天馬空 ~JFPA職員のリレーエッセー~
天馬空 ~JFPA職員のリレーエッセー~
第826号

 ホームページ等でのご案内のとおり、本会は10月22日に渋谷区幡ヶ谷に事務所を移転した。全くの偶然なのだが、この日は私の誕生日で、また幡ヶ谷という土地は14歳から27歳までを過ごした最も馴染みのある街である。どこか運命のようなものを感じながら、今回私は移転にかかる主管業務の一翼を担うこととなった。
 主な担当業務は、移転に伴って発生する各種作業の洗い出し、各部署への具体的な作業の割り振り、工程の段取りなどで、加えて、搬出荷物及び廃棄物の仕分け・運搬等の先導、案内文書や封筒といった制作物の作成も受け持った。これらを通常業務と並行して行わなければならなかったので、担当決定から移転までの約2か月は近年稀に見る多忙さであった。大変な労苦ではあったが、それを補って余りある経験と学びを私は得ることができた。
 一つは、大変貴重な資料の数々を手に取ることができたこと。本会が創立した1954年以前の資料も多数見つかり、全てではないが、目を通すことができた。半世紀以上も前から先人が積み重ねてきた実績の偉大さ、当時は手書きで施されていた事業記録から伝わるその活動への情熱に私は圧倒された。これらの血と汗と涙の結晶があるからこそ、今の我々があるのだと身が引き締まる思いがした。時間が許すなら全ての資料に目を通し、自らの血肉としたいほどであった。
 もう一つは、みんなが心を一つにして目的に向かうことは、大きなエネルギーを生むということだ。途中、あまりの資料の多さ、業務の多忙さで思うように作業が進まない場面があったが、各々手の空いた時間にフォローし合って遅れている部分を補い、最終日には全員が互いに助け合って移転当日を迎えることができた。普段業務上のかかわりが少ない部署間にも積極的なコミュニケーションが生まれ、一体感を持って目的を達成できたことは、我々にとって大きな自信になった。
 新しい環境で心機一転、歴史の重みと誇りを胸に、これからも個人と組織の力を最大限に発揮して、理念の実現に向けて邁進していきたいと思う。 (村田晋志)



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