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OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか

OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか<17>
OC/LEPと私

第809号

独立行政法人国立病院機構弘前病院産婦人科(青森県弘前市) 丹藤 伴江
独立行政法人国立病院機構弘前病院産婦人科(青森県弘前市) 丹藤 伴江

蓮尾豊先生

 弘前・OC/LEPと言えば蓮尾豊先生(あおもり女性ヘルスケア研究所所長)です。先生は弘前大学産科婦人科学教室の大先輩で、学生時代から30年以上大変お世話になっております。性教育やOC/LEPの普及にご尽力なさっている蓮尾先生がお近くにいらっしゃるということがどれだけ恵まれたことか、この出会いに感謝するばかりです。

産婦人科選択

 私は産婦人科医になりたくて医学部を目指し、1991年に弘前大学医学部を卒業、産科婦人科学教室に入局し大学院では更年期女性のホルモンに関する研究をしました。当時は大学院を卒業すると、学術派は大学で研究生活を、臨床派は関連病院へという二択で、大学院の研究生活が苦痛でしかなかった私は後者の道を選び、解放された気持ちで臨床の毎日を過ごしました。

性教育指導者セミナー、そして河野美代子先生

 2015年、広島での「性教育指導者セミナー」の案内に河野美代子先生(河野産婦人科クリニック院長)のお名前を見つけた時の胸の高鳴り! 私が小学生の頃、河野先生がNHKの番組で、ご自身の仕事や活動についてお話しなさっているのを拝見しました。幼いながらに「女性」の生きにくさを感じていたいた私の心に刺さる内容で、産婦人科を志す大きなきっかけだったことを久しぶりに思い出したのです。河野先生にご挨拶したい! かなり不純な動機でセミナーに初参加しました。
 熱い2日間でした。蓮尾先生を介して河野先生とお話しもでき、蓮尾先生が常々「日本にいる僕の仲間」と呼んでいるたくさんの先生方とご一緒させていただき、急に視界が開けた感覚でした。
 そうだ、私は女性の味方になりたくて産婦人科を志したのだ、病気を治療する以外にもたくさんすることがあるぞ――とやる気が湧いてきたのでした。そのkey wordとしてOC/LEPを改めて認識したのでした。

遅まきながら

 私の勤務する病院は地域周産期施設に指定されている国立病院で、外来は午前中のみの予約制、土・日曜日は休み、人事異動で担当医師は変わるし学生や研修医がしょっちゅう出入りする施設ですが、逆に言えば毎日産婦人科医が当直していて、事務や行政とのつながりは強く、多職種が充実し、診断から治療まで完結できるうえに他科との連携も可能、若い世代を教育できる環境だと気付きました。
 それまで控えめだったOC/LEPの処方を積極的に行い、緊急避妊薬を常備、性暴力被害者の受け入れを病院事業として立ち上げ看護局・事務局と協力して年1回はシミュレーションを開催、「女性のライフスキル」を看護局の教育講演として実施(女性が多い看護局の離職率の低下、看護内容の充実につながることを期待)。産婦人科後期研修の必修経験項目「自らが説明してOC/LEPを開始した症例5例」、処方に導くコツや考え方を丁寧に指導します。個人的には、女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラムを受講し、スポーツドクターの資格も取得。OC/LEPの話題を中心に指導者講習も行っています。
 青森県は校医制度が充実しておりそのおかげで、自ら勉強してきて積極的にOC/LEPを希望する患者さんも増えております。
 知識や経験、人脈まで惜しみなく与えてくださる蓮尾先生のお力をお借りしながら、全人的な医療を提供できるかかりつけ医となれるよう努力する毎日です。


写真 蓮尾氏(左)と著者(右)

今月の人

たんどう・ともえ
1991年弘前大学医学部医学科卒業。同年弘前大学医学部産婦人科教室入局。96年同大学院卒業後、関連病院に勤務。2013年より独立行政法人国立病院機構弘前病院に勤務、15年より産婦人科部長。

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