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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

<5>学校枠を超えたピアカウンセラーの主体的活動意欲を支えて とちぎ思春期研究会 鈴木郁美・髙村寿子(2010.3.1)

2010年03月 公開

学校枠を超えたピアカウンセラーの主体的活動意欲を支えて
~ピアリンクinとちぎの誕生~

とちぎ思春期研究会
鈴木 郁美・髙村 寿子

◆官民一体の思春期保健対策
 「健やか親子21」の主要課題の一つである「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」の有効な戦略として、全国各地で思春期ピアカウンセラーの養成が行われている。T県は全国に先駆け平成十四年度から、ピアカウンセラー養成、相談活動、ピアカウンセリング手法を用いた健康教育に取り組んでいる。

 具体的な方法として、保健福祉部で予算化し、教育委員会と連携して、ピアカウンセラー養成とその活動の場である思春期相談センター(クローバー・ピアルーム)の運営および中・高等学校への健康教育の実践を、NGOであるとちぎ思春期研究会(会長=髙村寿子)に事業委託している。
 このような官民一体の思春期保健対策は、思春期リプロダクティブ・ヘルスに取り組もうとしている途上国のモデルともなっている。

◆ピアカウンセラー減少に歯止め
 T県では毎年ピアカウンセラーの養成を行っているが(表1)、卒業後県外に出たり、途中で辞退したり、連絡が取れなくなったりという状況が続き、養成しても具体的な活動を続けられないピアカウンセラーが増えてきた。平成二十一年五月現在、活動しているピアカウンセラーは八十六名である。このような状況が続くとピアルームのローテーションや、中・高校の健康教育の実践に影響が多大であるので、ピアカウンセラーの減少傾向に歯止めをかける対策が必須となった。

 他方、ピアカウンセラー自身も仲間が減少していくことに対して危機感を抱き、主体的に仲間の活動意欲を持続する方法を検討するようになった。そして誕生したのが、ピアリンクinとちぎである。

◆ピアリンクinとちぎの発足
 まず、ピアカウンセラー達自身が検討した減少理由としては、①ピアカウンセラーが大勢いて、ピアルーム以外にも中・高校への健康教育に行くなど活発に活動している学校もあるが、ピアカウンセラーが少なく、ピアルーム以外に活動の場がないと、だんだん意欲がそがれていく②ピアカウンセラーが少ないので中・高校から依頼が来ても受けられない③いつも同じピアカウンセラーだけでなく、他の学校の仲間と交流できたら続けていける④学校枠を超えた集まりの場が欲しい―ということであった。

 ピアカウンセラーを支える養成者を始め関係者の間で実は数年前から、①ピアカウンセラーになった後、活動の場所はピアルーム以外では学校毎となる②学校によってはピアルーム活動に固定化し、活動経験に差が出ることでピアカウンセラーとしての士気が低下している―等が問題点として挙げられていたことと一致した。そこで両者が話し合った結果、ピアカウンセラー自身の強い希望で、栃木県内のピアカウンセラーの活動の集まりを立ち上げることとし、二〇〇八年五月に発足した。

◆学校・学年枠超えた活動支援
 この活動の最大の特徴は、学校の枠を超えた県内のピアカウンセラー同士の集まりということである。具体的な活動は、毎月第一・三土曜日にイベントの企画・実施や、自己研鑽のための勉強会、通信の発行、ピアカウンセラー同士の情報交換(メーリングリストの活用)等を行っている。この活動を継続・活発化することが、T県のピア活動の再活性化への打開策となると確信している。

 今後活動を継続していく最大の課題として、ピアリンクinとちぎに参加するメンバーが固定化していることが挙げられる。そのためには広報活動が必須である。ピアリンクinとちぎでの活動情報をいかにはやく活動していないピアカウンセラーに届けるかである。そのために活動後作成しているニュースレターが大きな役割を果たすと考える。さらに継続して発行を支援したい。

 他方で同期に養成を受けた仲間同士ではない先輩ピアカウンセラーの存在は、活動をしていく上で頼りになる存在であり、先輩ピアカウンセラーがピアカウンセラーのモデルになっていることが考えられる。そのためには学校だけでなく、学年(養成期)を超えたピアリンクinとちぎに門戸を広げることが必要である。現実に立ち上げた学年だけでなく、翌年養成されたピアカウンセラー達も会員として登録を始めて一緒に活動が始まっている。この動きも支えていきたい。

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