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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
女性の生殖年齢と健康指標―米国

第813号

◆初経から閉経まで
 テキサス工科大学健康科学センターのデューク・アピア氏は、女性の初経から閉経までの期間(リプロダクティブ・ライフ・スパン)と成人病リスクの関連性を研究しています。
 アピア氏らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)などの米国人約7,700人の大規模データを使ってその背景を調べました。その結果、過去約60年間で閉経年齢(自然閉経)は48.4歳から49.9歳へと遅くなっており、また初経年齢は13.5歳から12.7歳へと早くなっていました。そのためリプロダクティブ・ライフ・スパンは35.0年から37.1年へと約2年伸びていました。これらの背景を見ると、高学歴(ハイスクール以上)であることや、経口避妊薬(使用中、過去の使用とも)などは遅い閉経、つまりリプロダクティブ・ライフ・スパンが長いことと有意に関連しました。
 反対に、喫煙歴は(現在、過去とも)早い閉経と有意に高い関連性を示しました。この他、貧困生活あるいはホルモン療法(療養中、過去の療養とも)なども早い閉経と有意ではない関連が見られました。
 アピア氏は、「リプロダクティブ・ライフ・スパンは女性の健康指標であり、変化する心拍数や心肥大との関連性を特定することは重要だ」と説明する一方、「早い閉経(40~45歳)は心血管病リスクを上げ、遅い閉経(50歳以降)は乳がんのリスクを上げる。背景にエストロゲンの影響が考えられるが、そのメカニズムを今探求しています」と述べています。
 実際、リプロダクティブ・ライフ・スパンが大幅に短い女性(30年間未満)は、そうでない女性(36~38年間)に比べて心血管イベントの発生リスクが約1.7倍であったという国際研究も発表されました(Mishra. JAMA Cardiol. 2020)。
 最近では、北米閉経学会(NAMS)は、Ⅰ型糖尿病を初経前に発症した患者が抱える心血管病リスクや卵巣老化の問題に、遅い初経と早い閉経が関連している可能性を指摘しています。

参考 Alspaugh A, et al. Women’s Midlife Health. 2021 7;3

(翻訳・編集=オブジン)



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