煙表示をしている特別区が5区あった。
 子どもの安全のための取り組みでは、一番多いのが遊具設置の安全であり、次に灰皿の移動、撤去、公園の巡回の順であった。今後の意向は、「灰皿の撤去を進める」が18・2%、「進める予定は無い」が13・9%であった。また禁煙表示を進める予定では、全体では、「進める予定」が8・8%のみで、「進める予定は無い」31・4%に比べて少ない。しかし東京都特別区で見ると「禁煙表示を進める予定」が36・3%となっていた。

3.図1~4は政令指定都市、行政区、東京都特別区、都内市町村計149の回答をまとめたものである。児童公園数の計は2万8579か所の内、灰皿があったのは375か所で1・3%(図1)、禁煙表示があったのは993か所で3・5%(図2)のみであった。

   
   

 

   
     
   
     
   
   
  図5 ママの吸う たばこ 車をガス室に(高 信太郎 作)  
     
   
     

本調査で回答を回収した市区町村のうち、「灰皿を設置している公園・遊園はない」との回答は8割に及んだ。
 また、「禁煙表示をしている公園・遊園はない」との回答も8割を占めている。管内のいくつかの児童公園に禁煙表示をしているのが、たった1割ということも分かった。禁煙表示が無いと喫煙可の場所と解釈されかねない。
 子どもの受動喫煙への取り組みが「進んでいる方だと思う」との回答は全体の2割に留まり、「どちらともいえない」あるいは「進んでいない」との回答が6割と過半数を占める(図3)。
 管内の児童公園・遊園における今後の取り組み意向を尋ねたところ、「灰皿の撤去意向がある」としたのは2割弱、「禁煙表示を進める」は1割弱に留まり、積極的な取り組み意向が見られない現状が窺える(図4)。
 子どもたちの受動喫煙被害防止のために、全国の公園に禁煙表示が望まれる。
 

その後の経過
 この調査の結果の要約と考察を回答した190か所の自治体に送付した。送付文書の内容は次の通り。
 

    ***
「アンケート調査ご協力御礼」
(前略)お陰様で、215自治体に送付いたしまして190か所から回答を得て、88・3%の回収率となりました。
 子どもが遊ぶことが前提である児童公園において、灰皿が設置されているところは数少ないですが、あることが明らかとなりました。さらには、禁煙表示が掲示されているところは極わずかということも明らかとなりました。
 公共施設や民間の事務所、商店など禁煙となっているところが増えている現在、公園が喫煙者の喫煙所と化している場合があります。受動喫煙の害が明らかとなっている昨今、子どもの周囲には受動喫煙を避ける措置として、児童が利用する公園等に禁煙表示をされることを小児科医としては望むところです。
 今後の施策として、公園の禁煙化に向けてご配慮いただきたく、結果をご報告いたします。
敬具
 

同封資料
 アンケート結果要約
 受動喫煙防止関連法規
 厚生労働省通達
 

考 察
▽縦割り組織の壁
 この調査によって公園担当部署が公共の場の禁煙や子どもへの受動喫煙の問題に関心を持ってもらうことを期待した。

 公園を担当するのは各自治体の土木課又は公園課であり、健康に関わる保健所、保健センター、健康増進課などとは部が異なっている。受動喫煙対策に関する情報は土木課等には届いていない可能性もあると思われる。

▽米・韓の状況
 2011年2月ニューヨーク市議会は、市内の公園での喫煙を禁止する法案を可決した。喫煙対策を強力に推し進めているブルームバーグ市長もこの法案に署名し、90日後に施行された。ニューヨーク市ではすでにレストランやバーでの喫煙は禁じられており、この法案で公園の他にビーチや屋外の公共スペースも全面禁煙となる。市の公園部門が取り締まり、違反者には警告が与えられた後、50ドルの罰金が科せられる。 
 一方韓国ソウル市は、2014年までに禁煙指定エリアを市全体の5分の1にまで拡大するとしている。このエリアには、スクールゾーン1305か所、公園1910か所、バス停5715か所が含まれている。ソウル市では、受動喫煙による健康へのリスクを減らすため、すでに3か所の大広場と20か所の公園で喫煙を禁じた。違反者には10万ウォンが科される。韓国の男性の喫煙率は日本に近い。

▽家庭内や車内も
 育児中の年代の男性の半数近くが喫煙者であることを考えると、子どもが受動喫煙を受ける場所としては家庭内も問題である。
 また、公共交通機関ではない自家用車内では規制が働かない。子どもが乗っている自家用車の運転席や助手席で親が喫煙している姿を見かけることがある。後部座席の子どもはさぞ苦しい思いをさせられているのではないか(図5)。窓を閉めた狭い空間では高濃度の副流煙を浴びている。
 私が以前、現場の保育士たちに聞いた話では、保育園で朝登園する子どもの身体がタバコ臭いことを皆経験していた。図5のような状況は国や州によっては法律で規制されている(表1)。小児を同乗させた車内の喫煙禁止条例である。シートベルトやチャイルドシートの不使用はドライバーの減点対象となる。小児を同乗させた車内の喫煙も減点対象とせねば子どもが守られないのではないか。
▽地域の点検を
 これからは保健医療関係または母子保健関係の方々は、地元の公園、特に児童公園を覗いてみて欲しい。もし灰皿が設置されていたり、禁煙表示が無かったりすれば、自治体の土木課か公園課あるいは子育て課に申し入れて欲しい。らちがあかない場合は議員に相談すると良い。あくまでも「子どもの健康と命のために」と付け加え、喫煙者を追い詰めているのではないことを示せば、理解してくれるであろう。
***

【参考】
「健康増進法(平成15年)第25条 受動喫煙の防止」
 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
「受動喫煙防止対策について(厚生労働省健康局長通知概要)」
 平成22年2月25日付で厚生労働省健康局長から都道府県知事に対し通知があり、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性が示された。
○今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性
・多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべき
・全面禁煙が極めて困難な場合は、当面、施設に応じて適切な受動喫煙防止対策を進める
・特に、屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では受動喫煙防止のための配慮が必要
○受動喫煙防止措置の具体的な方法
・多数の者が利用する公共的な空間は原則として全面禁煙とし、その旨を表示するとともに来客者にも理解と協力を求める
・官公庁や医療施設においては全面禁煙とすることが望ましい
・全面禁煙が極めて困難な場合は、施設管理者に対して、当面、喫煙可能区域を設定する等の受動喫煙防止対策を求め、将来的には全面禁煙を目指すことを求める
・全面禁煙が極めて困難な場合でも、非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないような措置を講じるよう努める必要があり、喫煙可能区域に未成年者や妊婦が立ち入らないような措置を講じる必要がある
「たばこ規制枠組条約(FCTC)」
第8条 締約国は屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所、および適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置を講ずる。
 この世界条約を日本は2004年に批准、2005年に世界で発効した。 
 

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