機関紙

<36>日本福祉大学看護学部 地域看護学領域 水谷聖子

2018年03月 公開
職域保健の現場から 36

看護学教育の現場からできる! 産業保健師との協働による研修会

日本福祉大学看護学部 地域看護学領域

水谷聖子


職域保健の現場で行われているさまざまな取り組みをご紹介している本連載ですが、今号では、日本福祉大学看護学部地域看護学領域の水谷聖子さんにご寄稿いただき、教育現場の視点から、産業保健について語っていただきました。

(編集部)


看護教育の中での産業看護学

 私は、産業保健師の経験があることから、1996年から産業看護学の教育に携わっています。しかし、実はいまだに看護師課程、保健師課程での産業看護学の教育内容をどうしたらいいのか、悩み、試行錯誤している現状です。

 看護基礎教育の中では、産業看護学の位置付け、科目立て、単位数などは各大学によって異なります。これまでの教育経験を振り返っても、1単位のうちの8時間(90分4コマ)の講義のみの場合から、2単位60時間(90分30コマ)の講義・演習の展開など、さまざまでした。

 本学の場合は、看護師課程必修科目の「公衆衛生看護学概論」「公衆衛生看護学方法論Ⅰ」の一部で産業看護学の講義を行っています。保健師課程を選択した学生は、「公衆衛生看護方法論Ⅱ(講義・演習)」「公衆衛生看護管理活動論(講義)」の中で、産業看護学に関連する事項を学修しています。


産業保健の動向

産業保健師を取り巻く学会や職能団体の動向を見ますと、一般社団法人日本産業保健師会は、労働者や事業者の健康ニーズに組織的に応えるため、産業保健師の力量の向上と活動基盤の強化を目的として、2008年に設立され、職能団体として活動しています。また、日本保健師連絡協議会の構成メンバーでもあります。

 歴史ある日本産業衛生学会は、15年より産業保健看護専門家制度を運用し、産業保健分野に携わる看護職の継続教育支援による実践能力の質の担保を図っています。
 最近では、80年余りの歴史ある産業看護を学問として確立させ、産業看護学の発展と高度な実践能力・実践方法の開発をすることを目指し、12年に日本産業看護学会が設立されました。同学会は17年、看護学基礎教育において産業看護学を修学する目的、科目の目的・目標、1単位と2単位の授業内容例を提示しました。
 行政分野では、13年に厚生労働省より「地域における保健師の保健活動に関する指針」が通知され、保健師の役割がより一層明確に示されています。ただし、産業分野は、まだまだこれからであることは否めません。


学生を交えた研修会

 12年、産業保健分野で働く卒業生、実習施設でお世話になる一人職場の保健師、産業看護学分野に関心のある看護学生らを対象に、「産業保健分野に携わる保健師の集い(研修会)」を立ち上げました。以来、年間5回の研修会を開催しています。

 きっかけは、学生の実習依頼に伺った際、事業所では一人職場で働く保健師が、産業保健計画の立案、衛生委員会の運営、現場と産業医とのはざまで生じるジレンマなど、具体的なレベルで困っていると知ったことです。
 すぐ近くの事業所に産業保健のエキスパートがいるという情報すら得られず、専門職同士で相談できることもなく、苦労されている様子を目の当たりにしました。
 同職種にすら相談できず、ネットワークを広げていく機会がないことが分かり、エキスパート産業保健師と協働で、保健師活動のアプローチの一つである、組織活動の手法を用いて、大学にいるからこそできることとして、この研修会を始めました。
 この活動を始めて6年目になりますが、保健師の所属先、上司から求められること、保健師への理解の程度など、事業所によって本当にさまざまだと分かります。
 中には、危険を理由に職場巡視をさせない事業所や、健康診断の予定日に受診できなかった社員への対応に苦慮した保健師もいました。ストレスチェックが始まり、初めて保健師を配置した事業所、保健師の給与や待遇などの相談を受けることもあります。


大学からできる支援を

 現在では、学生時代や保健師のネットワークなどの口コミで、複数体制の事業所で働く保健師の出席も増えています。最新の産業保健を取り巻く話題提供はもちろん、産業保健師の能力を培う機会として、日本看護協会が開発した事例検討会の手法を応用して取り組んでいます。

 自らの職場の状況を整理し、現状を語り、課題を参加者で検討し、意見交換を行います。リレー講義形式で担当が決まりますが、学会発表、専門雑誌への実践報告を執筆する保健師もいます。
 初任者研修の一環として活用している事業所もあり、産業保健師を目指す看護職、学部生にとっては、貴重な情報収集源や交流の機会にもなっています。組織化、ネットワークづくりの一環でもあり、大学主導ではなく、現場との協働を大切にした形であると自負しています。
 働き方改革が推進される中、産業保健分野はますます重要になり、保健師を採用する事業所は今後も増えるものと思われます。
 事業所が保健師を採用してよかったと実感できるように、また産業分野で働く保健師が、保健師の専門性を語り、実践を通して社会に還元できるように、そして産業分野の保健師がネットワークをつくり、生き生きと元気になる!ように、大学からできる支援を継続したいと思います。

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