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ピル承認秘話

ピル承認秘話
–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–
<第16話>ピル承認に向けた日本産科婦人科学会の動き

第784号
ピル承認秘話
一般社団法人日本家族計画協会 会長
北村 邦夫

 1955年、東京で開催された第5回国際家族計画会議を契機に石川正臣日本医科大学教授(当時)を班長とし、関東逓信病院の松本清一(晩年の本会会長)らによって「経口避妊に関する研究班」が発足したことは既に述べた。班員であった松本はその後の学会での動きについて臨床婦人科産科(39(8):7-10,1985)で次のようにまとめている。
 61年日本産科婦人科学会では小林隆教授を委員長とする内分泌委員会を発足させたが、米国でのピル認可に伴って早晩わが国でもこれが問題となり、関係当局から意見を求められた時に学会として一定の結論または意見を持っていることが必要と考えられたので、ゲスターゲン(プロゲステロン製剤)による経口避妊の問題を検討することとし、植田安雄(神戸大)、石塚直隆(名大)、松本清一(群馬大)の3委員に副作用に関する調査が依頼された。その結果植田は28病院から集めた778例3494周期のピル投与例を集計してその有効性を認め、石塚は妊娠中ゲスターゲンを受けた母体から生まれた新生児の性器異常に関する調査研究をまとめた。松本は排卵抑制の月経周期に及ぼす影響を中心にして副作用を検討して特別の悪影響を認めないと報告した。
 この研究結果は63年3月に委員会で報告されたが、それに先立ち62年4月に第35回日本内分泌学会の宿題シンポジウム「ゲスターゲンの批判」でも発表された。
 64年3月には第16回日本産科婦人科学会総会のシンポジウム「内分泌」で徳田源市、滝一郎、松本、林要、大島清などによりゲスターゲンの実験的ならびに臨床的研究が報告され、松本はゲスターゲンによる排卵抑制の臨床応用について、林はゲスターゲン服用中の血液凝固能の変化と服用中止後の性機能の変化について報告した。
 65年3月には内分泌委員会で3年間の調査結果に基づき、植田は250例2463周期、松本は78例1809周期の長期投与例について詳細な副作用の検討結果を報じ、ピルは使用法を慎重にし、医師の指導、監視の下で用いられれば十分臨床使用に耐えると結論付けた。
 66~67年度には40大学および公立病院の協力による全国調査が行われ、13種の製剤、1513例1万5778周期での使用で、避妊効果は100%、無月経が0.2~3.1%、破綻出血が1.0~1.31%に見られるが、副作用は消化器症状が大半で、重要なものは認められないと報告している。また、服用中止例551例で中止後の性周期が調査され、4例の回復容易な無月経が認められたに過ぎなかった。



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