連載「思わず参加したくなる!医療・ヘルスケア企画のコツ
ティーペック(株)広報 大井美深」

第2回 「セカンドオピニオン川柳」募集企画
全国各地から8,367本の応募がきました!

イベント、催し物の企画をしたい…と思っても、いざ始めようとするとなかなか難しいモノ。 本連載では、さまざまな企画を立て、運営してきたティーペック株式会社の広報 大井さんに、企画のコツやテクニックをお伝えいただきます。新しいことを始めたいときのヒントになる情報が満載です。ぜひお役立てください。

こんにちは。ティーペック(株)広報の大井です。
前回は、ちょっとした工夫で想像以上の効果を得られることをお話ししました。
今回は、具体的な例として2020年の「セカンドオピニオンを考える日」に実施した企画についてご紹介したいと思います。

「セカンドオピニオン川柳」募集企画とは

ティーペックでは、がんなどの病気になった際に、ヘルスカウンセラー(看護師)が病名や本人の希望をヒアリングしてセカンドオピニオンの予約・手配をする「セカンドオピニオン手配サービス」を提供しています。
このサービスの認知拡大を目指す広報としての役割と、病気になったときに焦らないよう予め未病の段階でセカンドオピニオンを知っておいてほしいという想いから制定したのが、2月14日の「セカンドオピニオンを考える日」です。

2番目(2)の医師(14)の日の語呂合わせ、そして「大切な人を想う」バレンタインデーに掛けてこの日にしました。

この記念日には、「セカンドオピニオンは他人事ではない」という意識を常日頃から持ち、理解を深め、考えていただく機会としてもらえるよう、毎年企画を実施しています。 そして、2020年には「セカンドオピニオン川柳」コンテストを開催しました!

<参考>クリックすると外部のページに移動します
「セカンドオピニオン川柳」募集要項

さて、この「セカンドオピニオン川柳」コンテスト、キャッチーな企画になるようにいろいろな仕掛けを考えました。以下をご覧ください。

本企画を立ち上げる際のポイント

・応募方法はWEB、SNS、郵送のどれでもOK!
    →デジタルが苦手な方向けに郵送可にしました。また若い世代からの応募や、気軽な応募を受け付けるため、SNSでの応募も受け付けました

・間口を広げる魔法の言葉―「セカンドオピニオン体験の有無に関わらず、誰でも応募できます」
    →体験者だけでなく、今まで「セカンドオピニオン」の言葉を知らなかった方にも応募してほしいので、この文言を入れています

・入賞枠をたくさん設定!
    自分の作品が選ばれると参加者はうれしいものです。この企画ではたくさんの入賞者枠を用意しました。入賞者には、最優秀賞(1名/ギフトカード3万円)、優秀賞(2名/ギフトカード1万円)、佳作(10名前後/ギフトカード 1,000 円)、T-PEC 賞(健康グッズ)を贈呈! 入賞者には賞品も用意しますが、特に高額ではなくても、応募作品が集まる傾向があるので、金額よりも、「自分の作品が紹介される」ことがやる気につながっているのだと思います。入賞されたらSNSでシェアする方も多いので、入賞がわかるもの(カードなど)を一緒に同封されると喜ばれます。

募集はプレスリリース、会社HP、公募ガイド、登竜門などの公募雑誌の紙面やWEB版に掲載しました。
各公募情報メディアには「川柳」カテゴリが用意されており、川柳企画を探している方が世の中に多いことがわかります。

社内も巻き込む企画にするために社内投票で入賞作品決定!
特設サイトで受賞作品やおもしろ作品を紹介

当初、応募作品の目標を500本程度…としていたのですが、終わってみるとビックリ!  目標を遥かに上回る8,367本も応募がありました。

まず、応募作品の中から100本ほどを私が所属する部署内で選定し、次にその100本から社内投票を行い入賞作品を決定しました。
公募企画では、著名人を審査員に招いたり、外部の会社に選定をお願いしたりしているところもありますが、ティーペックの場合は、企画している部署だけが盛り上がるのではなく、会社全体で参加してほしいという思いから社内投票を実施しています。

また、自社の企画だからといって制限をあえて設けず、ティーペック社員からの応募もOKにしています(ニックネーム、個人アドレスでの応募のため誰が応募しているかはわかりませんが…)。
自社が提供しているセカンドオピニオンサービスについて、改めて価値を考えるきっかけにもなればいいなと思っています。

それでは、入賞作品を見てみましょう!

