機関紙

<33>東京東部地域産業保健センター 武藤昌子

2017年03月 公開
職域保健の現場から 33

まだまだこれから、小規模事業場で働く人の健康支援

東京東部地域産業保健センター

武藤昌子

 今号から、「職域保健における地方・地域」をテーマに、さまざまなエリアの特徴と、そこでの取り組みについてご紹介していきます。初回は東京東部地域産業保健センターの武藤昌子さんにご寄稿をいただきました。(編集部)


葛飾・墨田区は観光・小売・モノづくりの街

 私が活動している東京東部地域産業保健センター(以下、地産保)は、葛飾区医師会館に拠点を置き、葛飾区、墨田区の労働者50人未満の小規模事業場に産業保健サービスを提供しています(図)。
 葛飾区には「こち亀」の亀有や、「寅さん」ゆかりの柴又帝釈天、墨田区には東京スカイツリーなどの観光地があり小売業が盛んです。一方で製造業も多く(東京23区の製造業事業所数では大田区、足立区に次いで、墨田区が3位、葛飾区が4位。平成26年東京都工業統計調査)、そのほとんどが労働者300人未満の中小事業場であることも大きな特徴です。
 当地産保を利用する多くの事業場は、金属・プラスチック製品加工、建設工事、印刷、板金・塗装、運送などで、高所作業や車両運転、重量物取り扱い、有機溶剤の使用など、健康管理が特に大切な業種です。事業は親の代から引き継がれ、長年地域に根差してきた事業場が多く、60歳を過ぎた労働者や、建設関係では人手不足の折、外国人労働者も散見します。

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小規模事業場の労働衛生の状況
 50人未満の小規模事業場の場合、労働者の健康確保が事業主の意識に左右される現実があることも目の当たりにしています。例えば、定期健康診断の実施義務は事業主にありますが、健康診断の受診が「労働者の任意」という認識の若社長がいたり、受診後「やりっぱなし」ということもあります。
 地産保の産業保健サービスは、産業医の選任義務のない小規模事業場が、労働衛生上必要な責任を果たすために活用することができます。利用に当たっては、事業場と労働者個人がそれぞれ年度内2回までは原則無料で利用可能ですので、ぜひ利用を進めていただきたいところです。


地産保の利用窓口を保健師が担うメリット
 地産保の窓口は医師会の事務職員がコーディネーターを兼務することが多いですが、当地産保では長年、保健師が兼務する方針で運営されています。実際には、利用申し込みを受け付ける時点で、健診結果の緊急度判断や相談内容の情報整理、必要に応じて事業場を訪問して状況確認や情報収集を行います。その後、利用目的として多い、各種健康診断結果の有所見者に対する就業意見聴取や、長時間労働者への面接指導などに対応する登録産業医に引き継ぎ、的確でスムーズな対応につながっています。
 保健師がコーディネートする現在の体制は、登録産業医との連携や事業場に就業意見や指示事項をしっかりと伝える点でも、非常にうまく機能していると感じています。


区との連携と今後の活動の可能性
 葛飾区保健センターとは、区作成の熱中症対策のポスター・チラシを小規模事業場に提供いただいたことがきっかけで連絡を取り始め、今年度は各事業場に一部ずつ配布しました。来年度は労働者一人一人へのチラシの配布とともに、配布の際には区の保健師の同行も検討してくださるなど、今後さらに連携を深めていくことができそうです。
 私自身、地産保の勤務は2016年1月からで、それまでは事業場内で健康管理を担当しておりました。地産保活動では、保健指導のほか、事業場の業務特徴などから安全や健康のリスクを見立てたり、事業場が自律的に健診事後措置を行う仕組みの提案を行ったりしています。さらに、働きやすい職場づくりに無理なく取り組むヒントの紹介、時には事業者の会合で「健康管理講習会」を行う機会をいただくなど、新しい取り組みが展開できて、これまでの産業保健活動の「応用編」となり、仕事自体は大変面白く、やりがいを感じています。
 規模こそ小さいですが、地域で代々引き継がれてきたからこそ技術が磨かれ、社会に大きな貢献をされている事業場がいくつもあることを知り、尊敬の念とともに、今後も末永く事業が続くよう、健康面からサポートしていける余地がまだまだたくさんあることを実感しています。

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