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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
薬局での緊急避妊薬の提供とコンサルテーション―英国

第832号

英国の地方州
 英国では、2001年から緊急避妊薬(EC)が薬局で入手することが可能となり、経口薬として現在2種類あり(レボノルゲストレルECとウリプリスタルEC)、薬局では最も避妊効果の高い銅付加IUD(子宮内避妊具)の照会も行っています。とりわけ英国の地方州では、アクセスがしやすく入手が容易なことから避妊相談を求める女性の8割以上は薬局を選び、一方、英国では全国クラミジア調査が実施されており15~24歳の誰もが薬局にて無償検査が受けられます。
 英バーミンガム大学公衆衛生学部の研究者らは、イングランドの中西部シュロップシャー州(ウェールズとの隣接州)の全薬局からの実績データをもとに、これらの避妊サービスが実際どの程度活用されているか調査しました。
 それによると、16年から3年間に約3,500件のEC提供があり、その1割は2回以上のリピーターでした。最も多かった年齢層はは13~25歳(67%)、半数は無防備の性交、4割はコンドームの使用ミスが理由でした。提供するECは17年まではレボノルゲストレルECが9割でしたが、同年、ガイドラインの改訂に伴ってウリプリスタルECが第一選択薬となり、18年には提供するECの約6割を占めています。ウリプリスタルECはレボノルゲストレルECに比べて性交後の有効期間がより長く、また過体重や肥満の女性にも使用できる点が評価されました。
 避妊相談のほかに英国の薬局はクラミジア検査の普及をその使命としていますが、検査を推奨するときには相手の尊厳を守りながら必要性を判断する難しさがあるようです。そのためか実際に検査を受け入れた割合は約5%にとどまっています。避妊や性感染症に対する薬局の役割は特に地方では大きいことが分かり、薬局に対する経済的支援をもっと充実しければならないと著者らは訴えました。

参考 Pearce E, et al. Journal of Pharmacy Practice. 2022 Vol.35(2)

(翻訳・編集=オブジン)



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