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JFPA母子保健事業研修会「地域で取り組む切れ目のない子育て支援セミナーin大分」を開催

第840号

 2024年2月25日(日)に大分県大分市のJ:COM ホルトホール大分において、JFPA母子保健事業研修会「地域で取り組む切れ目のない子育て支援セミナーin大分」を開催した。主催は本会、後援は大分県・大分市・(公社)日本産婦人科医会・大分県産婦人科医会・大分県小児科医会・(公社)日本助産師会・(一社)大分県助産師会・(公社)大分県看護協会・(一社)大分県精神科病院協会・大分商工会議所(順不同)。受講者は保健師や助産師を中心に県内外から102人。
 冒頭、講義に先立ち、来賓として出席した足立信也大分市長があいさつ。この中で足立市長は、昭和29年に活動を始めた本会の成立と、この後講師として登壇する鈴木利人氏が大学の同級生であることを紹介しつつ、当時の家族計画を巡る時代背景や、近年、自身の家族が産後に支援してもらった経験など、身近な話題を通じてこの研修会に期待する役割について語った。また、こども家庭庁の新設に関して国の政策に先行した大分市の取り組みを紹介し、結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない子育て支援施策への意欲を示した。


写真 あいさつする足立市長

 講義は4部構成で行われた。はじめに山縣然太朗氏(山梨大学大学院総合研究部社会医学講座教授)が「こども家庭庁創設で母子保健はどう変わるか―こどもまんなか社会とは―」をテーマに、現在の母子保健を取り巻く状況と今後について解説した。昨春新設されたこども家庭庁の創設意義を説明したほか、その創設と付随する法整備によって妊娠から出産、育児に至る包括的な支援体制整備の道筋が示されたと述べた。さらに、こども大綱を取り上げ、国が目指すこどもまんなか社会実現に向けた具体的な取り組みを紹介した。国を中心とした母子保健の大きな枠組みを示すその一方で、地域における継続的な活動の重要性を強調する講師の話に大きくうなずく受講者も少なくなかった。
 休憩を挟み、精神科医の鈴木利人氏(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院院長/日本周産期メンタルヘルス学会前理事長)・産婦人科医の佐藤昌司氏(大分県立病院院長/日本周産期メンタルヘルス学会理事長)が「周産期メンタルヘルス~一体となって産後うつを防ぐ必要性~」と題して講義を行った。鈴木氏は精神科医の立場から産後うつ病の本質的特徴とその発見方法などについて解説したほか、自身の所属する日本周産期メンタルヘルス学会で作成したガイドラインを踏まえながら、妊産婦に対して具体的にどのようなアプローチを取るべきか紹介した。さらに、精神科受診のハードルを下げ、いつでも妊産婦を受け入れられる精神科の診療体制の整備が急務であるとも訴えた。次いで講義を行った佐藤氏は、大分県で導入している「大分トライアル」を取り上げて周産期メンタルヘルスケアの現在の動向について概説した。そのなかで精神的ハイリスク妊産婦のケアに当たっては多職種連携が不可欠であるとし、妊産婦を受け入れる体制の整う精神科病院のリストアップといった大分県内での現在の取り組みを紹介した。時折ユーモアを交えた両氏の講義は受講者にも分かりやすかったと好評で、もっと長く講義を受けたいという声さえ聞かれた。
 次に仙田昌義氏(地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院小児科 部長)が「児童虐待とその防止のための連携」について講義を行った。仙田氏は自身の経験を踏まえ、児童虐待への対応にはこどもを第一に考える「Child First」、冷静になって偏見なく考える「Open Mind」の姿勢が重要であると語った。また、児童虐待の徴候を示す所見やその診断予測ツールを示した後にケーススタディを行い、受講者の理解を深めた。さらに地域連携や多機関連携の重要性を強調し、福祉、保健、教育、司法、医療といった多機関連携の場である要保護児童対策地域協議会(要対協)を取り上げて実際に児童虐待が疑われるケースへの対応プロセスを具体的に紹介した。一見ハードルが高く感じる児童相談所への通告こそが対応の非常に重要な第一歩であり、まさに「Child First」にかなった行動であると訴える講師の話に勇気づけられた受講者も多かったようだ。
 最後に高橋典子氏(大分県助産師会会長)は「大分での子育て支援のいままで そしてこれから」と題し、講義を行った。大分県が全国の少子化の流れのなかでどのような立ち位置に置かれているか説明した。そのなかで大分県助産師会が大分県内での妊産婦支援はもちろんのこと、小中学生といった若い世代に対して性に関する正しい情報を提供することを目的に「いのちの出前講座」を開催するなど幅広く活動を行っていることを紹介した。そして講義後には、高橋氏が産婦人科医であり大分県立病院院長を務める佐藤昌司氏に対して、大分県内の産婦人科医を代表して助産師会にどのような取り組みを要望、期待するかを中心に情報交換がなされた。佐藤氏はかつて家族内で当たり前に行われていたきめ細かい妊産婦ケアが核家族化の流れのなかで失われていることを指摘し、現在ではその妊産婦ケアの役割こそ妊産婦と近くで接している助産師でなければ担えないと語った。さらにそのようなきめ細かい妊産婦ケアを助産師個人にとどまらず助産師会全体に期待すると述べ、それを受けた高橋氏も今後の助産師会の取り組みの向上に意欲を示した。
 各方面の最先端を走る5名の講師の話から、母子保健の現状と最新の妊産婦ケアの方針が明らかとなった。また、その話のなかでは切れ目なく、密接な多職種・多機関連携を取って地域で子育て支援を行うことの重要性が強調された。受講者のアンケートからも「大変勉強になった」、「今日の学びを明日からの日々の業務に役立てたい」といった満足度の高い回答が多く見受けられ、非常に有意義な研修会となったといえよう。



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