機関紙

<29>桜井産婦人科医院(福島県郡山市) 桜井 秀

2017年08月 公開
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桜井 秀
産婦人科医による性の健康教育~私のキーワードはこれだ! その29

現在進行形の性の健康教育活動



桜井産婦人科医院(福島県郡山市)

 桜井 秀



念願だった性教育デビュー

 私の性の健康教育に関するキャリアは浅く、2009年から女子大の講義の中での手探りから始まり、10年に中学校と高校で念願でもあったデビューを果たしました。
 振り返ってみると、勉強・経験・個々への配慮不足から、思わずNGワードを発するなどの失敗もありました。しかしながら、現在の講演の手法は自分なりの定型が完成しつつあります。一方、その結果を明確に知ることは不可能に近く、これで良かったのだろうか?と、いまだ悩み続けています。


産婦人科医師だから伝えたいこと
 最近の学校現場の声を聞く限り、産婦人科医師を外部講師として招く目的は、単なる「性に関する正しい情報の出前」に限られなくなってきました。その背景には、現在思春期の子どもたちが生まれたときからすでに携帯電話やインターネットが普及しており、勉強も遊びも恋愛も、学校行事の連絡網ですら、今や日常生活ではSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)全盛で、知人とのコミュニケーションの方法も大きく変化してきているという現状があります。とても便利な反面、実際に会ったこともない人からの、知りたくもないネガティブな情報にもさらされ続けているこの時代、さぞかし生きづらい部分もあるのだろうと察します。
 産婦人科医師として性の健康教育の中には、このようなスピーディーな時代の中に、子どもたちが安全にたくましく生きていってほしいとのメッセージを入れなければいけないのでしょう。


男子生徒へもメッセージを
 予期しない妊娠や出産で心が傷つき、自らも、そして周囲からも、責められがちでつらい思いをしてしまうのは、圧倒的に女性側です。そのため、どうしても性の健康教育の時間中、男性の肩身は狭くなると思います。
 そんな彼らへの思いも込めて、必ずネット上での「テクノブレイク」(自慰行為のし過ぎで死に至るといううわさ)という造語にだまされないこと、生まれてきた時点で男性は全員(真性)包茎だが、あたかも全員に手術が必要かのような誇大広告にあおられず、セルフケアをきちんと実践していくことも伝えるようにしています。
 ふてくされたり、うつむいていたり、いかにも神妙だった彼らの表情が、最も豊かなものになる瞬間がここで訪れます。


伝える「言葉」
 1校につき年1回の講演が一般的なので、伝えておきたいことが数多くありますが、ポイントを押さえれば限られた時間は有効に活用できます。そのためのツールはやはり「言葉」だと感じています。
 学校や学年、そして年度ごとにその場の雰囲気は異なり、前述のように、講演中にも生徒たちの表情や態度も変化してゆきます。「言葉」もその場・その時で臨機応変に対応することが求められます。日常的な診療や、講演前後のアンケート、事後のメール相談でも感じていることですが、子どもたちは講師の一言一言にとても敏感で、いったん心の耳をふさがれてしまうと再び興味を引くことは困難です。


地域での関わりを通じた成長
 現在、郡山市では、郡山医師会を母体とした全市立中学校での性の健康教育活動が始まりました。これと同時に、さまざまな職種の方々との会議を定期的に開催しています。
 これからも、多くの経験豊かな先輩方の意見を傾聴しつつ、自らも確実に成長し、思春期以降を頑張って生きてゆこうとしている男女のお手伝いを少しでもできればと思っています。


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養護教諭を対象にした講演会風景


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地域の中高一貫校での学校医活動の様子


【今月の人】 桜井 秀
2002年より現職に就き、04年3月、獨協医科大学大学院修了(学位取得)。現在、福島県産婦人科医会常任理事・同思春期保健委員会委員長、福島県産科婦人科学会理事、福島県男女共同参画審議会委員。13年より郡山市にある全市立中学校での性の健康教育活動、17年より学校医活動も開始した。

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