妊娠中から考える お産のあとの あなたと赤ちゃんの健康
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家族計画❶次の子どもの計画❷産後の避妊❸避妊法の種類※緊急避妊については19ページ参照次の子どもの計画では、第一に母体の健康の回復を考慮しなければなりません。母親が健康な場合には、産後2か月くらいで以前の妊娠・出産の疲労から回復します。しかし、育児という大切な仕事があるので、前の出産に近過ぎる妊娠ではいろいろな問題が出てくるでしょう。妊娠高血圧症候群があった場合や、心臓病、腎臓病、高血圧症、糖尿病などで母親の健康状態に問題がある場合は、次の妊娠の時期について医師とよく相談して決める必要があります。月経は初経(10~14歳)から閉経(50歳前後)まで続きます。流産、難産、死産などの率を考慮すると、出産は母子の健康からみて20歳からいえます。近年は女性の就労率が高くなったことに伴い、出産年齢も高くなっていますが、高齢出産の場合はいっそうの健康管理が必要です。産後しばらくは休養を取る必要がありますが、それを過ぎれば性生活を始めても構いません。しかし、月経が来るまでは避妊しなくても大丈よく理解し、自分に合った避妊法を選択しましょう。避妊法の種類にはいろいろあります。代表的なものには、●コンドーム●ピル●IUD・IUS●ペッサリー●殺精子剤●不妊手術がありますが、ペッサリーや殺精子剤については、現在わが国では入手できません。また銅付加IUDは、日本では現在、製造販売を中止しています。理想的に使用した場合の避妊効果の高いものは、IUS・ピル、不妊手術、銅付加IUDで、次いで、コンドーム、ペッサリーとなっています。基礎体温法を利用される方もおられますが、自己解釈による失敗が多いので、他の方法と併用する必要があります。出産の間隔母親の年齢産後に適した避妊法「家族計画」とは、カップルが自分たちの生活設計に基づいて子どもを産み育てることをいいます。いつ、何人の子どもを持つかは各自の自由な判断ですが、次の子どもを考えるときには、自分たちの年齢、経済状態、健康、住宅事情など、さまざまな要素を考慮して計画する必要があります。カップルのためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも、できる限り理想的な環境の中での妊娠が望ましいことは言うまでもありません。だからこそ、子どもを望まない時期には、確実に避妊をすることが大切です。夫と思い込んでいると、妊娠してしまうこともあります。産後は育児に追われるので、次の出産まではある程度間隔を空けることが望ましく、避妊の必要があります。産後の母体が回復するまでは、コンドームによる避妊が適しています。産後6週を過ぎればIUD(子宮内避妊具)も使用できます。ピルは授乳していなければ産後3週から、授乳中でも6週以降から開始できます。ただし、赤ちゃんに母乳のみで授乳を続けるのであれば、ピルは母乳の分泌量に影響を及ぼすため、6か月以降からがお勧めです。仕事復帰などで早目に母乳をやめたい場合は、高い避妊効果も併せて得られるピルが効果的です。それぞれの避妊法の長所と短所を(出典:Trussell J.Contraceptive Efficacy. In Hatcher RA,Trussell J,Nelson AL,Cates W,Kowal D,Policar M.Contraceptive Technology:Twentieth Revised Edition. New York NY:Ardent Media,2011.)(出典:World Contraceptive Use·2022)0.2%0.6%0.3%2%6%18%0.5%0.1%85%0.2%0.8%9%18%12%28%0.5%0.15%85%ドイツイギリスアメリカ日本(18~49歳)(16~49歳)(15~49歳)(20~49歳)6.2 5.9 19.0 1.0 11.3 4.0 9.8 0.1 11.0 16.9 42.3 0.9 0.4 8.9 12.3 10.5 10.3 23.2 11.5 30.8 1.2 9.6 73.9 76.1 80.3 39.8 3.9 7.8 6.4 5.0 3.9 0.1 族的な方法等を含む対象:各国の( )内は年齢を表す避妊法使用開始1年間の失敗率(妊娠率)理想的な使用*1一般的な使用*2既婚女性の主な避妊法の国際比較 (%)方法IUS銅付加IUDピル(OC)*3コンドームペッサリー殺精子剤女性不妊手術男性不妊手術避妊しない*1 選んだ避妊法を正しく続けている場合*2 飲み忘れを含め一般的に使用している場合*3 日本のピルの承認時の値は0~0.59、平均0.29避妊法女性不妊手術男性不妊手術ピルIUDコンドームその他の近代的避妊法*1伝統的避妊法*2合計*1  ホルモン注射、インプラント、ペッサリー、子宮キャップ、殺精子剤等(器具、薬剤等を必要とする方法)*2  リズム法、性交中絶法、定期禁欲法、洗浄法のほか、民【参考】最新データとして、日本家族計画協会が実施した「第9回男女の生活と意識に関する調査」(2023年)では、女性不妊手術2.3%、ピル12.5%、IUD/IUS 5.7%、コンドーム83.0%であった。30歳代半ばまでが、望ましい時期と             12

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