20代から80代までの方々がつくった14作品が入選しました。 ここまで企画の内側をいろいろお話してきましたが、この企画が成功したと言える最大の理由は、たくさんの素晴らしい作品が寄せられたことです。 入賞作品を一緒に見ていきましょう!

<最優秀賞>
人生は 一回だから 二回聞く (浮遊人/男性/70歳/長野県)

<T-PEC賞>
セカオピで 深まる理解 減る不安 (あまてらす/女性/60歳/宮崎県)

<優秀賞>
悩むより ネットに聞くより 別の医師  (べべ子/女性/43歳/神奈川県)

セカオピで 同じ結果も 別の価値  (つべる/女性/27歳/東京都)

<佳作>
浮気じゃない 第2の意見 聞きたいの  (しーしー/女性/48歳/千葉県)

納得し 治療に専念 セカオピで (なべちゃん/男性/67歳/兵庫県)

ネットより 繋ぐ信頼 医者と医者 (盟主クサイ/男性/38歳/鹿児島県)

「まだ」じゃない 「もう」常識よ セカオピは  (ちゃい/女性/49歳/茨城県)

セカオピは 100年時代の 基礎作り (パパラッチ/男性/60歳/新潟県)

お医者さん ごっこにセカオピ 出る時代 (八十日目/男性/80歳/神奈川県)

主治医はね 思ったよりも 気にしない (こめ/女性/33歳/兵庫県)

体操と 医師は第二が 欲しくなる (夏舟/男性/38歳/熊本県)

「やっぱり」も 「それは意外」も 訊けばこそ (お酢/男性/56歳/福島県)

他の意見 Siriに聞かずに 医者に聞け (大海の真珠/男性/43歳/千葉県)

入選作品のほかにも、おすすめ・おもしろ・リアル作品を選抜し、ご紹介している「セカンドオピニオンを考える日」のリーフレットの無料配布もしました(下記よりダウンロードできます)。
リーフレット(PDF) https://t-pec.jp/senryu/pdf/so_book_01.pdf

応募作品から見える世の中のホンネ
――セカンドオピニオンの印象と課題

おもしろ作品の中には、2020年はタピオカがブームだったこと、「セカオピ」と「タピオカ」が何か似ている(?)と思われていたことから、「セカオピも タピオカみたいに 定着を」「タピオカも セカオピもある わが人生」など、時事ネタもたくさん見られました。
また、たった5・7・5の短いメッセージの中に、セカンドオピニオンの印象や課題が見受けられる作品もたくさんお寄せいただきました。その一部をご紹介します。

①主治医に何故か気を遣ってしまう

「浮気」や「二股」というキーワードを入れた作品もありました。

「セカオピは 浮気じゃないのよ 念のため」
「それくらい 二股かけても いいじゃない」
    …など

これらは、主治医に対しての少し申し訳ないと感じている気持ちが反映されているのだと思います。

また、

「どうやって 主治医に切り出す セカオピを」
「何でかな 二の足踏ませる セカオピは」

…などもあり、セカンドオピニオンに対しては「主治医がどう思うか」ということを気にして悩んでいる方が多いのではないかと示唆されます。反対に、医療従事者からの作品で

「主治医はね 思ったよりも 気にしない」

といったものもありました。
セカンドオピニオンの実態とイメージにギャップがあるのかもしれませんね。

②「医療情報をネットで調べ過ぎてしまう」問題

いつでもどこからでもネットにアクセスできる現在では、病気に関する情報を気になったらすぐに検索して、さらに不安になってしまう、正しいことがわからなくなってしまう…という問題があります。
この状況を上手に表した作品がありました。

「100回の 検索よりも セカオピを」
「他の意見 Siriに聞かずに 医者に聞け」(Siriに聞いている方は少ないとは思いますが…)

