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男性と育児休業をめぐる動きの“今” 少子社会の中で

2030年男性の育休取得率目標は30%

2020年7月31日、19年度の雇用均等基本調査の結果が公表された。19年度の男性育休取得率は7.48%となり、前年より1.32%上昇した。しかし、来る第4次少子化社会対策大綱に向けて政府で閣議決定された、「30年までに男性育休取得率30%」という目標にはまだ遠い状況である(図1)。

男性育休取得率の推移と目標値

図1 男性育休取得率の推移と目標値

育休を利用したい男性は37.5%

育休取得率が伸び悩む背景には、男性個人がさまざまな理由から育休の取りづらさを感じている状況がある。「平成30年度仕事と育児等に関する実態把握のための調査研究事業」の結果によれば、育休制度および育児のための休暇を取得しなかった男性社員は、その理由を「会社で育児休業制度が整備されていなかったから(23.4%)」「収入を減らしたくなかったから(22.6%)」「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから

(21.8%)」などとしている(図2)。同調査において、育休制度を利用したいと考える男性社員の割合が37.5%に上っていることからも「育休を取りたいけど取れない・取らない」ことを悩む男性像が浮かび上がってくる。このような状態が続く中、厚生労働省は男性育休取得義務化の検討に入り、育休取得を推し進めていく姿勢を改めて明らかにしている。しかし、日本・東京商工会議所が9月に公表した「多様な人材の活躍に関する調査」では、男性の育休取得義務化について「反対」ないし「どちらかというと反対」とした中小企業が、人手不足が叫ばれる運輸業、建設業、介護・看護業などを中心に70.9%に上ることが分かっている。

女性の年齢階級別労働力率

図2 男性社員が育児のための休暇・休業を利用しなかった具体的理由の上位5種

一方で育休取得義務化を推進する民間団体で組成された「男性育休義務化プロジェクトチーム」は、10月2日「男性育休義務化に関する提言」を発表、産後の女性の死因1位が産後うつによる自殺という現状で、男性が育休を取ることは産後うつの予防・回復の強力な選択肢であるため、育休取得義務化に賛成する旨を表明した。その上で「個人に対する義務ではなく、企業に対して義務付けるもの」「個人への意識啓発では取得率向上に限界がある」と述べ、義務化によって政府および企業側が変わることで、男性育休の普及が進むことを期待するとした。

労働と育児を両立できる環境づくりが急務

男性育休取得に関わる動きの傍らで、変化をし続けているのが「育児をしながら働く女性」の数である。厚生労働省「平成30年版働く女性の実情」によれば、女性の全ての年齢階級における労働力率は過去最高の水準となった。かつて女性の労働力率は、20歳ごろまで上昇するも、結婚する年齢期になると低下、そして子どもが成長して育児がひと段落する時期に再度上昇する、いわゆるM字カーブを描いていた。それが近年、結婚しても勤務を続ける女性が増えたことにより、カーブがM字から台形へと近づいている(図3)。また結婚している女性に限定した年齢階級別労働力率も、08年から18年の10年間に全年齢で上昇し、この内20〜24歳がもっとも上昇幅が大きくなっている。

男性社員が育児のための休暇・休業を利用しなかった具体的理由の上位5種

図3 女性の年齢階級別労働力率

育児には女性だけでなく、男性の積極的な関わりがこれまで以上に必要不可欠になっている今、男女共に働きながら育児もしやすいという環境を整えることは、今のわが国において急務である。2019年の人口動態統計において出生数は、1899年の統計開始以来過去最低の86万人を記録し、少子高齢化に歯止めがかからない状況だ。個人にとっても、企業にとっても、少子高齢化と密接な関わりを持つ労働と育児の両立は重要な課題だ。

(2020年(令和2年)11月号2面より)

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