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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

<55>平成29年 性教育指導セミナーを見据えて  医療法人田村秀子婦人科医院(京都市) 院長 田村 秀子

2014年10月 公開
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田村氏

平成29年 性教育指導セミナーを見据えて



医療法人田村秀子婦人科医院(京都市) 院長 田村 秀子


 

 


 

 

性教育セミナーを京都で

7月末に滋賀で盛大に行われた日本産婦人科医会全国性教育指導セミナー。その興奮冷めやらぬ状態でこの原稿を書いています。避妊教育ネットワークの皆さまのパワフルなご活躍を目の当たりにし、こりゃあ「暑おすなあ、へえおおきに」なんて悠長なこと言ってられないぞ、と。

 

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第1回京都・性の健康フォーラム風景

京都は平成29年に性教育指導セミナーを担当させていただきます。これを見据えて昨年度から京都産婦人科医会として、「京都・性の健康フォーラム」という部会を立ち上げ活動を始めました。

本会は四つのテーマである「性教育」、「思春期と健康」、「性感染症」、そして「妊娠と避妊」に関する知識向上ならびにその普及、啓発を促進し、会員相互間および他の目的を同じくする団体との連携を図り、地域における女性の健康の向上に努めることを目的としています。
今年度は第2回フォーラム開催を予定しており、メインテーマ「若年の性被害を考える」と題して医師、看護職、警察、行政、ワンストップセンター先駆者の方々にお越しいただき、パネルディスカッションを行います。そして、特別講演として蓮尾豊先生に、「思春期の現状からみた性教育のあり方とその実際」をご講演いただく予定です。京都府、京都市、京都府警察、京都犯罪被害者支援センター、小児科医会などからご後援を頂戴し、さまざまな分野の方々にご参加いただけるものと今から期待しているところです。
 

性被害者の支援に着手
性被害者に対する支援策として全国で続々とワンストップセンターが設立されてきています。京都ではこれまで63の医療機関が参加して医会と京都府警とのネットワークをつくり、急性期の被害者に対応していましたが、継続的支援にはなりにくいのが実情でした。しかし、京都でもやっと平成27年4月に、京都府主導でワンストップセンターの開設を目指すこととなり、会議を重ねております。形としては24時間対応、そして今問題になっている男児、若年男子の被害者対策もできるようなものをつくろうとしています。
性教育の見直しを訴える
もう一つ私たちが懸念し対策を考えているのが少子化です。京都府の平成25年合計特殊出生率は1・26で、東京都の1・13に次ぐ低さでした。若い女性の実に37%が自然妊娠可能限界年齢を45~60歳と答えた、との研究結果もある中で、今こそ日本の性教育が見直されるべきです。この問題は数年前から叫ばれているにもかかわらず、少なくとも京都ではなかなか教育現場に産婦人科医が入り込めていません。
中長期的少子化対策の戦略には、女子だけではなく男子も含めてワーク・ライフ・バランスの考えに則った性教育、妊娠可能年齢を知った上での人生設計を行い得る性教育が必要であることを、行政にも訴えかけているところです。
 

新たな世界を広げて
さて、ここからは私事のお話をさせていただきます。私が避妊教育ネットワークに入れていただいたのは昨年夏、京都府立医科大学大学院女性生涯医科学准教授・岩破一博先生のご推薦をいただいてのことでした。私は大学病院時代からずっと不妊症一筋、自らはホルモンのプロと自負して活動してまいりました。初めて参加させていただいた11月の事例検討会、そして後夜祭の衝撃は今でも忘れません。丁々発止と繰り広げられる議論、懇親会での大合唱(?!)、後夜祭での皆さんの声の大きいこと、そして飲みっぷりのよいこと。帰宅して同じ産婦人科医の夫に「めっちゃパワフルな人ばっかりやったわ! あんなに出席者全員のパワーがグォー!っていってる会、行ったことないわ!!! ええわぁ!」と報告いたしました。
この会に参加するたび、自分の中で新たなワールドがどんどん展開していくのを感じています。京都には岩破先生・性感染症という強力な武器があります。それ以外の武器も増やすべく、医会を挙げて努力していきたいと思います。
 

【略歴】
1983年京都府立医科大学卒業。1989年同大学大学院修了。京都第一赤十字病院勤務を経て、双子の出産を機に1991年田村産婦人科医院勤務。1995年田村秀子婦人科医院開業、現在に至る。京都産婦人科医会副会長。

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