③正しく理解しようとすればするほど見えてくる疑問点や実情

また、セカンドオピニオンを調べたからこそ出てくる知りたい点・わからない点があると思います。そんな疑問・質問を反映した作品をご紹介します。

「転院と 多くの患者 勘違い」
「セカオピは チェンジじゃなくて チャンスです」

セカンドオピニオンは第二の意見を別の医師に聞くことなので、病院や主治医を変えるわけではないのですが、転院と勘違いされている方が多くいるようです。

「紹介状 念のためです! もらえます!?」
「勇気だし 紹介状を 依頼する 」

セカンドオピニオンを受けるためには紹介状が必要なこと、主治医にその紹介状をもらうことが1つのハードルになっていることがわかります。

「セカオピは 保険きかない なんでかな?」
「セカオピの 保険適用 願いたし」

自由診療なので保険が効かず高額であることに対しての意見や要望が見てとれますね。

「どうやって セカオピドクター 探すのか?」
「セカオピを 依頼したくも 院がない」

どのように探して、申し込むのか…セカンドオピニオンを受けたいと思ったときにこそ出てくる疑問だと思います。
また、大都市だと医療機関が複数ありますが、地方都市の場合、セカンドオピニオンを希望しても近くで受けられないような地域の問題があります。

このようなセカンドオピニオンに関する感想や疑問が詰まっている川柳は、直接的はアンケートより、一般生活者の印象や疑問が正直に反映されてきます。企画側は、この課題をくみ取り、その解決のために何ができるかを考えることで、本当に必要な情報提供が実現できるのではないでしょうか?

応募作品の有効利用法!

この企画では、応募の時点で受賞に関わらず作品をティーペックの活動に使用する可能性があることを明記しているため、今後の販促物での使用、メールマガジンやオウンドメディアでの紹介などが可能です。
具体的な利用方法として、外部では、特設サイトや作品を、健保のメールマガジンなどで紹介して頂いたり、社内では研修資料などに活用したりといったことです。一般の方々が考えた親しみやすい川柳を入れることで、受講者が興味をもちやすく、見やすい資料になっています。

そのほかにも、営業資料やキャッチコピー(スローガン)などにも引用できますので、今後もどんどん利用していく予定です。

実は川柳に不向きなセカンドオピニオン
――企画から商標登録につながった「セカオピ」

ここまでお読みいただいてお気付きの方もいらっしゃると思いますが、実は、セカンドオピニオンは川柳のテーマとしては不向きです。というのは、「セカンドオピニオン」だけで9文字あります。5・7・5の川柳ではそのまま入れることができません。私自身も途中で気付いて「これ、大丈夫?」と思ってしまいました。

そこで、募集例を工夫しました。今回、応募例として載せたのは、こちらの4つです。

セカンドオピニオンという言葉を入れない作品でも可能というメッセージを伝えるための例と、「セカオピ」という略称を使った例を用意しました。

セカオピと略すことについてはご意見もあると思いますが、セカンドオピニオンを知らない人、無関心層にまずは知ってもらうことが目的なので、キャッチーな「セカオピ」を例でも積極的に入れました。

応募例は、主催者と参加者のイメージの共有の場です。ここを工夫することで、「そうか、こんな風な作品がいいんだ」と作品の傾向が決まったり、「“セカオピ”を使えばいいんだ」と気付いてもらえたりします。
結果、今回はセカオピを含む多くの作品が集まりました。

今回、たくさんの作品で「セカオピ」が使用されていたことから、社内で協議した結果、「セカオピ」を商標申請することになりました。審査を通過して、現在、「セカオピ」はティーペックの商標として登録されています。周知のための企画として始めたものが、思わぬ会社の財産をつくることになりました!

どんな企画も、運営の仕方一つでいろいろなことができるのだと思います。はじめから大きなことをしようとしなくても、低予算でも、伝わりやすく共感を得られる企画なら人は集まります。得られるものは応募数だけではなく、のちに使えるコンテンツであったり、次回に生かせるノウハウです。 まずは自分自身が楽しめるような、参加したくなるような企画を考えてみませんか?

【著者】大井美深(おおい・みゆき)
機能性食品素材の研究を経て、医療・健康情報の会社で情報サイトの運営、企画、広報を担当。
2019年からティーペック株式会社の広報担当として在籍。記念日を利用したPRのほか、乳がん患者支援団体との協力、エンターテインメントとヘルスケア情報のコラボ レーションなど幅広い活動も行う。
【ティーペック株式会社とは?】(HPはコチラ:https://www.t-pec.co.jp/)
1989年から24時間健康相談など健康サービスを提供している会社。日本最大級のメディカルコンタクトセンターを所有。生命保険会社、企業、健保、自治体向けに健康・メンタル相談、セカンドオピニオン手配サービス、ハラスメント総合プログラム、ストレスチェックなどニーズに合わせたサービスを展開中。

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