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第833号

 東京都不妊・不育ホットライン相談員 横尾 澄香

 東京都不妊・不育ホットラインには、女性からの相談が圧倒的に多いのですが、このところ男性からの相談も寄せられるようになりました。男性からの相談内容の一つに、タイミング法を行っている時のプレッシャーがあります。
 タイミング法を女性の立場から考えると、通院などは自分自身で行動できますが、排卵時期に合わせて夫婦生活を行うことは夫婦での共同作業になり、どちらか一人ではどうすることもできません。「この日のために1か月間準備してきたのだから、1日だけ、月1回の排卵日、協力してほしい」という思いで夫に協力を求めます。排卵日に夫婦生活が成立しなかったとき、女性は「自分は何をしてきたのだろう。この1か月間が無駄になってしまった」とむなしさなどの気持ちでいっぱいになります。
 では、男性の立場では、排卵日の夫婦生活をどのように受け止めるのでしょうか。
「妻は大変な不妊治療を頑張ってくれている。自分にできることはできるだけやり、妻に協力したい」
―という方がいらっしゃる一方で、
「妻は一生懸命に不妊治療をやってくれている。自分も子どもが欲しい。その気持ちは妻と同じ。でも、妻の切実な協力を願う気持ちが、大きなプレッシャーになってしまう。心と体が一致しない。体が言うことを聞いてくれない」
「自分の男性としての評価が、この日の夫婦生活で決まってしまうように感じてしまい、強いプレッシャーを感じてしまう。まるで男性としてテストを受けているようだ。1回の行為の結果で、自分の男性としての価値が決められてしまうように感じる。排卵日には家に帰るが、つらくて仕方がない」
「以前は、夫婦の間で夫婦生活を楽しくすることができていた。しかし、妊娠を意識するようになってから、夫婦生活が仕事になり、感情がどこかに行ってしまったように感じる。妻に対する感情は、今までと同じで変わらないが、機械的になってしまっていることがつらい。自分が精子を運ぶ価値しかないように感じてしまう」
―など、排卵日に合わせて夫婦生活を行うことへのプレッシャーや葛藤を話される方々が多くいらっしゃいます。これらの悩みは、タイミング法を試みる期間が長くなるにつれて多くなるようです。ご自身の気持ちを話し、このように悩んでいるのは自分だけではないことを知るとホッとされます。
 しかし、妊娠の性役割は女性と男性では違うこともあり、問題解決は難しく、夫婦でお互いの気持ちを伝え合えば、必ずしも解決するというものではありません。そのため、夫婦間で話すこと自体がハードルが高くなってしまいます。だからこそ、男性も不妊の悩みを一人で抱えず、安心して話せる場所が必要なのではないでしょうか。このホットラインが果たせる役割が一つ増えた。そんな思いでいます。


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