機関紙

2014年度(2015年更新)

2015年06月 公開

本会家族計画研究センター 2014年度 事業実績報告


 1999年6月承認、9月に発売された低用量経口避妊薬(OC)。承認に至るまでの数々の障害に立ち向かってきた者の一人として、承認からの15年間を感慨深く思い起こしている。「男女の生活と意識に関する調査」を通じて行っているOCの現状の把握と問題点の発見、OCの普及啓発を目的としたセミナーの開催、メディアへの発信、適正使用のための電話相談の開設など、いずれも本センターの事業そのものであると言っても過言ではない。以下、2014年度の本会家族計画研究センターの一年間の活動を振り返ってみたい。

(本会家族計画研究センター所長 北村邦夫)


電話相談1年で8722件

 本センターでは年間を通じて各種電話相談を開設している。月曜日から金曜日の5日間、10時から16時までの間に、本会が独自に実施している「思春期・FP(家族計画)ホットライン」(2054件)、東京都から委託されている「東京都女性のための健康ホットライン」(579件)、製薬企業であるバイエル薬品㈱から委託されて行っている「OCサポートコール」(4424件)、「ミレーナコール」(230件)、あすか製薬㈱の「OCコール」(554件)、富士製薬工業㈱の「OCヘルプデスク」(453件)、火曜日のみ開設している「東京都不妊・不育ホットライン」(428件)である。
 相談員は20名を超える。本会が養成している思春期保健相談士、国家資格を有する受胎調節実地指導員、助産師、看護師とさまざまである。
 わが国における思春期電話相談のはしりともいえる「思春期・FPホットライン」がスタートしたのは1978年7月。既に33年の歴史を刻んでいることになる。残念ながら筆者が本会に赴任した88年4月以前の相談カードは、きちんと管理されていなかったようだ。赴任後、相談カードの内容はデータベースでまとめており、既に27年分が保管されている。この間の相談件数は万4372件(男性7万8760件、女性5万5612件)。2014年度は2054件(男性1293件、女性761件)だったが、95年度が過去最多で7089件(男性4865件、女性2224件)あり、以降、相談件数としては漸減している(図1)。
 インターネットやSNSの普及が電話相談の役割を奪った可能性も考えられるが、専門家との双方向でのやり取りができることは電話相談の魅力の一つであることは今も変わらない。一方、この一台の受信機は相談だけでなく、無言1176件、相談時間外の留守番件数933件、性的通話を含め相談員がいたずらと判断した件数も495件に上り、合計4658件のアクセス数をもって活躍している。
 表1は、思春期世代の男女の相談内容の概要である。この場合、「小学生」とは本人が電話をかけてきたものだけでなく、親が「小学生」の抱える問題について相談してきたものなどを含んでいる。

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低用量経口避妊薬相談を一手に引き受けて

 わが国で発売されているOCには14種類のブランドがある。本会が企業に委託されて開設しているOC関連相談は、このうち8種類のブランドを対象としている。しかし、実際にはこれらの電話相談カードが医療機関を通じて服用者に手渡されていることから、わが国のOC服用者からの相談を一手に本センターが引き受けていると言っても過言ではない。ここでは、「OCサポートコール」を例に、OC相談の傾向を探ってみた。
 2013年12月、突然の「ピル(OC)服用に伴う血栓症死亡」報道。これを契機に、OC服用者だけでなく処方する医療従事者にも不安が広がった。結論を急げば、妊娠・産褥期における血栓症発症率の方がOC服用者での発症率に比べ格段高いわけで、避妊を主目的にOCを服用している場合には、OCを「血栓症予防薬」と言うこともできる。しかし、血栓症発症の問題は欧米などに比べわが国でのOC服用者の年齢が高いことと無関係でないようだ。事実、「OCサポートコール」を利用する平均年齢は、04年の開設以来上昇傾向にあることが気になる(図2)。避妊法は年齢、性交頻度、妊娠への受容の程度、相手の避妊に対する協力度などを総合して選択するものであって、老いも若きもコンドームでは困るし、OCや子宮内避妊具・子宮内避妊システム、時には避妊手術などを上手に使い分けることが肝要である。
 相談主訴の年度別推移を見ると、「飲み忘れた場合の対処法」「服用方法」は変わらず上位を占めているが、「副作用」「薬物相互作用」は減少。一方、「周期調節」相談が増える傾向にある(表2)。OC発売から15年を経て、ようやくOCの服用に慣れてきた結果とは言えないだろうか。

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「不妊・不育」と「女性の健康」 東京都の委託電話相談

 わが国の少子化の最大要因は晩婚化・晩産化の進行にある。結果として、以前は不妊とは10組に1組ほどとされていたものが、今では6組に1組ほどに増加している。国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査」(2010)によれば、不妊を心配したことのある夫婦の割合は、02年の20・0%から、10年には27・6%となっており、検査や治療の経験がある(治療中を含む)割合も12・1%から16・5%と増え、不妊の底辺はさらに広がる兆しがある。
 1997年2月にスタートした「東京都不妊・不育ホットライン」は既に19年間が過ぎ、現代の不妊事情を反映するような結果が垣間見える。第1に、相談者の年齢が年々高齢化していることだ(図3)。第2に「体外受精/顕微授精」「習慣性流産/不育相談」の増加、「病院情報」を求める声や「治療への迷い」の減少が目につく。また、最近では不妊の原因が女性だけでなく男性、両性の問題でもあることが周知され始めたのか、男性からの相談も目立っている(表3)。
 本会では、東京都からの委託を受けて実施している不妊啓発事業の一環として、『Dr北村のJFPAクリニック』(http://www.jfpa-clinic.org/)から、スマートフォン対応の「いつか子供がほしいと思っているあなたへ~実は身近な不妊の話」の最新改訂版をアップしたのでご覧いただきたい。また、「東京都女性のための健康ホットライン」には576件の相談が寄せられている。相談者の相談主訴別に平均年齢をまとめた(図4)。

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「SRHセミナー」は時代を映す鏡

 「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー」、最近では「SRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス)セミナー」と銘打っているが、本センターが企画しているロングラン・セミナーの一つである。スタートは1999年7月というから、わが国でOCが承認された直後であった。
 OCのカウンセリング手法を学んでもらおうと始め、初回は285名の参加者があった。以来、表4にあるように、時代のニーズに応えるようにテーマを設定して開催し続けてきた。2014年度までに122回を終え、参加人数は延べ2万人を超えた。「避妊と性感染症予防」が主題ではあるが、開催年度ごとのテーマを概観すると、その時代に、どのような指導が求められているかが、おぼろげながら見えてくる。なお、14年度の本セミナーは、(公社)日本助産師会の後援、あすか製薬㈱、MSD㈱、科研製薬㈱、バイエル薬品㈱、富士製薬㈱、持田製薬㈱の広告/展示協賛、ジェクス㈱、㈱そーせいの事業協賛を得て実施した。

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