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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

<4>日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会の現状と今後の課題 江角伸吾・髙村寿子(2010.2.1)

2010年02月 公開

日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会の現状と今後の課題


日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会
江角伸吾・髙村寿子

 

 「健やか親子21」の一つに「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」が掲げられている。日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会(以下JPCAEA)は、厚生労働科学研究「ピアカウンセリング・ピアエデュケーションのマニュアル作成及び効果的普及に関する研究」の成果をふまえ、ヘルスプロモーションの理念をふまえた健康教育手法であるピアカウンセリング、ピアエデュケーションの実践の定着と普及ならびに研究を目的に、二〇〇五年五月に設立された。二〇〇九年六月現在、健やか親子21推進協議協議会加入団体として申請予定である。本報告はその四年間で実施してきたJPCAEAの活動についてその概要を紹介する。

 JPCAEAが行ってきた現在までの活動は、大きく三つに分類することができる。

1.ピアカウンセリング実践者の養成
 ピアカウンセラー養成者認定のための思春期ピアカウンセラー養成者養成セミナー(前期コース及び後期コース)は?日本家族計画協会の主催、JPCAEAの協力により二〇〇五年から現在まで五回開催され、JPCAEAの認定により三十八名の認定講師が誕生した。地域をコーディネートするための思春期ピアカウンセリング・コーディネーター養成セミナーも同協会主催で五回開催され講師を派遣した。ピアカウンセラーの養成は、二〇〇五年から現在まで二十一県一市で計八十回開催された。 子育てピア部門では、母子保健推進会議主催の子育てピア支援者セミナーを後援し、講師を派遣した。

2.広報・情報交換
 ホームページを二〇〇六年より立ち上げ、全国的に情報を共有化している。また、ピアカウンセラー自身からの発案による、ピアカウンセラーによる情報交換の場としてピアカウンセリング全国大会の開催を共催した。今年度は平成二十二年三月二十七日(土)~二十八日(日)、西日本の兵庫県神戸市で、第三回ピアカウンセリング全国大会を開催予定である。

3.研究活動
 (1)「高校生を対象とした大学生ピアカウンセラーによる思春期ピアエデュケーション講座の評価」(平成十八―十九年度)を実施した。(2)?こども未来財団児童関連サービス調査研究事業「人工妊娠中絶を繰り返す思春期女子への再発予防方策と環境整備のあり方に関する研究」(平成十九年度)と「十代の子どもたちの人工妊娠中絶後の対応と再発防止のための支援に関する調査研究」(平成二十年度)を実施した。その成果による支援者セミナーを開催するとともに、教材を開発した。また、これらの研究成果を関連学会等に寄稿するとともに、論文として執筆中である。

研究会の今後のあり方
 JPCAEAは、ピアカウンセリングを行う人材を全国的に養成してきた。コーディネーターはまだ中央養成講座に頼っているが、ピアカウンセラー養成という点では、各県下での養成という課題は達成されつつある。思春期の若者も日々変化しているように、研究会も日々改良、発展していかなくてはいけない。ニーズに合わせて養成カリキュラムの改編などを日々行っていきたい。

 広報・情報交換に関して、ピアカウンセラー養成者の情報交換は達成できたといえる。しかし、ピアカウンセラー同士の情報交換を活性化するために、ピアカウンセラーによるホームページ活用が今後の課題である。同時に、コーディネーター等を筆頭に思春期保健に関わる機関や団体等との包括的情報ネットワークの構築も今後の検討課題である。

 研究活動については、ピアカウンセリングの有効性とその効果的普及についての実証研究が必須である。そして、受講者・養成者・実践者の視点が不可欠である。しかし、実施主体者であるピアカウンセラーからの研究は行われていない。今後は、ピアカウンセラーが自らの実践の中で研究の遂行ができる環境整備が必要となろう。
 今後も、JPCAEAは「健やか親子21」の枠だけにとどまらず、広く思春期の若者の性=生をより良くするため、実践的な活動と研究を推進していきたい。

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