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OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか

OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか<37>
今では当たり前の治療法、OC/LEP

第834号


医療法人こじまレディースクリニック(京都府京田辺市) 理事長 小島 秀規

開業までの月経困難症の治療(1995~2005年)

 1995年に医師になりました。当時は初期研修医制度もなく、いきなり母校の医局にお世話になることが当たり前でした。外来診療を始めたのは卒後3年目になってからで、日々患者の声と向き合い(向き合っていたつもり?)修練していました。OCが日本に導入されたのは99年9月からですが、公立病院に勤務していた当時は、自由診療はなかなか使えず、ほとんど処方できなかったのを覚えています。当時の月経困難症の治療は、鎮痛剤と漢方薬がほとんどでした。鎮痛剤では限界があるため、「漢方医学」を学ぶために東洋医学を3年ぐらい集中して研鑽(けんさん)しました。多くの先生方の指導のおかげで漢方専門医も取得しましたが、やはり漢方でも限界があり、壁にぶち当たった記憶があります。

開業してからの月経困難症の治療(2006年~)

 2006年に婦人科クリニックを開業しました。開院直後、日本家族計画協会が開催した「OC啓発セミナー」に参加したときに登壇された先生方の講演を拝聴して、衝撃を受けました。「OCは経口避妊薬」と製薬会社から商品説明を受けていた程度の知識と経験しか持ち合わせていませんでした。早速「OC」を診療内容に積極的に組み込むと、月経困難症の治療として十分活用できるという確信に変わりました。やがて「毎月何シート処方したか?」数えるようになりました。今でもその習慣は続いています。やがて保険診療でLEPが発売されてからはLEPが徐々に増えてきており、現在はOC:LEP=1:2となっています。

OC/LEPが使えない時の月経困難症の治療法

 OC/LEPの副作用や血栓症を極度に心配する方が「OC/LEP以外のホルモン療法」を希望されることがしばしばあります。現在ジエノゲスト0.5㎎錠が月経困難症の治療として処方できるようになったものの、1日2回服用が必要であることからコンプライアンスの低下や不正出血など課題はまだあると思います。今後はプロゲスチン単剤のミニピルが国内承認されることが望ましいと考えています。

これからのOC/LEP

 OC/LEPの市場はまだまだ伸び続けると考えています。OC/LEPの需要に対して我々産婦人科医が限られた人的リソースに対応できるかどうかが課題となります。オンライン診療やOTC化も避けて通れない課題ではありますが、我々も含め、これからの産婦人科医にも切に願いたいのは、直接患者を診ることなくただ薬剤を処方するだけの状態にならないでいただきたいということです。


今月の人

こじま・ひでのり
1995年、京都府立医科大卒、同年京都府立医科大学附属病院研修医(産婦人科)
2004年、京都府立医科大学大学院医学研究科 学位取得
2005年、京都府立医科大学 産婦人科学教室 助教
2006年より現職
<専門医>日本産科婦人科学会(学会認定産婦人科専門医)、日本東洋医学会(学会認定漢方専門医)
<役 職>こじまレディースクリニック 院長、京都産婦人科医会 理事、近畿産科婦人科学会 理事、日本東洋医学会 京都支部 幹事


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