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JFPA情報
『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』(第4回)

2021年03月05日
JFPA情報1月号テーマ
『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』
母子健康手帳は妊娠届の提出と同時に交付される、いわば全ての母親にとっての育児指南書である。しかし、視覚障害者は妊娠・出産・育児の情報にアクセスしづらいのが現状だ。今回視覚障害を持ちながら育児をしている母親3人に話を伺った。併せて点字版やマルチメディアデイジー版といった墨字(印刷された文字)によらない、母子健康手帳の大切さについても語ってもらった。

④インタビュー:濱田登美(はまだとみ) 65歳(取材当時)

<プロフィール紹介>
全日本視覚障害者協議会専門領域担当理事、女性部長。先天性視覚障害で、小学部から盲学校にて学ぶ。盲養護老人ホーム職員、あんま・はり・きゅう治療院自営の後、1986年から33年間、電話交換手として勤務。1987年、神奈川視覚障害者の生活と権利を守る会に入会、現在執行委員。会が運営するあんま・はり・きゅう室にスタッフとして携わっている。


濱田さん「母子健康手帳は、当事者が一番使いやすい媒体で『交付』を!」


行政に求めたいこと 知ってほしい点字版母子健康手帳の存在

 点字版母子健康手帳は全日本視覚障害者協議会(全視協)婦人部(女性部の前身)からの強い要望を受け、1993年、日本家族計画協会からの発行という形で始まった。そして94年には厚生省児童家庭局母子保健課(当時)から各市町村に対して「点字版母子健康手帳(点字母子保健マニュアル)の無料配布について」という通達が出されている。しかし、必ず渡さなければならない「交付」ではなく、縛りのない「配布」という形であった。今でも点字版母子健康手帳自体を知らない自治体職員が少なくない。担当者が交代した場合も引き継ぎが不十分で認知されずに、障害者本人が申し出てもすぐにもらえない場合が多くある。中には、「必要なら点字版は自分で買うように」と自治体から言われた事例もあった。


妊娠・育児をサポートする大切な情報源

 視覚障害者の女性が子どもを産むに当たって、誰もが感じる喜びと不安だけではなく、子どもに障害は遺伝しないか、見えなくても子育てができるだろうかという不安も加わる。家族や、かつては医療関係者からも理解を得られないこともあったという。育てたい思いと不安の中で産む決意をした女性にとって、母子健康手帳は最初に手に取る大切な情報源である。

 パソコンやスマートフォンで音声によって読み上げる機能や、画面を拡大して見る機能が備わっているマルチメディアデイジー版母子健康手帳が昨年作成された。それにより、点字を使用しない視覚に障害のある人や、見え方がさまざまなロービジョンの人にも対応した情報手段で母子健康手帳を渡すことができるようになった。

 母子健康手帳を渡す時は墨字版とともに当事者が一番使いやすい点字版、デイジー版、拡大文字版などのいずれかを必ずセットにして、「配布」ではなく「交付」という形で渡してほしいと思う。その際、子育てに関するいろいろな情報も併せて提供してもらえるとなおいい。行政から渡される書類のほとんどが点字や音声拡大文字で提供されていないのだから仕方がないと諦めず、視覚障害を持つ妊産婦は点字版あるいはマルチメディアデイジー版を受け取ってほしい。たとえ「点字版はない」と言われても!

 国や自治体からの子育て支援は良くなってきているものの、視覚障害者のことは専門家に任せた方がいいという考えもまだ多い。社会で生きる上で視覚障害のハンディは大きい。困難に対して工夫や努力をするのは皆同じ。視覚障害者を特別扱いして一線を引いてほしくはない。晴眼者とは異なる方法でのサポートになるかもしれないが、見えないならどんな配慮や工夫ができるのか、一緒に考えてほしい。子育てはやり直せないのだから、担当者と視覚障害者の母親・父親がきちんと向き合って、一人一人に合った情報を共有していってほしいと思う。




『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』は全5回掲載しました。


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