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ニュース・トピックス

全国大会によせて

第812号

北村邦夫 本会会長
北村邦夫 本会会長  

令和3年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)
11月4日(木)~5日(金)開催

 令和3年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)が「心に寄り添い育む次代 ともに手を取りあって」を大会テーマに、岩手県盛岡市において開催されますことを心からお慶び申し上げます。
 日頃、母子保健・家族計画や「健やか親子21」の推進にご尽力されておられる方々が全国各地から一同に参集され、盛大に全国大会が開催されますことを切に望んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症(以下「COVIDー19」)の感染拡大を回避することもあって、ハイブリッド開催とさせていただくこととなりました。しかし、昨年度は開催を断念したことを鑑みれば、モニターを通してであっても参加者と接することができることは望外の喜びです。日本に留まらず、世界でも未曾有のコロナ禍にあって、本大会の開催のために周到なご尽力を賜りました岩手県、盛岡市をはじめとする関係者各位に対し深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
 また、このたび、本大会において栄えある表彰をお受けになられる皆様方は、長年にわたって母子保健・家族計画の分野において多大なご尽力を賜った方々であり、ここに深く感謝の意を表しますとともに、衷心よりお祝い申し上げます。

コロナ禍にあっても、手を緩めてはいけないリプロダクティブ・ヘルス

 COVIDー19は2019年12月に、中国武漢市で初めて確認され、20年3月10日に世界保健機関(WHO)は公衆衛生上の緊急事態宣言を発出、翌11日にパンデミックであると認定しています。
 わが国においても、昨年1月16日に国内最初の感染者が確認されて以来、おおむね2年弱。この間に、第5波を経験し、緊急事態宣言が4度にわたって発出されるなど、私たちの日常はCOVIDー19の拡大に伴って大きく変化せざるを得ませんでした。
 はっきりとした理由は分かりかねますが、感染者が急激に減少したことを受けて、3月21日以来約半年ぶりとなる緊急事態宣言・まん延防止措置が10月1日から全面解除となっています。
 ワクチン接種が加速したことを、感染者減少の要因と言う専門家もいますが、ワクチン接種が人口の80%を超えているシンガポールでは、感染者数が増加し再び規制を強化するとの情報もあり、わが国にあっても予断が許されません。
 しかし、ここに至るまでの間、未だかつて人類が経験したことがないCOVIDー19の拡大に伴う〝自粛生活〞は、経済活動の停滞だけでなく、人間関係の希薄化、さらには性意識・性行動にも大きな影響が及ぶことになりました。本会が取り組んでいるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)が脅かされていることを身近に感じております。
 例えば、コロナ禍で自粛を余儀なくされたこともあり、ジェンダーに基づく暴力や児童虐待などの悪化が懸念されました。内閣府や警察庁などが発表するDV相談件数の増加がそれを物語っています。例年に比べて、女性の自殺件数が増えたことなども、経済的貧困と合わせて、これらが関係していることを否定できません。感染拡大地域からの移動制限により、里帰り分娩を断念した女性。一方で、感染拡大地域を逃れての急な里帰り分娩を決めた女性などもあって産科施設に混乱が生じることなどもございました。
 本年8月には自宅療養中の妊婦さんが、入院調整が行われたものの受け入れ先が見つからず、自宅で出産。早産で新生児が死亡するという痛ましい事件が起こっています。同様なことは、癌検診受診者の大幅減少によって、早期発見・早期治療の遅れにも影響を及ぼしています。
 全国一斉休校などもあってか、自宅での生活を余儀なくされた少女が予期せぬ妊娠不安に襲われ、にんしんSOS相談件数が急増したこと。コロナ禍における妊娠届出状況報告によれば、妊娠届出件数が20年度は19年度に比べて4.8%減少し、少子化傾向がますます進行していることも話題になっています。
 このように、COVIDー19の拡大は、私たちのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを多方面で脅かしていますが、「全国どこでも、誰でも、リプロダクティブ・ヘルスサービスを受けられる社会を実現する」ことを運動目標としている本会の姿勢は、COVIDー19の拡大を理由に変えるわけには参りません。むしろ、このような危機的状況にあるときこそ、本会が果たすべき役割の大きさを痛感せざるを得ません。

感染拡大防止と「繋がる」ことの両立を

 昨年度の厚生労働科学特別研究事業の一環として、「新型コロナウイルス感染症流行化の自粛の影響―予期せぬ妊娠等に関する実態調査と女性の健康に対する適切な支援提供体制の構築のための研究」の分担研究を担当させていただいた本会では、「日本における第一次緊急事態宣言下の1万人調査」を実施し、多くの研究成果を挙げることができました。
 中でも興味深かったのは、昨年の3月下旬から5月下旬、すなわち第一次緊急事態宣言下にあって、セックスに対する消極性が一段と加速したことです。既婚者であっても、4割を超える既婚者が「その時期、セックスをしていない」と回答。3密の最たるものがセックスなのでしょうから、さもありなんですが、結果として妊娠届出件数が減少するのは当然だと考えられます。
 また、コロナ禍にあって自粛生活を求められている環境下にあっても、「充実していた」と回答する国民が4割近くいたことも驚きです。こう回答した方々に共通していたのが、自粛下であっても「人と人とを分断させない、孤立させない配慮が必要であること」「収入の減少が起こらない対策が求められていること」などでした。今更申し上げるまでもありませんが、感染症対策の基本は、こまめな手洗い、咳エチケット、そしてソーシャルディスタンスを保つことが効果的であることは言を俟ちません。それが、繋がりを求めながら生きている動物である私たちにとっては、極めて非情なものと映りかねません。積極的なワクチン接種と、接種後のブレイクスルー感染を防止するためのマスク着用などを励行しながらも、どうしたら人と人とが「繋がる」ことができるかを、「withコロナ」「afterコロナ」を見据え、「新しい生活様式」を踏まえた取り組みを進めていくことが肝要だと考えております。本会としても、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツを後退させることなく、取り組んで参る所存ですので、今後も皆様方からのなお一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。


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